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スライムの復讐  作者: シエラ
プロローグ
1/39

プロローグ

小説初投稿です。

文章書くのが苦手なので少しでも克服に繋がればと思い始めたのでおかしな点・文ありましたらご指摘お願いします。


4/4改稿


「ふぅ、今日はこれくらいで帰るか」


空を見て、日が傾きかけているのを見てそう呟く。

冒険者ギルドの依頼で害獣駆除の依頼をこなした帰りに時間にも余裕があったため、薬草採取を行っていたが今から帰ると村に着く頃にはいい時間になるだろう。

そう思い、一路村へ歩を進める。


村に着いた時には計算通り、そろそろ陽が沈むかといった時間になっていた。

そのまま村の門をくぐり、冒険者ギルドに向かうが道中でいつものように一部の村民からは陰口が聞こえてくる。


「早く村から出て行ってくれないかしら……」「まだくたばってねーのか」


いつも聞こえないふりをしているがそんな声が聞こえてくる。排他的なところもあるが僕の白髪赤眼はこの国では不吉の象徴とされていると昔聞いたことがある。

捨て子だったらしい俺は爺さんに引き取られなければそのまま殺されていたかもしれない。


俺を拾ってくれた爺さんも昔王都で冒険者をしていたらしく、様々な冒険者としての知識を教えてくれた。薬草などの植物や魔物、獣の生き物の知識、そして剣や体術など戦う術も。

昔から鍛えられていたこともあり、村の中では上位の強さがあると自負している。

それにより毛嫌いしている一部の村民も陰口しか叩けない。実害はないためにこちらも関わらないようにしている。


それに村民が全員そういった差別的思考を持っているというわけでもない。

冒険者ギルドに入ると受付嬢のマリーさんがこちらに気づいたようで声を掛けてくれる。


「おかえり、イーライ君」

「ただいま帰りました!依頼の確認をお願いします!」


いつものように討伐証明の部位を出しながら達成の確認をしてもらう。


「うん、依頼通りウルフ討伐出来てるね。じゃあこれ報酬の銀貨5枚ね」

「ありがとうございます!」

「それにしてもイーライ君も来週で16歳だね!……ロイのお爺さんも立派になったイーライ君を見たかっただろうね……」

「……そういえばもう3年も経つんですね」


育ての親の爺さんも3年前に亡くなってしまって今では一人で暮らしている。


「でも16歳になったらもう結婚できるわけだしレーナちゃんも待ってるんじゃない?今日も待ってるだろうし早く帰ってあげないとね!」


そうニヤニヤしながら言ってくる。


「そうですね。じゃあまた明日もお願いします!」


照れを隠すべく急いで冒険者ギルドを後にして家に帰る。爺さんも王都からの移住者ということで村とは少し離れた場所に家が建っている。

その家に帰る道中も家で帰りを待っているであろう彼女のことを考えると楽しくなる。


「ただいま!レーナ」

「おかえりなさい!イーライ!」


レーナとは5歳くらいからの幼馴染で当時いじめられていたレーナを助けてからはずっと一緒に育ってきた。

あまり気が強くないようで小さい頃はずっと僕の後ろに隠れているような子だったが一緒に遊ぶうちに僕はレーナのことが好きになった。


そんなレーナも2年前に事故で両親を亡くして悲しんでいた時期にした約束からはこの家で二人で暮らすようになった。


「……来週でようやくイーライも16歳だね。約束覚えてる?」


昔のことを思い出していたところに覗き込むように上目遣いでこちらを見てくる顔を見てドキッとする。小さい頃から可愛かったが歳を重ねるごとに体も出るところが出、引っ込むところは引っ込み、顔も整った美人になった。そんなレーナの上目遣いは破壊力が高く、顔が赤くなる。


「も、もちろん覚えてるよ」

「よかった。待ってるからね?」


笑顔で答えてくれるがその顔がまた可愛くてキスをする。

レーナが両親を亡くして悲しんでいる時に元気を出してほしくて色々手を尽くした時にある約束をした。


(イーライ君は私の前からいなくならないよね?ずっといてくれるよね?)


