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雨。

「 あー やっぱり 降ってきたかあ」


 6月に入って、毎日雨が、降り続いてたけど、 今朝は、久しぶりに晴れてたんだ。夕方になって雨が降りだした。

小降りの雨だけど、カッパ着ないといけないな。

 僕は、学校まで自転車通学だから雨が降ってる時は、 カッパを着て自転車に乗ってる。

ただ、このカッパが 問題なんだよね。

「 上は良いとして、スカートの上にズボン履くってどうなの 」

 学校指定のカッパは、上着とズボンに分かれたタイプで、ジャージなら問題ないけど、 制服だとスカートの上からズボンを履くことになる。

こういう時男だったらなあと思う。

 だってスカートの上からズボンを履くから、プリーツにしわがついちゃうし、動きにくい。

 クラスの他の子がやってるみたいに、スカートの下からハーフパンツやジャージを履いて、スカートを脱ぐなんて事をしてもいいけど、茜姉さんにみつかりでもしたら、笑顔で生徒指導室か英語準備室に連行されて、お説教だろう。


「 やっぱりごわごわするなぁ。文句言ってもしょうがない。早く帰るか」

 と僕が、自転車を出して乗ったとたん雨がドワー っと 強く降りだした。

「 さっきまで そんなに降ってなかったじゃないか! 」

 思わず叫ぶけど、 容赦なく雨は降ってくる。

ザーザーというよりは、バシャバシャといった方がしっくり来るような降り方だ。

 こんな雨じゃ、カッパなんて役に立たない。

滝壺までいかないにしても、巨大なシャワーを浴びてる気分だ。

実際、通学時かぶってるヘルメットを伝って雨水が背中に入ってくるし、前は、ろくに見えないし。髪も濡れるし、ペダルこぐ度に、 カッパのズボンを伝って、雨水がスニーカーにまで、入ってくる始末だ。

1人雨に向かって、悪態を吐きながら、約4キロの道のりを必死に自転車で帰る。

 あんなに、苦労したにもかかわらず。これは、どういう事だろう?


「僕が帰ったとたんに、雨が止むとか、なんの嫌がらせだよ!」

  そう僕が、学校を出る頃に降っていた雨は、自宅近くになると弱まり、僕が、家に着いた途端に止んだんだ。

なんか釈然としない。

 びしゃびしゃになったカッパを脱いで 洗濯干場に吊るしてから家に入る。

「 ただいま 」

「 お帰り、 すごく降ってたな。早くシャワーを浴びて、着替えてしまいなさい。風邪ひくよ」

仕事が休みで家にいた道春父さんが、タオルを差し出してくれた。受け取り拭いてると 気まずそうに 咳払いをして一言

「 ミズキ、ブラウス」

「へ?」

 ブラウスがどうかした?タオルで、拭きつつ、視線を落とすと、濡れてうっすらと透けて見える下着のライン。

 

「 うぎゃあ 」

僕は、あわてて、ブラウスの上を腕で隠して、そのまま2階の自室へ駆け込み、着替えを持って、1階へと舞い戻る。

道春父さんは、僕と顔を合わせるが気まずいらしく、自室である書斎に引っ込んだみたいで、リビングやダイニングキッチンには、いなかった。



 僕は、熱いシャワーを浴びながら、さっきの事について考えた。

 いやはや本当に、異性に下着が見られるのは、恥ずかしい。家族でも恥ずかしいのにさ、これがもし学校で、しかも高橋くんに見られたら?

恥ずかしくて死んじゃうかも。いやいや高橋くんじゃなくても、男子に見られたら、最悪だ。

 クラスの男子の大半は、大喜びするだろうな。高橋くんは、必死に顔をそらしてくれるかな?

それとも、大喜びする男子達を怒ってくれるだろうか?

って、僕、何考えてるのさ!早く出よう。のぼせちゃうし。

とお風呂から出た僕だけど、変な思考に囚われちゃたせいか、しばらく悶々と、高橋くんの事を考えていたのだった。



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