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僕には、人に言えない秘密がある。  作者: ねこた まこと


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13映画


「 これで いいかな?」

 朝早く起きて、タンスの中身をひっかきまわしてようやく決めた服は、白と紺のボーダーのTシャツとデニムスカートというコーデにしてみた。

他にもあったかなとは思う。だけど、 無難でいいよね。

 気合い入れすぎて、変に思われても嫌だし。

髪の毛は、学校の日は、一つにくくってるし、家にいるときも ヘアクリップでまとめてるけど、今日はおろしてみた。

別に高橋くんに可愛いって、思われたいわけじゃないからね。


「ちょうど、5分前」

 いつも 来る大型スーパーの一角。シネコンが入ってる建物の横で 待ち合わせしてる。

「 佐藤 」

 呼ばれて振り向くと 高橋くんがいた 私服は、一度しか見たことないけど 黒のTシャツにデニムパンツだ。

なんとなく予想はしてたけど、お洒落とは程遠い。まぁ無難な服装を選んだ僕がどうこう言える義理じゃないけどね。


「 髪 おろしてるから 最初誰かわからなかったよ。でも似合ってる」

「 ありがと。あのさ」

「なんだ?」

「 僕の秘密知って 気持ち悪いとか思ってないの?」

 昨日から気になってたんだ。唯花は、気持ち悪いとは言ってなかったけど、

高橋くんの気持ちを知りたいんだ。

いやもうこれ、蛍光ペンでアンダーライン引きたくなるくらい重要だから。


「気持ち悪いって思っていたら そもそもこうして 誘わない」

僕は、その言葉を聞いて 顔が綻ぶ 。

「 そっか 安心した、 ねぇ今日どんな 映画観るの?」

「それは、観てからのお楽しみだ」

ニヤリと笑う高橋くん。なんか嫌な予感しかしないんだけど。



―――


「えー、これって、今、話題のホラー映画だよね?」

「あぁ。俺らが生まれる前に大ヒットした映画のリメイク版だ」

 と意地悪な笑顔で高橋くんは、言う。

ぜっったい姉さんから、僕がお化けが嫌いって、聞いてるな。

でなきゃこんな映画選ばないよ。うー、

怖すぎて死んじゃうよぉ。

とか考えてる僕を置いて、高橋くんは、ジュースやポップコーンを買いに行ってしまった。


 これから僕達が観ようとしてる映画のタイトルは、「学校の花さんと一郎くん」。昔、小学生の間で流行った都市伝説を元に作られたホラー映画のリメイク版だ。

―――実は、子供の頃近所の子と肝試しした時に、ちょっと恐怖体験しちゃったんだ。以来お化けとか苦手なんだよね。

 実はこの前、オリジナル版をテレビで放送してたのを姉さんと一緒に観てたんだ。最初は、『お化けなんか怖くないもん』って強がってたけど、途中から怖くなって根をあげちゃったんだ。

観る前から怖くて仕方ないけど、高橋くんがいるなら大丈夫かな。





 映画が終わっても僕は、まだ身体が ぞわぞわしてる。

高橋くんは、トイレに行ってていない。

「 それにしても、僕、何やってんだろう 」

 いくら怖いからって、高橋くんの手を握っちゃうとか、ありえないでしょ。

まぁ、抱きつかなかっただけマシか。

 でも、普通の女の子みたいに、手を握るとかしたから、内心呆れてるかも。

元男の癖に女々しいとか。いや、今女の子だから、女々しいとか変かな?

あーもう分かんない。


「 うぎゃあ 」


 考え事してたら、イキナリ冷たい物が首に触れてきたし。

「 びっくりしたか 」

「 びっくりしてないもん 」

 後ろには、冷たいジュースを持った高橋くんが、いたずらっ子のような笑みを浮かべてた。

「いや、脅かすつもりは、無かったんだ。すまん」

「あっうん。コッチこそごめん。変に驚いて」

と僕は、お礼を言ってから、ペットボトルを開けた。

ペットボトルを開けながら 、夏休み明けに行われるテストの事を思い出して 僕は、その話を高橋くんにしてみる。

「 そういえば 休み明けテストが あるよね 確か始業式の日に 英語と数学 次の日に 国語 社会 理科 だったね。 確か」

「 そうだな ミズキは、大丈夫なのか ?」

「多分ね。一学期テストは、大丈夫だったけど 社会が微妙にヤバいかな 」

「なら 一緒に勉強するか?」

思わぬ 申し出だ。嬉しいけど

「 本気で ヤバかったら お願いします」

本当は、一緒に勉強したいのに、全然素直じゃない 自分に、腹を立てた。

そんな 僕の気持ちを知らずに高橋くんは、気を悪くした様子もなく ただ そっか そんときは、言えよとだけ言った。

僕は、帰り道 めちゃくちゃ後悔しながら帰った。



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