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第2章 俺が白雪姫で世界探索?異世界生活スタート!

ああ、つまらん!俺、ごく普通の男子高校生・白石シロは、毎日が規則的で、毎日が繰り返し。ちっとも面白くない人生だった。

小学校では友達なんてできなかったし、そのまま地元の公立中、そして平凡な高校へ。ただ流されるように時だけが過ぎていった。

気づけば青春なんてもう終わりじゃないか!なんてこった、俺の人生、全然輝いてないぞ!?

もし俺が小説やアニメの主人公みたいに、メロメロの美少女たちに囲まれたら、もっとイケてる男になってたのかな?

誰かに変えられたり、誰かを変えられたりの、ドキドキな日々を送れたんだろうか……。

はあ、わかんねえよ。でもな、今、俺は違う人生を送ってるんだ。だったら、もっと大胆に生きてみようじゃねえか!



…ってなわけで、今の俺は白雪姫。目の前にいる金髪美女が誰だか知らねえけど、白雪姫の物語には出てきた覚えがないぞ。

その娘の目つき、超冷たいんだけど?俺に敵意でもあるのか?

「お姉さま、なぜそんなに私を見つめるのですか?」

お姉さま?まさか、この娘は王妃の娘?リリスってやつか?

「おう、妹よ!」

わけわからんけど、とりあえずハグしてみた。リリスはびっくりして、体がカチコチになった。

「白雪……ち、違う……あな……」

舌が回らないみたいだ。なんでそんな反応なんだ?

「妹よ、なかなかイケてるじゃないか!」

これは本心だ。本当に美少女だ。白雪姫にまったく引けを取らない。

もし魔鏡が「世界一美しい」って言い出したら、王妃もこいつを消そうとするんだろうな…。

リリスはまだ言葉が出てこない。

「どうした妹よ、姉ちゃんのハグに嬉しくて言葉も出ないのか?」

「ち、違います!あなた、私に悪さをしようとしてるんでしょう!」

もしかして、白雪姫とリリスの仲は悪いのか?まあ、王妃は白雪の義母だし、そりゃそうか。

「そんなことないさ。こんな可愛い妹がいて、お姉ちゃんは嬉しいんだよ?」

リリスは顔から首まで真っ赤になって、何も言わずに部屋に逃げ込んだ。

くそ、このツンデレっぷり、めっちゃ可愛いじゃん!俺が王子様ならなあ…。

侍女のニャーから聞いた話だと、王様と王妃は前の城に住んでるらしい。で、俺たちが住んでるこの城は、王女専用の離宮だってさ。

で、もう一人の王女ってのが、さっきの美少女・リリスらしい。

城でのんびりしてるけど、もし俺が女じゃなかったら、三人もの美少女に囲まれて、どっかのハーレムものの主人公みたいなもんだぜ!

