臨時パーティー結成
長身で切れ長の目をした女性は、セアたちに詰め寄る。
「ゼスタってあなたたちの知り合い?」
「な、な、なんですか急に。」
シーナに止められて、女性は慌てて少し下がる。
「あぁ、ごめん。私はマニ。この町で冒険者をやってる。」
「僕、何度か見たことあります。確かラドのパーティーの方ですよね。」
マニはそう言ったソランの肩をガシッと掴み顔をぐいっと寄せた。
「そう!ラドだ。ラドとパーティーを組んでる。」
「お、落ち着いてください。それで、何の用なんですか?」
マニはガクッと顔を下に向ける。
「実はな、ラドのやつがどこに行ったのかわからないんだ。」
「え?」
ゼスタたちが旅立った日、ラドがマニのところに顔をだしたらしい。
『大事な妹のルーと、弟分のゼスタが出掛ける。心配だからちょっと付いていくわ。』と言って行ってしまったそうだ。
「なんか、買い物に付いていくみたいなノリですね。」
「ラドに妹がいるのは知ってたんだ。でも町の外に出られる年になったのは知らなかった。私はてっきり町の中のことだと思ってたんだ。」
しかし、数日たってパーティーの用事でラドを探しても見つからない。
ラドの家を訪ねて、ラドの両親に聞いてみると、妹とどこかの町に行ったと言われたらしい。
「…ラドはデールの町に行った。」
「デール!?早くても行って帰るだけでも一ヶ月くらいかかるじゃないか。パーティーをほっぽりだして何やってんだあいつは。」
マニは大きく溜め息をついた。
「ラドは、自分のパーティーの戦士の人が里帰りするから時間は大丈夫って言ってましたけど…」
「は?」
ソランの言葉に、マニは顔をひきつらせている。
「パーティーの戦士は、私だ。」
「え?里帰りはいいんですか?」
「里帰りも何も、私は生まれも育ちもこのツェグだ。」
「えぇー?」
ラドが適当な嘘をついてゼスタとルーについて行ったことがわかり、みんながっくりときている。
「よっぽどルーが心配だったんですかねぇ?」
「…ラドはシスコン…」
マニはしばらく唸っていたが、まぁ仕方ないと頷いた。
「とにかく、事情がわかってよかったよ。ありがとう。パーティーのやつらに説明しとかないとなぁ。」
「仕事は大丈夫ですか?」
「うちは人数が少ないからなぁ。ラドがいないとなると、簡単な依頼をこなすしかないよ。」
「…マニ、人手足りないの?」
セアがマニの手を掴んだ。
「…ラドが帰ってくるまででいい。モンスター討伐を手伝わせて。セアは強くなりたい。稽古もつけてくれるとうれしい。」
セアは手に力を込めて、拙い言葉でマニに頼み込む。
「…報酬は無くてもいい。セア達は今から職業登録に行くところ。まだ弱いから、誰か先輩冒険者についていかないといけない。」
マニはそっとセアの頭を撫でた。
「ラドが帰ってくるまで、私たちも本格的な冒険はできないしね。いいよ、面倒みてあげる。報酬もちゃんと分けるよ。向上心のある子は好きだ。えぇと…」
マニはそこまで言い、まだセアたちの名前を聞いてないことに気付いた。
改めて、お互いに自己紹介をし、ゼスタたちが戻るまで、臨時パーティーを組むこととなった。
それから一ヶ月の間、セアはモンスター討伐に明け暮れ、ソランはスキルを身につけるためツェグの町中の薬師の元を駆け回った。




