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スライムの復讐  作者: シエラ
一章
34/39

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。


「―――きて~おーい」


身体を揺さぶられている感覚と声が聞こえ徐々に意識がはっきりとしてくる。


「んん……あれ、何してたっけ…」

「起きた?おはよー!イーライ君起きたよー」

「おう、起きたんなら自分で歩いてくれ」


今の状況を確認するために周りを見回してみるとダンに背負われた状態であり、丁度街の門をくぐるところだった。そして意識が覚醒してきたことで徐々に何があったか思い出してきた。


「たしかダンと手合わせしていて……て、わりぃ。すぐ下りるよ」


とりあえずダンの背中から降りるべく声を掛けておろしてもらう。


「頭に血が上ってて話が通用しなかったから落とさせてもらった。シェリーに回復魔法使ってもらったが痛いところとかはねぇか?」

「あぁ…痛みは…ないな」

「そりゃあ私が掛けてあげたんだからね!」


ふふんとシェリーが誇らしそうに胸をそらす。


「二人とも煩わせて悪かったな。丁度時間も時間だしお礼代わりに飯でも奢らしてくれ」

「わーい!もう私お腹ペコペコだったんだぁ!」

「じゃあお言葉に甘えるとするか!どこ行くよ?」

「あー、俺がよく行く店でも大丈夫か?結構飯が美味いんだよ」


そもそも俺が知ってる店なんて隣の羊亭くらいしかない。


「私はどこでもいいよ~!早くいこいこ!」

「俺もどこでもいいぜ!」


とりあえずダンたちに希望が無いようなのでシェリーに急かされながら隣の羊亭に向かう。

今は陽が暮れて多少時間が経ったくらいの為、通りにも人が溢れかえっている。店の戸をくぐると店内も繁盛していてシーナが忙しそうに給仕している。そんな中でも俺を見つけると嬉しそうに近寄ってきてくれる。


「あ、イーライ君!…と、後ろのお二人もイーライ君のお仲間さんですか?」

「あぁ、今日は三人なんだが席あいてるか?」

「三人ですね!すぐに片付けるのでちょっと待っててくださいね!」


そういって空いてる席の食器などを手早く片して案内してくれる。


「お待たせしました!こちらへどうぞ!」

「はーい!」


シェリーが元気よく返事をして席まで駆けていく。

それを見てダンと一緒に後をついていき、案内された席に着いたところでシーナが聞いてくる。


「今日はどうされますか?」

「とりあえずいつも通りオススメとエールを人数分と…あとつまみになるものを頼むよ。ダンとシェリーもそれでいいか?食べられないものとかあったり」

「特に食えないものもねぇし俺達もそれでいいぜ」

「じゃあすぐにお持ちしますね!」


そのままシーナは奥に消えていく。

その後ろ姿を見ながらシェリーが聞いてくる。


「へー。ふーん。もしかして彼女が例の?」

「……そうだよ」

「そっか~。可愛くていい子そうじゃない」


にやけながらシェリーが揶揄ってくる。その後もイジられながら待っていると…


「エールお待ちしました!」


シーナがシェリーと俺の間にジョッキをもって割って入ってきた。

シーナのいつもと違うそんな行動にビックリする。シェリーも同じくビックリしていたが何か得心いったのか途端ににやけ顔になる。


「ありがとう!シーナちゃん可愛いし彼氏とかいるんじゃない~?」

「彼氏ですか?いないですよ?」

「そうなの?でも気になる人とかいるんじゃないの~?」

「ふぇ!?それはそのぉ~…」


その質問にシーナが顔を赤くしてこちらを見てくる。

その反応に可愛く思うと同時にもしかして…と期待もしてこちらも少し恥ずかしくなってしまう。

そんなシーナの反応を楽しそうにシェリーが見ていたが満足いったようで笑いながら謝る。


「ハハハ、ごめんね。シーナちゃんが可愛くてついつい意地悪しちゃった!」

「いえ、大丈夫です…料理の方もすぐにお持ちしますね!」


そういいながら顔を赤くしたまま厨房の方へと逃げて行ってしまう。

助け舟を出したほうが良かったかな?と少し考えていたらシェリーが話しかけてくる。


「ダンジョンで話を聞いたときから思ってたけどもあの反応はシーナちゃんも満更でもなさそうじゃない!」

「だな!よかったじゃねーか!」


そういいながらダンも背中をバシバシ叩いてくる。シェリーだけでなくダンもそう思ったってことはやっぱり俺の思い過ごしじゃなかったんだなと改めて実感して気恥ずかしさを感じるも少し気まずくも感じる。


「おいおい、嬉しくないのか?」

「いや、まぁ嬉しいっちゃ嬉しいがやっぱり少し…な…」

「…もしかして幼馴染の子のこと?」

「あぁ…」


それでダンもシェリーも察してくれたのか揶揄うのをやめてくれる。


「どうしても心に引っかかってしまっててな…。なんとなくどこかでまだ生きてるんじゃないか。村に戻れば何もなかったかのように家もあってレーナが出迎えてくれるんじゃないか。なんてそんなありもしないことを思ったりしてさ。どうしてもまだ現実が受け止めきれてないというか…。まだレーナが好きなままで気持ちの整理がついてないんだと思う。でもレーナへの気持ちとは別にシーナのことも好ましく思ってる自分もいてさ…でもそんな状態で次のこととか考えていいのかとか、利用しているようで心苦しいというか…」


そこで辛気臭い話になっていることに気づくもダンもシェリーもつまらなそうな顔などせず、真剣に聞いてくれていた。


「まだちゃんとした答えは出てないがこの前ダンたちと話したことで復讐のこと含めて冷静に考えなおす機会になったよ。ありがとうよ!」


少しでも空気を変えようと二人に笑いかける。

それを受けてダンは少し気まずそうに頭を掻いている。


「まぁお節介だったかもしれないがそういってくれてこっちとしても助かるよ」


そんな会話をしているとタイミングよくシーナが料理をもって来てくれる。


「お待たせしました!今日は猪肉がたくさん入ったから猪肉料理です!」


そういってテーブルに並べてくれる。


「いつもありがとうな。美味そうだし食おうぜ!」


空気を変えるべく、少し元気にダンとシェリーに声を掛ける。

意図が伝わったのか二人も元気に答えてくれる。


そのまま三人で何気ない会話をしながら酒を飲み、楽しい時間と共に夜も更けていく。



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