昔からベッタリだったこともあるがレーナはそれ以来、依存するかのようにずっとくっつくようになった。このままじゃいけないとは思うも僕はレーナが好きだからこのままでもいいかと思い、それ以来ずっと一緒に居る。


僕も爺さんが亡くなったことで悲しかったがレーナがいたことで救われた。寂しい思いもしなくて済んだ。他にも僕を救ってくれたレーナのことが大好きだ。

レーナさえいてくれれば他に何もいらないと思えるほどに…。




翌日、朝からレーナはテンションが高く、僕を起こしてくる。


「起きて起きて!」

「ん……もしかして行商でも来たのか?」


駅馬車は2日に一回のペースで来るが行商の馬車は不定期で来る。小さい頃から変わったモノがないかよく二人で見に行っていたこともあり、行商が来るたびにレーナはテンション高く、誘ってくる。


そして急かされるままに準備を終え、一緒に行商を見に行くべく村の広場に向かうといつもの行商のおじさんが準備をしているところだった。


「おじさんこんにちは!」

「おぉ、レーナちゃんにイーライ君じゃないか。二人とも今日も相変わらず仲良しだな」

「そりゃあもちろん!」


そんなとりとめのない話をした後にレーナが商品を見ている横で僕はこっそりとおじさんに訪ねる。


「おじさん、例のものは調達してもらえた?」

「バッチリよ、ちょっと予算よりもオーバーしたがその分は俺からの祝儀ということで受け取ってくれや」


そういって一つの小さい箱を渡してくれる。

それをレーナには見られないようにこっそりと確認すると中には指輪が入っている。

16歳になったら約束通りプロポーズを行うためにこれまで貯めていたお金を渡しておじさんに準備してもらっていた。


「おじさんありがとう!」

「なぁに、いいってことよ。それにしてもあんな小さかった坊主が今ではもう結婚だなんてなぁ……頑張れよ!」

「ちょっと二人で何こそこそ話してるの?」


流石に怪しまれたのかレーナから訝しんでいる。


「な、なんでもないよ。それよりも何か面白いものはあった?」

「んー、特に今は欲しいものはなかったかな」

「そっか、じゃあ帰ろっか。おじさんありがとね!」

「おう、二人も元気でな!……とそうだ、村に向かう道中、王都からの冒険者を護衛で雇ってたんだがこの村の奴みたいでな。何ともいけすかねぇ野郎だったから絡まれねぇように気をつけろよ?」

「気に留めておくよ」


そうしてそのまま二人でデートがてら村を散歩していると村長の家から一人の見慣れない金髪の男が飛び出してくる。


「と、あぶねぇな。気をつけろよ」


いきなり飛び出してきたくせにそんなことを宣う。

そのままこちらを見た後にレーナを見て下卑た視線で全身を見た後に声を掛けてくる。


「なんだ、辺鄙な村にこんな美人前までいたか?まぁいいちょっとこのまま俺と付き合えよ」


そういってレーナに手を伸ばそうとする男との間に割って入り、レーナを守る。


「レーナに触れるな」

「あ?なんだガキが。ガキは引っ込んでろよ」


そのまま僕を押しのけようとする手を掴んで止める。


「なにすんだ?クソガキ。離せ」

「お前こそいきなりなん「なにやっとるんじゃ」」


声がする方を向くとこの村のギルドマスターがこちらに近づいてくる。


「ちっ、厄介な奴が来た。覚えてろよ?ガキが」


そういってそのままどこかへ歩いていく。


「厄介ごとか?」

「いえ……あれは誰なんですか?」


男がギルマスのことを知ってる風だったために聞いてみる。


「あいつはクリスって言って王都で冒険者やってるやつでな、3年前に俺はこっちに来たがその少し前に冒険者登録しに来て少し面倒見てやったことがあったんだよ。この村にも何かの依頼か何かで来たんだろうがスキルのおかげで生意気な奴でなぁ、昔から手を焼いてんだよ」

