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世界を救う歌を探して  作者: でこっぱ
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最初の目的地

翌朝、シーナの両親の料理屋に集まり朝食を食べる。


「それじゃあ、冒険よ!冒険!」


ルーが張り切っている。



「冒険って言ってもお前、何がしたいんだ?ギルドに入ってモンスター討伐とか、お宝探してダンジョン探索とかあるだろ?」


ラドはソーセージを頬張りながらルーに聞く。


「んー、何でもいい。」

「何でもいいってお前なあ。」

「ルーはゼスタと冒険するのが目的ですもんね。行き先何てどこでもいいんですよ。」



「ねぇ、ゼスタ。どこ行きたい?」

「ルーに希望がないなら、行きたいとこはあるんだ。」


実は、昨日登録所の職員に教えてもらったことがある。


「山を2つ越えたところにあるデールって町に、吟遊詩人がいるらしい。その人を訪ねて専用スキルを教えてもらいたいんだ。」


戦士や魔法使いは数が多いので、専用スキルは至るところで覚えることができる。逆に、数が少ない職業は、専用スキルを使える人間を探して教えてもらうか、自分で編み出す必要がある。


「じゃあそれで決まりね。」

ルーは手をパンっと叩く。



「…ラド。塩とって。」

「お前、昨日俺をあんな目に合わせて詫びの一つもなしに…まぁいいか。ほら。」

ラドは、昨日の騒動なんて無かったかのように同じ食卓にいるセアに塩を渡す。



「昨日のセアにはびっくりしたよ。いつもびっくりさせられてるんだけどさ。」

そう言って会話に加わって来たのはソランだ。燃えるように赤い髪とは対照的に、いつも自信のない表情をした少年だ。


「…ソランはいつもビビりすぎなだけ。」

セアは口を尖らせる。


セアとソランは、町の孤児院に住んでいる。モンスターに襲われた村の出身で、身寄りがない。孤児院には、2人と年の近い子がおらず、僕らと一緒に遊ぶことも多い。




「デールって町って、モンスターが強い山を迂回して進むとけっこう時間がかかるんじゃない?初めて町を出る2人がいきなりそんな冒険して大丈夫?」

「うーん。やっぱり、もう少し慣れてからの方がいいのかな?」

ソランが言うことももっともだ。職業に就くまでは町から離れたところに行くことは禁止されているので、僕らは遠出の経験がない。



「俺も付いて行こう。」


ラドが提案する。



「でも、ラドは自分のパーティーがあるんじゃないですか?」


シーナの言う通り、ラドは既に職業に就いて3年経ち、自分のパーティーを作ってギルドでモンスター退治の仕事をしている。



「ちょうどうちの戦士が里帰りしてるんだ。戻って来るまでは時間もあることだし、何より大切な妹と弟分のことも心配だからな。冒険の基本的なことを教えてやるよ。」



こうして、僕とルーはラドの手を借りて初めての冒険に出ることになった。

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