痛い世界
もう、これで何度目だろう。
体中に痛みが走る。
痛いというレベルではない。死んでしまうような痛み。
そりゃそうだ。
だって『死んだ』のだから・・・。
今回の俺は自分が惚れた女の子に刺されたのだ。
痛い。心も痛い。
でも、消えることが出来ない。
そんな自分の運命を恨んでいる。
始まりは突然の交通事故からだった。
学校帰りにコンビニで肉まんを買って一人美味しく頂きながら帰路を辿る。
地方都市ではあるが中心部に近い場所に立っている「高層マンション」が俺の家だ。
那須野宮市、有事の際に機能する第二首都を目的として作られた都市。
なんのことはない。T県の一部を不思議な形で区切っただけの市。
地盤が固いということ、海に隣接してないことが選ばれた理由らしい。
俺は4月にピカピカの高校1年生になったばかり。
名前は『青山 善』
大して偏差値も高くない普通科高校『那須野宮高校』に入学して2ヶ月がすぎた頃の話。
自宅に横断歩道を一つ渡れば着くというときだった。
歩行者用の信号は青。
にくまんを口に咥えたまま横断する。
目の前に車が現れた。動きが普通じゃない。
その時に運転席に目が『勝手に』いった。
!!!
こっちを見ていないととかいう問題じゃない。意識がない感じだ。
ドンッ!
車が俺に当たった。
そして、俺に聞こえた最後の音は
「パキャ」
という、頭蓋が砕ける音だった。
それは一瞬だ。そして俺は死んだのだ。