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異世界での過ごし方  作者: 太郎
目覚め
4/130

3

すごく短いです。すみません。

少年がバスタードソードを見つけた日の夕食の席での事だった。


「グレン、狩人になる前は何をやっていたの?」


なんの気なしに聞いてきた少年の言葉に、怪訝そうな顔をしながらグレンが問い返す。


「なぜそんなことを聞く?」


「小屋を片付けていたら、剣や盾を見つけたから。」


裏の小屋で剣の他に、盾も見つけた少年が答えると、厳しい表情をしたカルラが聞いた。


「奥の部屋に入ったのですか?」


「奥の部屋には入ってないよ。入ってすぐの所の部屋の隅に置いてあったんだ」


カルラの口調に一寸びっくりしながら少年が答えると、彼女の顔には剣を見られてしまった後悔が浮かぶ。


「昔、傭兵みたいなことをしていたからな」


グレンが言葉少なに少年に言う。


「そうなんだ。だったらグレン、僕に剣の使い方を教えてくれないかな?」


少し考えてから少年がグレンに話しかける。

だが、グレンが返事をするより早くカルラが答える。


「私は反対です。剣の練習なんかして怪我でもしたらどうするんですか」


少年の願いを拒絶するカルラにグレンが言う。


「いまはいつ戦争が起きてもおかしくない状況だ。そうなったら、こいつも自分の身を守るため、剣を使わなければならない時もあるだろう。俺はこいつが本気なら剣の使い方を教えてやろうと思う」


「でも……」


少年を見たカルラは途中で口を閉ざす。


「おまえが剣を本気で学びたいなら、明日から俺が狩りに行く前に教えてやる」


「ありがとう」


少年はグレンに礼を言うと、カルラに心配させない様に努めて明るく言う。


「心配させてごめん。でも僕、怪我しないように気をつけるから。おやすみなさい」


そう就寝の挨拶をすると少年は自室に戻った。


「剣を教えるなんて、私は反対です。この家にいれば、私もグレンもいます。あの子が剣を覚えなくても危険なことなんてありません」


カルラはグレンを見て、改めて反対であることを伝える。


「あいつの薪を割っているところを見たか? 手にできているタコや、鍛えられている体を見たか?、あいつはただの旅人や村人じゃない。剣士だ。カルラもわかっているだろう。剣を持つうちに記憶も戻るかもしれない」


グレンに、自分の両肩を抱きながら震える声でカルラが言い返す。


「はい、だから剣を取ってほしくないんです。薪を割っているあの子の目は、本人も気づいていないかもしれませんが、憎しみに満ちていました。たとえ記憶が戻らなくても、その方があの子にとって幸せなんじゃないですか……」


「あいつも男だ。自分の進む道は自分で決める。」


そう言うと、俯いたままのカルラを残してグレンも席を立つのだった。

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