文化祭
次回の前振りのような話なので、サラッといきます。
今日は文化祭。毎年十一月の終わりになるとうちの中学校では、毎年文化祭が行われるんだ。
二日間あって一日目は、校内の合唱コンクールと合唱部と吹奏楽部によるミニコンサートで、これは、父兄の方々は入れない。先生と生徒のみで行われるんだ。んでニ日目は、父兄の方々も学校内に入れるんだ。
主に文化部の展示や発表が主なんだ。
体育館では、合唱部や吹奏楽部によるステージ発表が行われる。特別教室棟で行われる展示発表は、美術部の部員が描いた 風景画やイラスト コンクールで入賞した作品の展示。それからもちろん、 僕達手芸部の展示もある。
刺繍が施されたハンカチやクッションにぬいぐるみやマスコット。あっ僕は、クッションとマスコットを作ったよ。
だけど、人が少ない。閑古鳥が鳴いてるまではいかないにしても、少ない。
一応 父兄も展示発表 見れるんだけどな。
そんなに我が部の展示は不人気なんだろうか?
その事を一緒に 受付に座ってる部長の 安仁屋先輩に質問した。
「 皆 合唱部や吹奏楽部のステージ発表に集中しちゃうのよ。うちの学校の 合唱部も吹奏楽部も コンクールで 毎年全国大会に行くぐらいレベル高いから。それに体育館の外で、制服とか体操服 着れなくなったやつ貰えるから、そっちにも人が集中するのよ。 来年 入学する子がいる親とか 身長が伸びて、制服が合わなくなった男子の親とかがね 」
うーん。納得出来るような出来ないような。複雑だ。確かに合唱部も吹奏楽部の演奏も凄い。
それは昨日聴いたから分かってるんだけどさ。だからってそっちにばっか行かなくてもよくない?
文化祭って文化部の少ない活躍の場なのにさ。なんか不公平だ。理不尽だ。
しばらくたまにやってくるお客様に説明しつつ、とある疑問が浮かんできた。
「そういえば、うちの部の展示品、文化祭終わったらどうするんですか?」
「 近くの保育所や幼稚園 老人ホームに寄付するのよ」
「へぇ、知らなかったです」
「特にクッションや座布団は老人ホームに入所してる高齢者の方に好評なんだって先生言ってたわ」
そうやって人の役に立つのは、嬉しい。僕の作った物が、大事にされるといいなと思った。
文化祭が終わり、手芸部の部室である家庭科室の片付けをしていた。
部室内は、文化祭が終わった安堵感からか皆お喋りしながら、作業してる。
楽しかった後は、皆の嫌いなあのイベントがあるからなぁ。今だけでも現実逃避したいのかもね。
勉強嫌いじゃない僕でさえ嫌だなと思うもの。
だけど、健人くんは周りの空気を読まずにボソリと一言。
「期末テストがあるなもうすぐ」
「……今 それここで言うかなそれ」
だけどそのお陰で僕はある事を 思い切って提案出来る。
「あのさ、僕の家で 一緒にテスト勉強 しない?」
「 えーと いいのか?」
「 別に、変な意味じゃなくて、道春父さんが 一度 健人くん 連れてこいって 言ってたし 唯花誘ったら 断られたの。なんか 知り合いの高校生に 勉強みてもらうのって めちゃくちゃ嬉しそうに言ってたし、だから」
「ああ それなら うん 」
「じゃ 明日 ね 僕の家でね。休みだし 10時に待ってる」
そうやって約束を交わすと、僕は恥ずかしさをごまかすため、スタコラサッサと健人くんの前から、逃げたのだった。




