隣の席の高橋くん。
「おはよう」
朝、僕は、自分の席について、鞄から 教科書を机に移しながら、 隣の席の高橋健人くんに挨拶するんだけど、高橋くんは、僕から目をそらしてしまう。それも、熊みたいに大きな身体を捻るようにしてまでだ。
「 おぅ」
とだけ返事はしてるから、無視されてるわけじゃないみたいなんだよね。
だけど、初めて会った時から、なんか避けらてるような気がする。どうしてだろ? 昼休みにでも相談してみようかな?
―――
「 高橋が ミズキを 避ける理由 ?」
「 うん。なんか 僕、気に障るような事したかな って。でも 思いつかなくてさ」
「そうねぇ」
と僕の前で、小首をかしげてる女の子の名前は、緒方 唯花という。 髪をショートにした活発な女の子。高橋くんとは、幼なじみだというので、僕が避けらてる理由がわかると思って相談中である 。
「 多分ね ミズキがね 小動物みたいで、かわいいからじゃないかな」
「 何ですか その理由 」
あまりにも、微妙な反応しちゃったせいか、唯花は、苦笑いしながら答えてくれる。
「あのね、高橋さ、あの大きな体に似合わずね、リスとかハムスター みたいな小動物が好きなの。女子も小動物みたいに かわいい娘が良いって言ってたから。でもね 女子と話すと緊張するから いつも好きになった娘には、あんな態度になってたしね」
「えーと、誰が誰を好きって事ですか?唯花さん」
今の話を聞いて理解したつもりじゃいるけど、恋愛関係の話を避けてきた僕としては、免疫のめの字すら無い話だからね。わざわざ唯花に確認しないと、感情の整理がつかないのさ。
「そりゃ高橋がミズキに、ほの字に決まってんじゃん。ちなみにミズキは、高橋の事どう思ってる?」
「んっ?んー。良き隣人かな?」
「何それ?せめて、友達とかくらい言えないの?」
「言えない。だってホントっに、高橋くんに対しての気持ちよく分かんないんだもん」
唯花は、呆れ果てたのか、絶句してしまった。
いや絶句したいのは、僕なんです。
異世界で22年生きてきたっていってもさ、さっきも言ったけど、恋愛は避けてきた。だから、恋愛関係は、子供並なんだよ。
だから、いきなり好きだなんだって言われても、訳わかんないんだよ。
高橋くんが、避けてる理由らしき事はわかったけど、今度は、僕が高橋くんに対しての気持ちが、どういったものなのかは訳わらなくなってきた。
とりあえず、仲の良いクラスメイトって事にしておこう。
恋愛の好きかなんてのは、僕にはまだ早いんだ。しばらくは、棚上げにしとこ。
そう結論づけた僕だった。