エピローグ
ここは、アストロメリア国と呼ばれる国。今現在、戦争の足音が聞こえるこの国のとある空軍基地では、訓練が行われていた。
雲ひとつ無い青い空のもと、実戦を意識した模擬空戦の真っ只中だ。
複数の複葉機が飛び交い、本番さながらの戦闘が繰り広げられていた。
けれど その内の一機が、飛行不能に陥っていた。
「くそ!直前の 点検じゃなんともなかったはずだ!」
僕 ミズキ ハートウェル は操縦席で そう叫んでた。
懸命に 操縦してるけど、 努力を嘲笑うかのごとく。 僕が乗る複葉機は、傾き、やがて、ぐるぐると回転しながら、地面へ叩きつけられた。
こうして、 アメストロメリア 空軍の訓練中 僕 ミズキ ハートウェル は、事故で死んだ……筈だった。
気が付いたら、真っ白で 何も無い空間にいた。あの世かな。当然か。
まだやりたい事たくさんあったけど、仕方ないかな。
「 正確にゃお前は、死んじゃいねぇよ」
僕の思考を読んだかのように、背の高いスーツ姿の男性が現れた。
「 いきなり誰?」
初対面の人にタメ口でそう言っちゃったけど、男性は、気にするでもなく話しを続ける。今思ったんだけど、話し方は、軽々しく感じるのに、感情が一つも伝わって来ない。人形が喋ってるみたいだな。
「この 空間を管理する者だ。ちなみに 神に近いけど ちょい 違うからな」
「 そう。どうでも良いけど、さっき、僕は死んでない そう言ったよね」
「ああ 死んでもないし 生きてもないし、
まぁあっちのお前さんは、瀕死の状態だからいつ死んでもおかしくないけどな」
「じゃ戻してよ!あなたならそのくらいの事できるよね?」
「いや出来ねぇ」
「えっ?」
言われた事はシンプルだけど、重すぎる現実だ。
瀕死とはいえ、今戻れば生きれるんじゃないの?そりゃ、軍人だから嫌でも戦争に行かなきゃいけないかもだけど……
そんな僕の気持ちを無視するかのように、男性は、軽い口調だけど、機械的に説明を続ける。
「魂ってやつは、一度、身体から離れると、余程の事がない限りもどせねぇ仕組みなんだ。ちなみにここは、何らかの原因で身体から離れた魂が、やって来ちまう場所だな。要するにあの世とこの世の狭間なんだ。俺は、ここへ来ちまった魂をあの世へ送ったり、別の世界へ送るのが、役目だ。あっ一応リクエストは、訊くぜ」
あっ希望は訊いてくれるんだ。だけど、なぁ。別の世界ってどういう事だろう?天国や地獄以外に何があるって言うのさ?
「あの世へ 行くのは、わかるけど 別の世界行くってどゆこと?」
「そのまんま の意味だ お前が 生きてきた世界とは、また別に世界があるんだ。たとえば、お前の感覚でいうと、おとぎ話みたいに、剣と魔法の世界だったり、逆にお前がいた世界より、物凄く科学が発達した世界だったりと、まぁ色々あるわな」
「 ねぇ 僕が そのさ、 別の世界へ行きたいって望んだら 送ってくれるの?」
「 出来るさ。 そのかわりお前は、あっちの世界じゃ死んだ事になるし、それにな」
男性は、ここに来て言うのをためらってるみたいだ。さっきまで、感情一つ覗かせなかったのに、明らかに困惑してるな。
「何か まだ あるの?」
「別の世界へ送るには、対価 いるんだよ。 ぶっちゃけ て言うとさ、若返ってさ、 性転換しなきゃいけねぇんだわ」
どういう事だろう?
頭の片隅じゃ、『やめとけ、あの世へ行った方がいい』ともう一人の僕が言ってるけど、口では別な事を言っていた。
「ようするに、女の子になる挙句、子供化するって事?」
「おうよ。ちなみにお前いくつよ?」
「 22歳」
「22 かぁ そこから10歳割り引くから12歳って事になるな」
「えー!」
思ったより若返るなぁ。十二歳の女の子なんて仕事ないじゃないか。
まぁ行ってみなきゃ分かんないか。
「 なら 行くの辞めるか?」
男性は、僕の心情を読んだのか、そう訊いてきた。
一度決めたものだもの。ここで撤回するのは、男が廃る。……もうすぐ男じゃなくなるけど。
「 ううん 行く」
「わかった。 んじゃ お前は、日本って国 がある世界へ送るな。多分そこなら うまくいくはずだ」
青年は、言うやいなや 何か唱える
そして、僕のまわりは光に包まれた。
「 じゃ 達者でな 健闘を祈る」
僕は、その言葉を聞いて 意識を失ったのだった。
私が、最初に書いた作品です。
所々、加筆いたしました。