プロローグ
届いたのは、訃報か、吉報か。
それはここに集う者達の立場によって変わるだろう。
そして、振るわれるは、希望か、災厄か。
『……もう、限界では?』
『んなこと、とっくに分かってただろーが! だから早めに一掃すりゃいいもんを……!』
『あんたは行き当たりばったり過ぎ。いろいろ事情があるのよ』
『看過出来ぬな。こいつらも……そしてこいつらを未だ擁護しようとする、うぬらも』
集う意識。
『これは彼らの意識外のことでしょう!!』
『彼らよりも、地の下にいるやつらの方の処理が優先されるべきだ!』
『……元凶以外も一掃というのは、穏やかではない』
そして反する意識。
それぞれがそれぞれの柵を理解している。
それ故の集い。
とはいえ、結局は記録通りになる。
つまり、全体的な影響は微々たるもの。
それは決まっていること。
もう、覆されない、純然たる事実。
誰もがそう考えていた。
―――――――ただ1柱を除き。
そしてその1柱は。
届いた吉報から。
災厄を振るった。
記録が書き変わった瞬間であった。
2027年1月27日、午前3時17分。
―――――――オーストラリア大陸、消滅。