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僕には、人に言えない秘密がある。  作者: ねこた まこと


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10/21

アストロメリアへ 1

 平和学習とホームルームが、終わり、帰ろうとしたところを僕と唯花、それと高橋くんが、茜姉さんに捕まった。

なんでも英語準備室の整理を手伝えとの事だ。


「 なんで 、僕達が 茜姉さんの手伝いしなきゃいけないの?」

 そうボヤキながら、英語準備室の一角で、唯花や高橋くんと一緒に山のような書類を仕分けてるんだ。

家の手伝いは、いくらでもやるけどさ。

学校で、こき使うとかやめて欲しい。

姉という立場を利用した、職権乱用じゃない?公私混同も甚だしいんだけど。


「 いや 3人が 宿題を終わらせてるって話を聞いたもんで。 しかも 部活無いっていうし こりゃ 丁度いいかな って思ったのよ」

 茜姉さんは、 悪びれることなくそう言ってくれる。

イヤイヤ。計画的犯行のニオイが、プンプンなんだけど!


.

「 そりゃ そうでしょ!3人共 手芸部なんだから!しかも昨日何気に、高橋くんの道場へ行く日とか知らないかとか訊いてきたでしょ! それわかってて、僕達捕まえたんでしょ!」

「そうよん 実は」

茜姉さんは、 さらっと言ってくれた。

―――やっぱり。まったく、妹として恥ずかしいんだけど。妹だけじゃなく、妹の友達まで使うんだから。


「俺は、別にいいけどな。どうせ 家に帰っても暇だしな」

「あたしも 面倒みなくちゃいけない 弟共は、じいちゃん家に泊まりに行っていないしね 」

 2人共いい人過ぎるぞ。今後も そんなだと、茜姉さんに使われちゃうぞ。




「 帰りウチに寄って行ったら?お礼に 夕食 ご馳走するよ。家の人には、そう言えば 大丈夫でしょ?」

「 じゃ お言葉に甘えて 」

 2人は、 二つ返事で OKした。

作業が 終わり帰る支度をして 校舎から出ようとしたとき 異変が、起きた。


突然 光が 僕ら4人を包みこんだと思ったら 下へ向かって落ちていく 感覚が 伝わってくる。

「 うわわ」

「何々?」

「落ちる落ちる」

「 きゃあ なによ」

4人それぞれ 悲鳴をあげること 数秒後 校舎からいきなり 教会らしき建物の裏へ着いた。

僕達は、あたりを見渡していると 鋭い女性の声がした。

「そこにいるのは誰?ここは、聖アストロメリア教の教会よ 早く立ち去りなさい!」

と聖アストロメリア教のシスターの証である黒いワンピースを纏った女性が出てくる。女性は、慎ましくあるべきとされるこの国では、珍しく勝ち気な雰囲気を醸し出した、黒髪の女性。僕の幼馴染であり、大事な家族だ。

 

「アスカ」

 声やパッと見た感じは、わからないかも知れないけれど、彼女ならすぐ分かってくれるはず。

 女性は、鳩が豆鉄砲を食ったような目をして、僕を見つめ


「まさか ミズキ?」

「そうだよ ミズキ ハートウェル 」

「 えぇ〜。一体全体どういう事? 死んだんじゃあ。それとも化けて出てきたとか?」

 とベタベタと、僕を触ってブツブツ言ってるし。幽霊じゃないわねとか。

いや、一時的に実体化してるのかもとか、色んな事言ってるし。

「アスカ。落ち着いてくれない?あのさ、今までの事、ゆっくり話したいから、 教会の中入っていいかな?」

「 いいわよ あんたが そんな可愛い姿の理由とお友達?の話も聞きたいしね」

 