だがしかし…今の俺は白雪姫なんだ。

自分の部屋に戻ると、ニャーが片付けをしていた。

ニャーのもちもちした頬を捏ねずにはいられない。

「うわっ!」

彼女は驚いたように声をあげる。いつもの反応だ。

可愛いものいじめってやつか?いや、でも可愛いからなぁ。

ニャーは手を止めて、じっとこっちを見つめてきた。

「どうした?」

「お、お姫さま、今日は本当に…とってもおかしいです」

「なぜだ?」

「私が城に来てから、もうすぐ二年になりますが…お姫さまがこんな風になるのは初めてです」

はは、ちょっと照れくさいな。頭をかく。

「ああ、すまんすまん」

ニャーは首を振り、また作業を再開した。

「お姫さま、謝らなくていいんです」

「ところでニャー、お前はどの部屋に住んでるんだ?」

「で、ですから!お姫さま、本当におかしいです!まるで本当に記憶を失ったみたいに!」

「まあ、いろいろ理由はあるんだけど、説明するのは面倒だな」

ニャーはため息をついた。

「はぁ…私の部屋は一階にあります」

「そうだ、ニャー。化粧品は基本のものだけ残して、あとは全部使っちゃってくれ」

多いし、俺は使わないからな。

「そ、それもおかしいです!それに、もっとおかしいところが!」

ニャーは俺の言葉を無視して、ドアの方へ歩き出した。

「ん?もっとおかしいところって?」

「お姫さまは以前、私の頬を捏ねたりしませんでした!」

ニャーはベロッと舌を出して、ドアをバタンと閉めた。

超可愛いよ、あの子。



「ねえニャー、外に出かけないか?」

城の中にはスマホもパソコンもゲーム機もない。もう限界だ。

ニャーは驚いた顔をした。

「で、でもよろしいんですか?王妃さまが、お姫さまは外出しない方がいいと……」

「気にすんな!まずは着替えるぜ」

俺はフワフワのドレスを脱ぎ捨て、下着姿で鏡の前に立った。うん、なかなかイケてるぜ…。

「うわあ!お姫さま!何をなさっているんですか!頭がどうかなさったんですか!?」

ニャーの悲鳴はもう慣れた。ドレスを拾って着せようとしてくるニャーをかわして、そのままぐるぐると抱き上げて回ってみた。

ニャーはあきれ顔だ。もう愛想を尽かしたか?

