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異世界での過ごし方  作者: 太郎
魔女
114/130

112

短いので悩んだのですが、区切りが悪いので投稿させていただきました。

次話をなるべく早く投稿できるように頑張ります。

“魔女”の情報収集のため、宿で打ち合わせたとおり村人を見つけると、皆さりげなく近づき他愛の無い話を試みる中、クランは村の開けた場所に腰を下ろし、リュートギターを弾き出す。

村にめったに訪れる事が無い吟遊詩人のものと思われる演奏に、流石の村人達も興味を覚えていたが、遠巻きに彼を見るだけだった。

夕暮れまで曲を奏でていたクランは、約束の時間になった事もあり、宿に向かう事にした。





「お疲れ様」


食堂に入ったクランをレナの労いの言葉が出迎える。

彼が席に着くと、まだ戻っていないユリを除いた面々が暗い表情を浮かべていた。


「有力な話は聞けなかったみたいですね」


クランがこの場の雰囲気で成果を察し、口を開く。


「近寄ろうとすると、みんな逃げるように立ち去るんだもん。話しかける事も出来ないじゃない」


イヴがすねたように言う。


「そうだね。私もクリスも同じだったよ」


苦笑するレナと、頷くグレック。


「クランさんはどう?」


給仕が来ないために、エールの注文が出来ずイラついた様子のクリスが尋ねる。


「そうですね……。分かったのは、村人達が何か隠している可能性が高いという事だけですね」


「同感ね。わたしとグレックも村の外に出てみたけど、村人が外に出たような痕跡は見当たらなかったしね」


クランの報告と関連性の見えない事を口にしながら、彼の意見を支持するクリスに、イヴが不思議そうな表情を浮かべる。


「何でそうなるんですか? 村人が村から出ていない事と、隠し事とは関係ないじゃないですか?」


「あなた、ここまでの道のりで何を見てたの?」


呆れたように言うクリス。


「むぅ」


黙り込むイヴにクリスは仕方無さそうに説明する。


「村の周りは荒れた土地、その上、集団で狩猟のために村の外に出たような痕跡も無い。一人や二人の村人が狩りに出かけているなら、わたしやグレックもその痕跡に気付かないかもしれない。だけど、その位の猟果じゃ、とても村人全員に行き渡らないわ。食べ物も無ければ、作物を売って街でお金も得られない。じゃあ、ここに住んでいる村人はどうやって生活しているの?」


「それに、監視されているのは僕達だけじゃありません。広場でリュートギターを弾きながら見ていたのですが、村人達もお互いを監視しているように見えました」


クランが時折視線を向けると、彼から視線を逸らした後、必ずお互い視線を向け合う村人達がいた。

それも、和やかなものではなく、どこと無く緊張感を孕んだものをだ。


「なるほど、この雰囲気はよそ者に対する警戒だけじゃなくて、村人達がお互いに監視し合って作られていたものなんだね」


クランが言った事に、レナが最初に感じた居心地の悪さを思い出して口にする。


「そういう事ね。この村の村人は、お互いを監視しなければならないような秘密を持っている。そして、“魔女”の事を聞いた時の女将の反応を考えれば……」


クリスの言葉を遮り、イヴが言う。


「“魔女”の事を隠している?」


出来の悪い生徒が導き出した正解に、クリスがにやりと笑った。



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