28
リズの心理描写にあたる部分を書いてみました。
いつもの様に低クォリティーの上、短いです。
ごめんなさい。
クランとリズがファムの神殿の前で言葉を交わす時まで時間を遡る。
リズは自分の前で悲痛な表情をしているクランを見ていた。
まったく、少しはしゃんとした表情を見せてみろ。
リズは自分が考えたことが可笑しかったのか、心の中で苦笑した。
”リズ”という人格で目覚めてから自分の存在意義は、サラを守る事だと思っていた。
だが、自分ではサラの体は守れても心を守ることは出来なかった。
それを目の前にいる、自分の気持ちを隠し通すことも出来ない様な半人前の男がやってのけた。
それを考えると嫉妬の一つもしてみたくなる。
そしてなにより、自分の気持ちまで変えてしまった男が、そんな表情を浮かべている事が許せなかった。
最初は私達の邪魔になると思い殺そうとした。
荷車の場所を教えてもらうために裏庭でサラを待っていた男を襲おうと、気配を殺して後ろから近づいたが気付かれた。
あの時は、思わず驚きの表情を浮かべたが不審には思われなかった。
まったく鋭いのか鈍いのか分からない男だ。
その後、事もあろうに並んでベンチに腰掛ける事になった。
そしてあの男は、隣に自分の命を狙っているものがいるのにも関わらず、寝息を立てだした。
まったく、あの時に戻れるなら何を考えているのか問いただしてやりたい。
だが私はその時、殺すことが出来なかった。
サラの気持ちを知っていたからだろうか?
サラの見ていたものを私も見ていたからだろうか?
それとも、自我が芽生えてから初めて人に触れ、その暖かさを知ったからだろうか?
なぜ、道行く人を見てもいつものような激しい憎しみの感情を抱かなかったのだろうか?
なぜ、あの男の頭を膝に抱いたりしたのだろうか?
なぜ、広場を歩く親子を見て涙など流したのだろうか?
分からないことばかりだった。
そう、そんな私がサラの心を救えるはずが無かったのだ。
私があの男との出会いを思い出していると、あの男が剣を抜いてこちらを見た。
何だ、ちょっとはマシな面が出来るじゃないか。
ただ、このまま斬られるのも癪に障るので少し痛い目にあってもらおう。
そう考え力を振るおうとしたが、想像以上のあの男の踏み込みの速さに咄嗟に狙いをそらす。
あのままでは首と胴体が泣き分かれになる所だった。
まったく最後まで面倒を掛ける男だ。
私は苦笑しながら、再度狙いを定める。
あの男の左頬に慎重に狙いを定め力を放った。
よし!狙い通りに傷を付けられた。
これで私が死んだ後も、左頬の傷を見るたびに私の事を思い出すだろう。
せいぜい傷が治るまで私の事を覚えていて貰おう。
私がほくそえんでいるとあの男の間合いになった。
間もなく振りかぶられた剣が、無慈悲に私に慈悲を与えるだろう。
最後の瞬間、柄にもなく私は、生まれてきて良かったなどと、少し前の私なら一笑にしたであろう事をクランの顔を見ながら考えていた。
まったく、本当にどうかしている。
そう考えながら、私はクランに気付かれないように笑みを浮かべた。