「もっと動きやすい服とズボンはないのか?王子様とか騎士みたいなやつ」

「ありますけど!お姫さま、何をなさるおつもりですか!?」

「へへへ。もうドレスはいいや」

ニャーはポカーンとしている。なぜドレスが好きだったお姫さまがそんなことを言うのか理解できないらしい。

クローゼットを漁ると、なぜか男物の服が何着かあった。この白いやつ、なかなかイケてるじゃないか。

「お姫さま…白は騎士や従者が着る色ですけど…」

「いいんだよ、着られれば」

ニャーがあきれた顔で見ているのを無視して、男物の服に着替えた。

綿のシャツはちょっと大きめで、体の線を隠してくれてる。清潔感ある少年って感じだ。

襟元はシンプルなスタンドカラーで、一番上のボタンを外して、首元を少し見せた。袖は腕まくりして、細い手首を見せつつ、指を長く見せるようにした。

ズボンはダークカラーのストレートパンツ。これでドレスの裾を気にしなくて済むぞ。

長かった髪はひとつに束ねて、顔の横にすこし毛先を残した。そうしたら、顔の印象がすっきりしたぞ。

「どうだ、ニャー?」

シャツの裾を引っ張りながら、得意げにニャーを見る。

ニャーはドレスを握りしめ、顔を赤くして、こっちを見られないようにしている。

「お、お姫さま…なかなか…カッコイイです」

「へへへ。そうだろう?」

ニャーがそう言うなら、間違いないだろう。

ニャーはこっそり俺を見て、また俯いた。頬の赤みが増している。

「で、でも陛下に知られたら、私が怒られます」

「心配するな。俺がついてる。誰にも文句は言わせない」

ニャーはまたこの何日か見慣れた不思議そうな顔をした。

「ほ、本当にお姫さま、どうしちゃったんですか」

俺はいろんなポーズをとって、ニャーに聞いてみた。

「これはどうだ?」

ニャーがうんざりした頃合いを見計らって、近づいて声をひそめる。

「ねえニャー、俺とリリス、どっちがいいと思う?」

「お、お姫さま…別人みたいです…どちらがいいとは言えませんが…今のお姫さまは、一番カッコイイです…」

「ニャー、この大きな城には、俺とリリス、アイラ先生、お前と他の使用人しか住んでないのか?」

「は、はい。リリスお姫さまは、たまにお友達を招いて泊まったりします」

「お友達?俺は知ってるのか?」

「お、お姫さまは多分ご存じないと思います。ほとんど一緒にいらっしゃいませんので」

なるほど、お姫様の社交界ってやつか。

「ニャーは今の生活、楽しいか?」

「別に…楽しくないことはありません」

「ニャーの家はどこだ?」

「と、とても小さな村です」

「そっか。いつか行ってみたいな」

ニャーは黙ったまま動かない。

「どうした?」

「な、なぜお姫さまが…私の家に…興味が?」

俺が歩き出すと、ニャーがついてくる。

「お前が俺の専属侍女だから、当然知っておくべきだろう」

「で、でもお姫さま…今まで一度もお聞きになりませんでした」

「ところでなぜ俺にだけ専属侍女がついてるんだ?リリスにはいないみたいだし」

「た、たぶん…王様の特別な計らいでしょう」

「俺の実の母親に申し訳ないと思ってるからか?」

白雪姫の話では、実母は彼女を産んですぐ亡くなったらしい。

階段を下りる。この服はドレスよりずっと動きやすい。ニャーが後ろをついてくる。子猫のようだ。

まあいい、まずは外の世界を見てみよう。



城の外に出て、城壁の影に隠れて通用門へ移動する。

歩哨の騎士団を見つける。まずい、見つかるな。スパイになった気分で、壁に張り付きながら忍び足で移動。ニャーに「しーっ」とサインを送る。

ニャーの目は「あんたバカ?」と言っている。まったく、様になっていないらしい。

角を曲がった瞬間、騎士とぶつかった。

冷や汗が出る。ニャーの手の平も汗で濡れている。騎士はじっとこちらを見つめる。

しばらく見つめ合った後、騎士は何事もなかったように去っていった。

若い従者が侍女を連れて用事に向かっていると思ったのか?何も聞いてこないとはな。

なんだかすごくバカみたいだったな…。

城を離れて歩きながらおしゃべりする。

「お姫さま…王妃さまが内密の外出を知ったら、私達罰せられますよ!」

「大丈夫大丈夫。王妃って怖いのか?」

「王、王妃さまは…怖い方だと思います」

「俺とあの王妃の仲はどうなんだ?」

ニャーはこっちを見上げて、そんなことを聞いてくるのか、という顔をした。

「わ、わかりません…でも、リリスお姫さまにはとても厳しいです」

「リリスは実の娘だからな」

ニャーはうなずき、周りの景色を楽しみ始めた。

「ええ、そうですね」

「で、俺とリリスの仲はどうなんだ?」

「私が城に来てから、二人で話しているのを見たことがありません」

頭の後ろで手を組み、考え込む。

「ニャーはリリスをどう思う?」

「リ、リリスお姫さまは…怖いところはないと思います」

ニャーがそう言うなら、大丈夫なんだろう。

「そっか。もしかしたら仲良くなれるかもな」

ニャーはキョロキョロするのをやめ、俺の顔を見つめた。

「どうした?」

「な、なぜお姫さまは…リリスお姫さまと仲良くしたいのですか?」

「妹だからな」

ニャーはほのかに微笑んだ。なんて可愛いんだ。

「お姫さま、なんだか変わられましたね」

森の中を歩く。足元の落ち葉がサクサクと音を立てる。低木を抜けると、視界が開けた。

黄金色の麦畑が風に揺れ、遠くの村からは炊煙が立ち上っている。村民たちが粗末な服を着てあぜ道を歩き、子羊が母羊の後をついて「メェメェ」鳴きながら草をはんでいる。

まさに童話の世界だ。こんなに青い空は見たことがない。雲もふわふわで綿あめのようだ。

あぜ道を歩いていると、村民たちがちらちら見てくるが、白雪姫だとは気づかないようだ。

「ここは綺麗だな」

「は、はい。私の故郷もこんな感じです」

「またニャーの故郷の話か。いつか連れて行ってくれよ」

「お、お姫さま…本当にいらっしゃるんですか?ただの…小さな村ですけど」

「もちろんさ。ニャーが誘ってくれたら、必ず行くよ」

ニャーは黙り込み、何かを考えているようだったが、やがて笑顔でうなずいた。



町の市場に着いたようだ。活気がある。

「親父、蜂蜜クッキーを二つくれ」

城から持ってきたコインを出す。足りるかわからない。

店主はコインを一枚受け取ると、クッキーを十数個くれた。

ニャーが一口かじると、目を輝かせた。

「と、とても甘くて美味しい!」

俺も一口食べてみる。城の食事に負けない美味しさだ。

「そういえばニャー、城で食事するとき、なぜ一緒に食べないんだ?」

「え?だ、だって私は使用人ですもの。もちろんご一緒なんてできません」

なんて面倒な。専属侍女なのに一緒に食事できないだなんて。自分の作ったものを味わえないなんて。

ふさふさの子犬がしっぽを振って走ってきて、ニャーの足のにおいを嗅いだ。

「うわっ!」

ニャーは俺の後ろに隠れ、小さな手で俺のシャツをしっかり握りしめる。クッキーを落としてしまった。

「お、お姫さま…犬…犬が…」

「怖がるな。この子犬は大人しそうだ」

[うん、僕大人しいよ]

なんだ?幻聴か?

