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掲示板

「おはよー」

と師走が挨拶してる。俺も仕方なく

「おいっす」

と挨拶する。

そこまでは良かったのだ。そこまでは。

 師走が何かを思いついたらしく、朝から生徒会室まで行くことになった。

待ち構えてたのは『生徒会長 秋月 満』だった。

もちろん役員も揃っている。

「あのう・・・生徒会の方に掲示板の使用許可を頂きたいのですが?」

師走が話す。

「使用目的は?」

「ウチの猫が家出しちゃいまして・・・」

「それなら生徒会は関係ないだろう?」

「ウチの学校の誰かの家に行ってるかもしれないので」

「可能性の問題だな・・・」

秋月が、うーんと首をひねる。

 まぁ、無理もないだろう。

良い噂を聞かない2人が来たのだから・・・。

「この貼り紙だけでいいんですけど・・?」

「・・・OKだ」

そこには『この子探してます!』というタイトルの貼り紙があった。事前に準備していたのを、さも今思いついたように俺に言ってきたのだろう。

抜け目ないというか、なんというか。

 校内には各階に掲示板があり、4階建てなので校舎内に4箇所と、校舎の外に1箇所の計5箇所に貼り紙を貼る。

特徴は、ペルシャと三毛猫の交配で生まれたので両方の特徴を持っていること。ちゃんと写真も載っていた。

自分がハーフということもあり、この子を大切に思っているのだろう。


-そして放課後-


 意外なところから反応があったのだ。

それは、サバゲで撃たれた男子から生徒会に知らされた。

「この子、昨日は僕の家にいましたよ。朝にはいなくなってたけど・・・」

「間違いないか?」

秋月が聞く。

「えぇ。どういう訳か僕の後ろをずっとついてくるので、そのまま家に連れて行きました」

「現在の心当たりは?」

「ないです。いきなり消えたんですよ」

「分かった。ありがとう」

う~ん。とまた首をひねる。これを伝えて良いものか?と思ったのだ。


 その少し後に『ピンポンパンポーン』という音が流れる。校内放送だ。

「1年1組 師走 愛さん、青山 善さん、至急生徒会室までお願いします」

 俺が丁度、瞳にくっつかれて校門を出ようとした時に、それは聞こえた。

「あれ?善に呼び出し?」

「そのようだな・・・。」

「なんで、愛ちゃんと善なの?」

「朝の件だろう。聞いてたろ?あの後、生徒会室に行って貼り紙の許可取ったんだよ」

なるほど、と頷いた。

「じゃぁ、私はココで待ってるね」

「先に帰っていいよ」

「もう~。私が待ちたいの!」

「だって、どんだけ時間がかかるか分からないよ?」

「それでも待ってるから」

う~む。諦めよう。

「分かったよ。なるべく早く戻る」

「はーい」

なんで嬉しそうなんだろう。


 考えるよりは実行だ。

足早に生徒会室に向かう。

生徒会長の秋月はフルフラットのメガネをかけているのだが、俺的には『NG』だ。

キラーンが嫌いなのだ。

かくいう俺も視力は良い方ではない。

両目で調子の良い時に『0・5』くらいだ。

だが、メガネは家にいるときしかしない。

医者には『コンタクト』を薦められるのだが、目薬すら怖いので却下。

目に指が近づくとか有り得ない・・・。


 そんな事を考えてたら部屋の前にいた。

(はぁ・・・なぜか気が進まないなぁ)

コン、コン、コンと3回ドアをノックする。

「どぞ」

部屋に入る許可をもらっても、やっぱり躊躇する。

諦めムードで扉をスライドさせる。

(覚悟を決めるしかないな)

「おいーっす」

1年の俺がこんなことを言えるのは、俺が『素行不良』だからなのだが。

案の定、返答は冷たい。

「なんで、君がココに来れたんだろうね・・・」

「ジモティなんで」

「それ以外には答えはないな」

やっぱり、コイツは嫌いだ。

「それで、呼び出したってことは理由があるんだろう?」

「あぁ、『探してた猫』を今日の朝まで保護してたって話があってね」

「師走は?」

「まだ、ココには来てないね。放送を聞く前に下校しちゃったのかも知れないな?」

「掲示板に貼り紙の許可まで貰ったのに?」

有り得ない。

他の生徒なら考えられるが、師走に限っては絶対に有り得ない。

「この話を知ってるのは?」

「生徒会と、本人だけだ」

「本人?」

「山成 一成だ」(やまなり いっせい)

・・・コイツが師走が銃を向けた相手だ。

「なんで、よりによって、ソイツなの?」

当たり前のように聞いてみる。

「知らん・・・。たまたまだろう」

と、素っ気無い答えが返ってきた。

(なんで、寄りにもよって本物の銃を向けたかも知れない相手に・・・)

「えーと、生徒会長?」

「理解してるよ」

「だよねー」

明るい未来が一切頭に浮かばないのだが。

「とりあえず、生徒会としてはココまでだからな?」

そりゃそうだよな。

「あいあい」

と答えて、その場でコーヒーを貰う。

師走が来るかも?と思って少し待っていたのだ。


「こないな・・・」

「先に帰ったっていう選択肢はないんだけどなぁ・・」


そこで、1人の生徒会役員が微妙な表情を見せる。

「あのう・・・さっき、山成さんが来た時に、この部屋の前に人影があったんですけど・・・・」

これは、アイツしかいない。

「なんで、その場で確認しなかったんだ?」

秋月が怒鳴る。

「ただの、通りすがりかも?と思ったので・・・。」

「もう、いい」

視線が俺に集まる。

「あぁ・・はいはい。協力に感謝しますよ。相手が悪いってだけでね」

正直、困っている。

(どうすっかなぁ)

まず間違いなく、師走だろう。

POINTは、師走が何をするか?である。

(実際に、拳銃を撃ったかも知れないほど恨んでいる相手に仏の慈悲はかけないだろう)

「会長!ごめん。急用出来たので、また後でー」

そう言って部屋を後にした。


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