最後の世界
「あーぁやっと終わったよ。」
昨日まで演習だったため、今日は演習で使った装備の手入れを行っていた。
「村田さん、こっちも終わりましたよ。」
丁度後輩も一段落付いたようで疲れた顔で項垂れるながら言った。
「馬鹿、高橋仕事中は上級者には階級つけろ、うるさい奴に聞かれたら俺まで指導されんだからさ、でもまぁこの数の装備の整備はちょっと二人じゃ厳しいよな。うちもどっかの軍みたいに整備専用の部隊入ってくれたらいいのにな。」
おそらく自衛官誰しもが感じることであろう。
(まぁ予算とか日本の精神じゃそれも厳しいよな、昔の武士が自分の刀を誰かに整備させるなんてさせなかっただろうしな。)
「てか、先輩は明日から休みですけど何かする予定でもあるんですか?」
「まぁ日中は読書して、夜は元同期と酒でも飲みに行く予定だな。」(特に趣味もないしな。)
「あー、健一さんですか?奥さんとうまくいってるんですかね?」
「どぉかな、まぁ子供も出来て嬉し大変て言ってたな。」
「我々からすれば贅沢な悩みですね。」
(結婚かぁ、婚期逃してるからなぁ)
「まぁな…」
「あ、すいません。」
「気にすんな、もぉ1年以上経ってんだ。よし、あとは掃除して、終礼まで待機な。お疲れさん。」
そのあとは終礼をして、食事をして風呂に入って眠った。
「ごめん、他に好きな人ができたから別れて」
「なんで引き留めてくれないの?」
「私ってその程度の存在?」
「あなたのせいで摂食障害になったわ。」
(ふざけんな、勝手に別れ話して、感情を押し殺して別れたらこれかよ。ふざけんな。)
「もぉ連絡しないで」
「俺にどうしろって・・・」
(朝か、久しぶりにこの夢みたな。思い出したくないけど、いつも頭にある。なんて惰弱な人間なんだ。)
そのあとは食事をとり小説を読んで時間を潰し、夜は健一と飲む為外出した。
「お、秀ちゃん、先月ぶりだな、ちょっと顔がこけたんじゃない?」
健一さんは元自衛官で体格も未だ健在でその腕力で背中を叩いてくる。
「痛いって、一週間山暮らしだったからね。そっちも目の下に隈ができてるけど・・・?」
「まぁなぁ、子供の夜泣きと仕事も朝から晩までで睡眠時間平均3~4時間くらいだよ。もちろん、フルでは寝れないよ。」
「だろうね、今が一番大変な時期だろうしね。俺も一週間くらいまともに寝てなかったからよくわかるよ。」
「まぁ、仕事も仕事だしな。てか今度遊びに来いよ!」
こんな感じで二時間飲み続けた。
「わりぃ、嫁から連絡きて、帰りの催促きたからそろそろ帰るわ。まだ遊ぼうな。」
「あいよ、気をつけて帰ってね。嫁さんによろしく。」
「おう、秀一もな!」
その後1人で一時間程飲んで、今日はカプセルホテルに泊まろうと、歩き始めた。
(なんか頭がずきずきするな。ん?)
「秀一?」(誰だよ、こんな時に?頭が痛)
「やっぱり、秀一だね、久しぶり、、お酒飲んでるの?」
(ん?こいつは、梨沙か?痩せたな?摂食障害のせいかな?)
「まぁな、ちょっと飲み過ぎたみたいで頭痛いんだ、じゃぁな。」(早くホテルいって寝よ。てか予知夢かよ今日のは)
「まってよ、そっちに行くってことは今日部隊帰らないんでしょ?家に来る?」
「はぁ?行くわけないだろ。頼む、頭の痛みひどくなってきたから解放してくれ。」
「まって、私今までずっと考え…」
(何言ってんだ?目の前が歪んで…)
「秀?秀?大丈夫?!起きて?!今救…」
(脳梗塞でも何かにでもなったか?まぁもぉいいや)
そこで意識は途切れた。
色々難しいですね笑