子犬はニャーの落としたクッキーの匂いを嗅ぎ、食べ始めた。

最後の一切れをニャーに渡し、子犬のそばにしゃがみ込む。頭を撫でると、子犬は気持ち良さそうに手にすり寄ってきた。

ニャーは珍しそうにこちらを見つめている。

「お姫さま、動物がお好きなんですか?」

「まあな。猫でも犬でも、わりと好きだ」

「以前のお姫さまは、触ろうともなさいませんでしたのに」

ニャーは小さく呟き、また子犬を見つめた。

恐る恐る指を伸ばし、子犬の耳に触れる。顔を赤らめて微笑んだ。

「本当…ふわふわです」

俺はニャーの手を取って歩きながら、冗談を言った。

「ニャー、俺がお前の守護騎士って感じだろ?」

「うわっ!」

「へへへ、どうしたんだ?」

ニャーの顔が少し赤くなった。なんて可愛いんだ。

「お、お姫さま…なんだか…ちょっと…違う、お姫さまの頭がおかしくなったに違いない!」

ニャーは首を振り、私の手を振りほどして距離を置いた。超可愛いよ!

「新しい服を買いに行かないか?」

「お姫さま、服が足りないんですか?」

「お前のためだ。お前が違う服を着てるのを見たことがない」

「私…結構です」

「いいだろ。俺が金を出すから」

「だ、だめです!王妃さまがお聞きになったら、私が怒られます」

王妃ってどんな奴だ?そんなに怖いのか?ニャーがそんなに言うなら、諦めるしかないな。

ニャーは俺ががっかりしているのを見て、何か言いたげだった。

「私、たくさん服は要らないんです。メイド服があれば十分です」

「メイド服じゃなきゃダメなのか?」

「うわっ!」

ニャーは顔を赤らめて、まだ怯えている。どうやら誤解されたようだ。

「メイド服を着なくちゃいけないの?って聞いたんだ」

「も、もちろんです!メイドはメイド服を着るべきです!」

「でもメイド服のニャーも可愛いよ!」

ニャーを褒めると、ニャーは服の裾を握りしめるだけで、何も言わなかった。

「ニャーに好きなものはあるのか?」

「別に…これといったものはありません」

「あるだろ。ニャーだって可愛い女の子なんだから。本当にないのか?」

「だ、だって、必要のない物を買ったら、母が困ってしまいますから」

ニャーの家は貧しいのか?王女の専属侍女なら、給料はいいはずだが?

そう思ったが、聞くのはやめておいた。



森は自然に一番近い場所だ。野生の花の香りと湿った土の匂いが混ざり合っている。

ニャーが顔を上げ、大きな瞳に映る大木を見つめる。

太い幹は大人二人が抱えるほどで、樹皮は深い溝が刻まれ、緑の蔦が這い回っている。

枝は四方に伸び、幾重にも重なった葉が空を覆い、太陽の光はほんの少ししか漏れてこない。

「ニャー、森の中もなかなかいいな」

「は、はい。夜には蛍も飛びます。とても綺麗です」

「じゃあ、これからもよく遊びに来ようぜ」

ニャーは首をかしげてこっちを見ると、また周りの景色を見始めた。

「お姫さまは以前、外に出るのを怖がっていらっしゃいました」

「そうか?王妃がそんなに厳しかったのか?」

「そ、そういうわけでも…そうかもしれません」

何のこっちゃ?ニャーは首を振り、自分でも何を言っているのかわからない様子だ。

隣の茂みから「サササッ」と音がした。ニャーはびっくりして俺の後ろに隠れた。

「お、お姫さま、何ですかあれ?」

すると小さな声が聞こえてきた。警戒しているようだ。

[誰だ?僕の松ぼっくりを盗みに来たのか?隠したのに!]