「どんなスキルを持ってるんですか?」

「スキルのレベルは覚えてないが剣術と炎魔法と経験値倍加とか持ってたな。中でも経験値倍加なんて取得例が少ないスキルを持ってるもんだから自分は選ばれたものだなんだって調子に乗ってやがるんだよ……あんな奴でも3年も冒険者をやってるやつだ。すぐに王都に帰るだろうし、なるべく関わらないように気をつけろよ」

「……わかりました」


そういってギルマスと別れて家に帰ることにするも恐らくまたちょっかいをかけてくるだろう。気を付けていないと…




それから数日、これといった事件も起きることなく平和な日が続いていた。


「じゃあ今日も行ってくるね」

「行ってらっしゃい」


そんなやり取りをレーナとしてから今日も冒険者ギルドへ向かい、依頼の紙をボードから取ってマリーさんのところへ持っていく。


「マリーさんおはようございます」

「おはよう、イーライ君。この依頼ね…はい、頑張ってきてね」


そこで毎朝暇そうにしているギルマスの姿が見えないことに気づいて尋ねる。


「今日はギルマスいないんですね」

「何でも急用とかで昨日の夜に出て行っちゃったのよねぇ。昼には戻ってくるって話だけどね」

「ギルマスも大変そうですね」


そんな他愛無い話をしてから今日も依頼をこなすべく森へと向かう。




そして異変に気付いたのは昼過ぎ、空が曇り掛けているなと空を見上げると村の方で黒い煙が上っているのを目にする。

その光景に悪い予感がして急いで来た道を引き返す。


森から村まで距離があるために時間はかかったが全力で走った。村の前まで戻ってきた時には雨がパラパラと降りかけている。


「はぁはぁ、一体何が……」


全力で走ったため、少し息が乱れているが整えて村を見渡してみるも住人が見当たらない。

煙はもう上がっていないようだが何かあったのかと村を歩いて確認していると僕が住んでいる家がある場所に人が集まっているのを見かける。


「まさか……」


その光景に悪い予感がして家への道をひた走る。

そして目に入ってきたのは僕が爺さんと過ごしていた家が燃え果て、黒い柱がいくつか残るだけのものとその前で一人の火傷だらけの少女を治療しようとしてくれているギルマスとマリーさんの姿。


その光景が信じられない。頭が追い付かない。嘘であってほしい。

その思いで少しずつその火傷だらけの少女に近づく。


近づけば近づくほど火傷で顔や身体の大部分は焼け爛れているがそれでもずっと一緒に居たから分かる。分かってしまう。


それでも信じたくない一心で名前を呼ぶ。


「レーナ……」


声を掛けるも目を覚まさず、微動だにしない。

そこで僕の姿を確認したギルマスが顔を顰めながら場所を開けてくれる。


そのままレーナに触れてみるも体が冷たくなりかけている。


「お願いだから目を覚ましてくれよ…」


身体を揺するも動かない。

そこでもうレーナは帰ってこないことを実感してしまい、目から涙が溢れてくる。


「うわぁぁぁ……!!!!!」


雨脚が強くなるも関係なく、そのまま感情に任せて泣く。

村人は気の毒そうにするものや笑っているものなど三者三様の反応を示しつつ、自分の家に戻っていく。そんな中でもマリーさんをギルドに戻るように伝えてギルマスが寄り添ってくれる。