 アスカは、そう言って教会へ僕ら4人を 招き入れ、小さな部屋へ僕らを通した。

「 適当に 座って お茶いれるから」

 アスカは、部屋の隅のコンロに火をつけて、湯を 沸かす。さっきまで、動揺してたのに。切り替えが、早くて助かる。

お茶を5人分用意すると 自分も席に着く。

「まだ、私の名前教えてなかったわね。

私は、アスカ エイベル。ここでシスターやってるわ」

アスカの自己紹介のあと、茜姉さんが自己紹介する。

「 私は、 佐藤 茜 学校の教師 この子達は、皆 教え子よ。ミズキとは、家族として 一緒に暮らしてる」

茜姉さんに促されて 高橋くんと唯花も自己紹介する。

「高橋 健人といいます」

「緒方 唯花 です」

2人の自己紹介が、済むと 茜姉さんが口を開いた。

「 まずは、アスカさんの疑問に答えなくちゃいけない わね ミズキ あんたから説明しなさい それと 高橋くん 緒方さん 2人にとって 驚く話になるけど 大丈夫?」

「 大丈夫です 多分 ミズキが、 実は、男でした。って言われても 」

唯花の一言に僕は、顔がひきつった。

「 えぇっと そのまさか なのその顔は、ミズキ。私 適当に言っただけ なのに 」

「 お前は、黙ってろ緒方 」

 唯花がしゃべると 収拾がつかなくなると思ったのか 高橋くんが 唯花を黙らせた。

僕は、洗いざらいすべてを話した。

「 それで、その姿なんだ 理由は、わかった けど あっちの 2人は、どうなのかな? ミズキの事 変に 思ってるんじゃ」

と アスカ は、言うけど 唯花 の反応は、

「 すげー 私 ミズキの秘密知っちゃったよ

ねぇ 高橋」

「 うん まぁ 大変だったな 」


 高橋くんは、驚いて 何を言っていいのかわからない感じだけど 唯花は、僕の秘密を知って喜んでる。

「 軽蔑とかしないんだ?」

「 軽蔑?なんでー ? ミズキはミズキじゃん すげー体験してるだけ他と違うんだろうけど、普通の人と変わらないでしょ? 」

「 うん まぁ 」

唯花の言葉に僕は、頷くしか出来ない。

「 それは、そうと 今度はあたしの 疑問に答えてもらえるかしら アスカさんとミズキとの関係とか」

「 幼なじみで この教会の運営する孤児院で 育った 家族でもあるの」

 アスカは、ゆっくり話す。僕が、この近くの炭鉱の町で生まれた事。 僕の父親が 炭鉱の事故で亡くなった事。その後、後を追うように母が亡くなり、この教会の孤児院で、アスカやアレックスと出会い、一緒に育った事。


「 ミズキは、15歳になると空軍の士官学校へ入った この国は、15歳で士官学校へ入れるから よその国は、違うけどね。」

「 隣国 と戦争に なるって話になって 僕は 戦場へ赴く事になったけど 正直行きたくは、なかったよ。軍人が こんな事言っては、いけないけど 士官学校だって パイロットになる方法がそれしかないから 入っただけ まぁ 戦争に行きたくないとかいうのは、表に出さないようにしてたよ。知られたら 即 軍法会議だから。」

僕は、そう言った。


「おめえ らしいけど 」

いきなり 聞こえてきた 声に反応して 皆が振り向くと モスグリーンの軍服に身を包んだ、彫りの深い顔立ちをした男性。僕のもう一人の幼馴染であり、家族だ。

「アレックス いつの間に 」

アスカの問いかけに アレックスは、悪びれもせず

「 そこのお姉さんが 自己紹介してたところから。俺 アレックス ホンダ よろしく」

と 茜姉さんに ウィンクする。

 相変わらず女好きだ。美人を見ると、すぐナンパするんだから。

 まぁただ、茜姉さんは、アレックスの行動を華麗にスルーし、事務的に自己紹介してた。




「 ナンパは、いいから こっち来て 座りなさい」

アレックスを交え 話を続けた。

「 こいつ 子供の頃 まわりからは、変わったやつって 言われて 友達は、俺とアスカしかいなかったんだ。」

「 別に 変わってる って思った事ないけど?アレックスさん ミズキのどこが変わってるんですか?」

 唯花の顔は、ほんの僅かに赤い。

多分、怒鳴り散らしたいのを我慢してるんだ。猪突猛進な処がある唯花にしては、珍しい。


 アレックスは、唯花のたぎる怒りに気付いたんだろう。自身の発言を訂正した。

「 言葉が 足りなかったな。ミズキの考え方が 変わってるんだ まわりからみたら 俺やアスカはそう思った事は、ねぇけど」

「 えっ?」

唯花は、きょとんとする。

アレックスは、少し考え口を開いた。

「なあ 茜さんだったけ?あんたらの国じゃさ男は、こうじゃなくちゃダメ、女は、こうあるべきみたいな考えがあるか?」

「どういう意味?」

「上手く言えねぇけど男は、強くてたくましく女子供を守るべきとか女は、おしとやかでみたいな」


 アレックスの言いたい事がようやく理解出来た茜姉さんは、あぁそうゆことと呟き。

「ないとは、言わないけど 今あなたが言ってたみたいな事は、古い考えだって 批判されることがあるわ」

「そうか 、いや この国じゃその考え方が普通なんだ というか 世間の常識みたいになってる」

「けれど ミズキは、それが 間違いじゃないかそう言ったから 変わってるって 言われた そういう事でしょ?」

茜姉さんの指摘に アレックスは、頷く。

「 ミズキの考え方は、日本じゃ普通になってきてる。まぁ たまに そういうさっきあなたが言ってみたいな事言う人は、いるけどね」


茜姉さんは、一度言葉を区切って

「 まぁ あたしもさ偉そうな事 言えるほど人間できてない。でも これだけは、言える まわりと考えが違うから変わってるって言われると悲しいわね。あたしの意見だけどね」

「 そうかも 小さな時から そういう風に教わるから 誰もその事に疑問に思わないのよね あるいは、疑問に思っても ミズキみたいに口にしないのよ まわりから 批判されるの何となくわかってるから」

 アスカや茜姉さんの言葉を聞いて 僕は、この国にいたときの疑問が とけて 嬉しかった。

そんな事 考えてたら 高橋くんが ぼそりと一言。

「 スゴい勉強になる話のあと で、申し訳ないんですけど 俺たちどうやって 日本に帰れるんですか?」

「 そういや そうね」


重大な問題だったよ。どうやって帰るのさ、僕ら。


補足説明です。エピローグでは、戦争前ですが、アストロメリアでは、戦争は終わって、1年以上経過しております。

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