茂みを見ると、茶色い小さなリスの子が葉っぱの間から顔を出し、まん丸の黒い目でこっちを見つめている。胸にはふっくらした松ぼっくりを抱えている。

[人間だ!僕のこと見てる!]

まさか…このリスがしゃべったのか?

俺は動物の心の声が聞こえるんだ?これが白雪姫の特殊能力なのか!?

「怖がるな、リスだよ」

ニャーの背中をポンポンと叩く。

ニャーは俺の視線の先にリスを見つけ、緊張がほぐれた。

「可愛い!松ぼっくり抱えてる」

ここは童話の世界だし、俺だけが聞こえるわけじゃないかもしれない。ニャーを試してみる。

「ねえニャー、今、誰かがしゃべる声聞こえなかったか?」

「お姫さま、どういうことですか?」

「さっきのリスが何か言ってたような…」

ニャーは変なものを見るような目で俺を見つめる。仕方なく頭をかく。

「あはは、冗談だよ」

小川のそばを通りかかると、泳いでいる小さな魚が見える。

[人間がじっと見てる!僕を食べるつもり?逃げなきゃ!]

大丈夫、手で捕まえようなんて思わないから。

そして空を飛ぶ小鳥や、ぴょんぴょん跳ねる白うさぎ。みんなの心の声が聞こえる。

もしこの世界でずっと暮らせるなら、悪くない環境だな。



城に戻ると、リリスにばったり会った。

「よお、妹よ」

ハグしようとしたら、リリスは怒り出した。

「あ、あんた誰よ!誰か来てー!」

ニャーがすぐに制止する。

「リリスお姫さま!こちらは、白雪お姫さまです!」

リリスは呆然として、しばらく俺を見つめていた。

「どうした妹よ、姉ちゃんのことがわからなくなったか?」

リリスは驚いているようだったが、相変わらず言葉に詰まっている。

「あ、あんた…白雪なの!?」

「そのまんまさ!」

見た目はだいぶ変えたけどな。

リリスは信じられないという顔をし、そしてまた叱るように言った。

「なんでそんな格好してるのよ!」

言いながら顔を赤らめる。やっぱり中性的な白雪姫の方が魅力的なんだな。

「だってリリスのお兄ちゃんになりたいからさ」

ウインクしてみせる。この魅力には敵わないだろ?

リリスの顔はさらに赤くなり、そしてさらに怒りを露わにした。

「あんたバカじゃないの!?」

ニャーは顔を手で覆った。相当呆れているようだ。



夜、リリスが俺の部屋の前を通りかかった時、中から物音が聞こえてきた。

「お、お姫さま、もう少し優しくしてください、少し痛いです」

「怖がらないでニャー、俺を信じて。きっと気持ち良くしてあげるから」

リリスは驚き、顔を赤らめて、耳をドアに押し当てて盗み聞きしている。

「お姫さま、やめて、冷たい!あっ!」

ニャーの甘ったるい声に、リリスはさらに驚いた。

{白雪…まさかこんな趣味があっただなんて…}

{どうしよう、最近すごく変わっちゃって。この城で安全に暮らしていけるのかしら}

{ついに自分の中に恶魔が住んでるって気づいちゃったのかしら}

{母さまの言う通りだったわ。白雪って本当に恐ろしい子なんだ}

リリスは想像を膨らませ、もうクラクラしていた。

するとまたニャーの甘えた声が聞こえてきた。いったい中で何が起きているんだ?

「もう無理です、冷たすぎます!」

ニャーはついに耐えきれず、部屋から飛び出してきた。

リリスが呆然と立っているところに、男装したニャーが走り去り、俺は鎧の腕の部分を手に持って突っ立っていた。

リリスはほっとした。ニャーに鎧を着せていただけだったんだ。

ドアの外に立つリリスを見る。聞かれていたのか。

「えっと、リリス?お前もやってみるか?」

「あっち行ってよ、バカじゃないの!?」

リリスは自分の部屋に走って戻った。

まさか俺のことを変な奴だと思ったのか?ただメイド娘が鎧を着るところが見たかっただけなのに。

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