その後は記憶になく、目を覚ますとベッドで寝ていた。

物音で起きたことに気づいたのかギルマスが入ってくる。


「よう、元気……そうではないな」

「俺は……」


そこで思い出す。家が燃えて無くなったこと。レーナがもうこの世にいないことを。

それを思い出したらまた涙が零れてくる。


それでもギルマスは静かに寄り添ってくれる。そしてある程度泣いたことで落ち着いたところで事情を聞く。


「なにがあったか教えてもらえますか…?」

「俺も帰ってきたら煙が上がってるのを見てな……急いで向かうとマリーが中にレーナがいるかもっていうから中に入って救出したがもう手遅れだった……」


そう辛そうに教えてくれる。


「誰かが放火したとかですか!?あの王都の奴が…」

「一通り村人にも聞き取りを行ってみたが誰も見たものがいないらしくてな…」

「でもあいつしかいないじゃないですか!」

「だが証拠がないんだ…誰かが見ていたならすぐにでも俺も衛兵に連れてって罪を償わせてやりたいんだがな…」

「そんなのあいつに拷問でも何でもして吐かせりゃいいでしょ!?」

「悔しいのはわかるが感情的になるな。今近くの街から衛兵に来てもらって調べてるところだから結果が分かるまで待て」

「……はい」

「俺は一旦ギルドに顔出すがゆっくり休んでおけ」


そういって部屋からでていく。それでも納得できない。

ギルマスには悪いが直接問いただすべく家を抜け出して探す。


村長の家に泊まっていると聞いていた為、詰め寄るべく村長の家に押しかける。

すると中には数人おり、その中にはあのクリスとかいう男がいる。

男の顔を見ると怒りで掴みかかる。


「この野郎…!」


そのまま怒りに任せて殴ろうとしたがクリスに止められて逆に殴り返される。

そしてクリスと自分の間に鎧を着た男が割って入り仲裁をする。


「お前らやめろ」

「やめろってこいつがいきなり殴りかかってきたんだろ?」

「お前が放火してレーナを殺したんだろ!」


怒りに任せてそう叫ぶ。


「おいおい、言いがかりは止してくれよ。証拠でもあるのか?」

「証拠なんてなくてもお前しかいないだろうが!!」

「そこまでにしろ」


また殴りかかろうとするも鎧を着た男に止められる。


「…あんたら誰だよ。こいつの仲間か?」

「俺たちは衛兵だよ。調査に来た」

「じゃあこいつを捕まえてくれよ!」


そういいながら詰め寄る。


「はぁ、落ち着け。今調べているところが。それとも証拠があるのか?」

「証拠なんてないがこいつ意外ありえないだろうが!」

「証拠がないなら断定はできない。調べ終わるまで大人しくしていろ。これ以上騒ぐようならお前を先に捕まえるぞ?」


そういわれてはこちらも強く出れない。


「おぉ、怖い怖い。言いがかりなんて勘弁してくれよな。いつぐらいまで調査するんだ?」

「とりあえず今日1日調べてからだな」

「じゃあ明日ならもう王都に帰ってもいいよな?」

「まぁ冒険者カードを控えてるから構わない。坊主も今日は大人しく待っていろ」


そういわれてこの場では大人しく帰ることにする。

そして夕方に衛兵が結果を知らせに来たが変わらず証拠不十分ということでクリスは明日にでも帰るようだ。


納得できない。あいつしか犯人はいないのに悠々と生きていることが許せない。

衛兵が使えないならやはり自分で手を下すしかない。


衛兵から結果を聞いたその足で家があった場所に向かう。

今は煤けた柱が残っているだけだが地下室があった場所に近づいて廃材をどかすと石でできた扉が見えてくる。そこを開けて地下に下りると石でできていた為、中は燃えることなく残っていた。

この部屋はほこりを被っているが爺さんが冒険者時代に使っていた装備などを保管してある。防具の効果なのか長いこと保管されていたのにきれいなまま残っている。


爺さんの思い出の品であるため、使わずに大切に保管していたが確実にあいつに仕返すために使おうと思う。鑑定スキルを持っていないため、装備の効果などは分からないが剣とローブも持って一旦ギルマスの家に帰り、考える。


