世界の解釈は貴方に全て一任致します
世界の解釈は貴方に全て一任致します。
黒髪の美人が、僕の方を向いて微笑みながら、その台詞を喋る街頭モニターを見つめて3秒。
まるで、時が止まった様なふわりとした浮遊感に僕は包まれていた―。
見惚れてしまったのだ、彼女の美しさに。
世界って言ったって、ここ東京一つ取っても世界は溢れんばかりに存在している
なにもグローバルに限ったことでは無い、人間の思考や解釈、創造物、いわばストーリーだと思ってくれて構わない。
例えば、僕と同じくモニターを見つめていた、モニターに映る美人に似た彼女、
彼女は白いワンピースに、ベージュ色で薄手のカーディガンを着用している。
そこから想像出来る彼女の「世界」はきっとイケメンでかっこいい彼氏がいる、料理ができて家事も出来るついでに勉強も出来る インテリ女子…だと僕は思う。
とどのつまり、自分の解釈で他人も自分の世界を決めて、人生を謳歌しているということだ。
ただし、それは僕の色眼鏡でしかない。本当の「彼女」を知らないということになる。
知るのは到底ありえないことだけどね。
僕はそう思って、残念そうに笑みを浮かべていた。
その時、その彼女がコッチを向いた、1秒。2秒。3秒。4...僕は目を見開いた
「ねえ、君はさ私の事どう思ったの?」
街頭モニターに映る彼女と、ワンピース姿の彼女
同一人物でありながらも、生身の彼女の方が美しかった。
僕の鼓動が、電流が走ったように痺れるのが分かった。
そして初めて、僕が彼女に対する色眼鏡が破壊したような気がした。
そうして、彼女は―
「世界の解釈は貴方に全て一任致します」
そういって、微笑んだ。