奪還
「メノス・アウガ!」
「ルメ・ペケノ!」
「ベント・モデラド!」
僕、ソラン、オルタはそれぞれ、水、火、風の魔法を撃ち込んだ。
最も速いオルタの風魔法が、ルーとセアを捕まえていた一団を吹き飛ばす。
僕とソランの魔法は、それぞれグローブの男と槍の男に向かう。
しかし、二人の前で魔法は弾ける。
槍の男が石突きを地面に立てていた。
『魔力妨害』を使われた。
不意打ちでも反応するのか、こいつは。
オルタの攻撃も、ルーとセアに当たらないようにしたため、盗賊たちを倒しきっていない。
『魔力妨害』が使われて、飛べなくなったオルタを懐に隠す。
「あぁっ?あのガキ共、なんでここにいやがる!」
「それよりも、またやりやがったな!さすがに今度は見逃せねえぞ。」
グローブの男と槍の男が一気に殺気だつ。
「倒しきれなかった!ソラン!ルーとセアを!」
不意打ちであいつらを無力化できなかった今、二人を解放して、槍の男を一斉に叩くしかない。
『アイオの歌』を封じられていては、逃げ切るのは難しい。
僕はルーを掴んでいる男に斬りかかる。
男は利き手でルーを捕まえていたため、剣を抜く動作が遅れた。
僕が刺突すると男は崩れ落ちる。
ルーを奪い返し、拘束している縄と、口を縛る布を剣で切り裂く。
「ルー!助けにきたよ!」
「ゼスタ!ゼスタぁ!」
ルーが飛び付いてくる。
「喜ぶのは後だ!槍の男の『魔力妨害』を無効化しない限り、僕たちは逃げ切れない!」
オルタの攻撃を逃れた盗賊たちの攻撃を捌きながら、ルーを後方に走らせる。
ソランはセアを掴まえている男に斬りかかっている。
男はセアを捕まえたまま、器用に剣を抜き、ソランの攻撃を弾く。
向こうの男の方が手練れだったか。
僕が援護にまわろうと、そちらを向いた瞬間、セアがくるんと宙返りした。
縛られたまま器用なもんだ。
飛び上がったセアは男のこめかみに膝蹴りを喰らわし、ソランが怯む男に止めをさした。
「セア!大丈夫だった?」
ソランがセアの拘束を解いた。
「……ちょっとスマートさが足りなかった。でも、ありがとう。」
セアも問題なさそうだ。
これで、二人は取り戻せた。
僕たちはルーとセアを連れ、庭の中の一際大きな像のところまで引き、体勢を整える。
「ちょっとおいたが過ぎるんじゃねえか?ガキ共!」
そう聞こえるが早いか、辺りが明るくなり熱風が走る。
屋敷の扉の前のグローブの男と槍の男は、手から火柱を起こしている。
戦士にしか見えないが、魔法まで得意なのか。
「ち、中級魔法……。」
ルーがぽつりと漏らす。
初級魔法の火の玉とは比べものにならない。
『魔力操作』で強化した水魔法で打ち消しきれるか?
嫌な汗が流れる。
『魔力妨害』で水魔法を止められたらどうする?
相手の魔法にも『魔力妨害』が働くのか?
『魔力妨害』が対象を選んで使える代物なら、終わりだ。
避ける?
二人がかりの魔法を?
どうする?どうすれば切り抜けられる?
考えている間に、グローブの男と槍の男は手を振りかざす。
僕たちは、『魔力操作』をしつつ、直ぐに動ける体勢をとった。
魔法が放たれようとした瞬間、屋敷の扉が開け放たれた。
「私の屋敷で何を暴れている?」