クリスは現在村長の家に泊まっており、衛兵もそこで泊まっている。もし夜中に襲うにしても止められる可能性が高い。出来れば邪魔が入らないタイミングで仕掛けたい。

明日の馬車で王都に帰ると言っていた。こっそりと着いていけばもしかしたら影から襲うタイミングなどもあるかもしれない。

そう考え、装備の準備をしてから大人しく睡眠をとり、英気を養うことにする。




そして翌朝、装備を整えてローブを着、外に出ると雨が降っている。ローブを深く被り、駅馬車の停留所に近づくと丁度タイミングよく駅馬車が来た。

そしてその馬車にクリスもちゃんと乗るようだ。顔を見ると負の感情が湧き出るも衛兵も近くにおり、今は我慢することにする。

なるべくローブを深く被りなおしてから自分も運賃を払って乗り込み、確実な機会を伺うも出発してから隣町までは衛兵がおり、手が出せない。そして隣町で衛兵がいなくなってからも王都行の馬車は人もそこそこおり、なかなかタイミングがないまま王都に到着してしまった。


このまま王都の検問を通って中に入られるともっとやりずらくなる。

そう思い、負の感情を我慢しつつ、検問に並ぼうとしているクリスに声を掛ける。


「おい」

「ん?なんだ?ってクソガキじゃねーか。しつこい野郎だな…俺は無実だって言ってるだっても信じねーよな。ちょっとついて来い」


そうして人気がない場所へクリスが先導して歩いていく。城壁沿いに進んで排水などが流れている人がいない位置まで来たのを確認して前を歩くクリスへと斬りかかる。


「と、あぶねぇな。やっぱり殺しに来たか」


そういいながら危なげなく剣で受け止められる。


「もう付きまとわれるのも面倒だからな…ここでケリをつけてやるよ!」


そういってそのまま斬りかかってくる。

何とか反応して避けることが出来たが背中に冷たいものが伝う。


「本気じゃないとはいえよく避けれたな。お前レベルは?」

「…59だが」

「はっ、やっぱり雑魚じゃねーか。そんな雑魚の分際でたてついたことを後悔させてやるよ」


そういって今度はさっきよりも早い剣筋で回避が出来ない。何とか回避しようとするも間に合わない。そのまま左腕を斬りつけられ、肘から先がなくなる。

体勢を崩したところへ蹴られ、地面に転がされた状態で聞き手を足で踏みつけられる。そして動けなくされた状態で見下すような視線と共に言ってくる。


「雑魚がたてつくからこうなるんだよ。それといいことを教えてやろう」


耳元に近づいて囁くようにしてこちらに言ってくる。


「…家に放火したのもあの女を殺したのも俺だよ」


その一言で再度頭に血が上り力いっぱい抵抗しようにも踏みつけられて動くことが出来ない。


「あっはっは、悔しそうだなぁ。それともう一つ。殺す前にあの女襲った時の顔をお前にも見せてやりたかったぜ」


その言葉を聞いて一瞬頭が真っ白になった。


「最高だったぜ?泣き叫ぶ顔も声も」


黙れ。


「あんな上物なかなかいないから殺すのももったいなかったが最後首を絞めながらするのは最高だったぜ」


黙れ黙れ黙れ。


「黙れ黙れ黙れ!!!ぶっ殺してやる!!!」

「雑魚のくせに何が出来るっていうんだ?」


そういいながら拘束を解いて腹を蹴られる。

衝撃に肺の中の空気が空になり、意識が飛びかけるも何とか保って立ち上がる。

そのまま怒りに任せて剣を振り回すも全部避けられてしまう。

そしてよけながらこちらに話しかけてくる。


「なんで俺がこうやって人目の少ない場所に連れてきたと思う?真実を伝えたと思う?」

「黙れ!」

「お前もあの女みたいに死ぬからと死体を隠すためだよ!」


そういって剣で袈裟懸けに斬りつけてから排水路へ蹴り落とされる。


排水路も朝からの雨によって水流が強い。少しでも助かるためにひたすらもがくも斬られた場所からの出血が止まらない。そのまま流されるも気づいたら薄暗い場所に打ち上げられていた。

何とか助かること自体は出来たが出血が多く、もう体も動かない。


「レーナごめん…」


自分にもっと力があれば復讐が出来たかもしれない。無力な自分が憎い…。あの日の自分の不用心な行動が憎い。憎い憎い憎いすべてが憎い。しかし気持ちと反して意識は遠のいていく。視界の隅で黒い塊が動いているのが目に入ったがそのまま意識を失った。


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