事件発生
公園でベンチの隣に座れせてくれた女の子と話していた俊。
俊が自分は普段家から出ないと彼女に告げると彼女は自分もほとんど外に出ないとカミングアウト。
しかし、彼女が普段いる場所は家じゃないと言う。
一体、どこなのか・・?
僕は家じゃないならどこから出ないのか聞いていいのか悩んだ。よし、少し早いがまた会議開始だ。
僕1「聞いちゃまずいだろー。それで深刻なやつだったら気まずいし、まず上手く返事できないだろ。」
僕2「んー。でも、気になるし・・・。それに両親から虐待受けてたりしてたら救えるだろ!」
僕1「いやいや。だとしてもそんなことに首突っ込むのはめんどくさくねーか?」
僕2「何言ってんだよ!救えたらヒーローだぞ!」
僕1「ヒーローか・・・悪くないな。よし、聞こう。」
どうやら会議の結果聞くことに決まったらしい。それにしても僕の中の僕はヒーローで釣られるなんてどんだけ幼稚なんだよ・・・まあいい。
「あの、家じゃないなら一体どこから出ないんですか?」
勇気を出して聞いてみる。
「ああ。病院です。生れつき体が弱くて・・・。外に出ないというか出ることを禁止されてるんです(笑)」
きっと今、驚いてるのは僕だけじゃない。僕の中の僕も驚いてる。
「そうなんですか・・・。ええっと、じゃこの公園には病院を抜け出して来てるんですか?」
絶対ここは気になるだろ!(笑)
「はい。抜け出してます(笑)」
彼女は満面の笑みを浮かべた。それはとても生れつき体が弱く、ずっと入院しているようには見えなかった。その笑みに僕は一瞬、思考回路が停止してしまった。ああ、何か返さないと。慌てて言葉を放った。
「毎日、来てるんですか?」
「さすがに毎日は抜け出せないです(笑)週2、3日ですかね。あ、もうそろそろ戻らなきゃばれちゃう・・・。あの、お話・・楽しかったです。私、看護師さんとお医者さん後は両親としか話さないので何だか新鮮でした。また、お会いできたらいいですね。」
そう言いながらまた彼女は満面の笑みを浮かべる。そして、2度目の思考回路の停止が起こる。
「・・・・・・」
僕は思わず黙ってしまった。
「あ、あの・・・。大丈夫ですか?」
彼女のこの言葉で僕の思考回路は再び動き始めた。
「あ、ああ。ごめんなさい(笑)僕も楽しかったです。会えるといいですね、本当に。」
つい、そっけない返事をしてしまう。これは僕の悪い癖だ。
この後お互いあいさつを交わした後彼女は病院へと帰った。
「俺もそろそろ帰るか。腹減ったし。」
僕も来た道を引き返した。
家に帰ってから僕は気持ち悪いことに今日出会った彼女のことばかり考えていた。彼女の病気はどんなものなのか。彼女はどれ位入院しているのか。すごい気になった。
「また今度、公園行ってみるか・・・」
僕は3日後あの日彼女と出会ったあの公園のあのベンチに行くことにした。
「いるかな?」
いて欲しい気持ちもあれば、いないで欲しい気持ちもあった。なんでかって?恥ずかしいからさ(笑)いなかったらそれを言い訳に帰れるだろ?
家から公園までの道のりがいつもより遠くおもえた。
「ついた・・・。えっと。あっ!」
そお、僕のこの言葉で察してくれてると思うけど彼女はいたんだ!まだベンチまでは距離があってハッキリとは見えないけど確かにあれは彼女だ。
「ん?でもなんかおかしいぞ・・・」
僕はゆっくりと彼女に近ずいた。
彼女のことがハッキリ見えるようになった時、僕は感じていた異変が現実のものであると知る。彼女は激しく咳き込んでいたんだ。しかも、呼吸がうまくできないようだった。
「大丈夫ですか!?」
僕は慌てて彼女のところへ向かった。
「ごほっ。ごほっ・・・。あ、あの時の・・・・。」
彼女は辛うじて話すことが出来たが、この状況が非常にマズイ事に変わりはなかった。
「病院はどこですか!何病院?」
すぐに病院に連れて行かなきゃと思った。
「い・・・いち・・。かわ・・ごほっごほっ」
「市川総合病院だね?分かった!」
彼女が入院している病院がこの辺りで一番有名な病院で良かった。僕は必死にここから病院までの経路を思い出した。 つづく
いかがでしたでしょうか。
この後、彼女はどうなってしまうのか。その続きはまた明日・・・