ローグラン
あの子供たちを見逃したからといって、私が救われるわけでもない。
多くの人間を殺してきた懺悔のつもりでもない。
気まぐれ、一時の気の迷いだったのだろう。
思い出したくもないことを思い出してしまった。
私は昔、何も知らない子供だった。
父はそれなりに名のある商人で、母は町の名士の一人娘であった。
裕福な生活であったことは自覚している。
町の中で、私の屋敷より大きな家は見たことがない。
町から離れたこの屋敷も、両親の娯楽のために建てたものだ。
多くの美術品を収集し、お抱えの美術家に庭に像を作らせていた。
父と母は私を大切にしており、私も優しかった父と母が大好きだった。
町の同年代の子供たちと遊び回り、泥だらけの体のまま屋敷でかくれんぼをしても、両親はいつもニコニコとしていた。
広い遊び場、豪華な食事、綺麗な風呂。
町の子供たちと別け隔てなく接し、これらを提供する私は、町の子供たちの中のリーダーのようになっていた。
庭でいつものように勇者ごっこをして遊んだ後、夕食の席で父に褒められたこともある。
まだ小さいのに、町の子供たちから信頼を集めるお前を誇りに思うと。
その日は、何だか嬉しくてニヤニヤとベッドの中で笑っていたのを覚えている。
私は父の期待に応えようと、子供ながらに勉学に励み、町の子供たちとの遊びの時は率先してリーダーを名乗り出た。
毎日が充実していた。
ある日、父が休暇をとり、町から遠く離れた所にある屋敷に家族で泊まりにいくことになった。
町の屋敷ほどではないが、こちらの屋敷もかなり大きい。
私は、町の子供たちも一緒に連れていってくれないか、父に聞いてみた。
父は快諾してくれた。
町の子供たちも、それぞれ親に許可をもらえたらしい。
こうして、別荘である森の屋敷に私たち家族と、町の子供たちで数日過ごすことになった。
森の屋敷には父の集めた様々な美術品があり、屋敷内でのかくれんぼは禁止されてしまった。
庭での勇者ごっこも禁止された。
庭にはたくさんの天使の像があった。敬虔な教会の信者であった母は、天使の像に傷をつけると神の加護を受けられないと言ったからだ。
両親に嫌われたくない私は、屋敷の敷地内で遊ぶことを諦めて、敷地から少し出た森で子供たちと遊んでいた。
そして、事件が起きた。
両親の資産を狙った盗賊たちが、私と子供たちを誘拐したのだ。




