小さな勇気、大きな風
春の夕暮れ、街路樹の葉が金色に染まり、柔らかな風が校舎の間を吹き抜ける。
ほのかはルゥを肩に乗せ、校庭の隅で小さく息を整えていた。
天然少女の心は少しドキドキしている――今日の任務は、これまでより少し大きなシャドウの退治だったから。
「ルゥ……私、ちゃんとできるかな?」
「もちろんだよ、ほのか。君の小さな勇気が、大きな光になるんだから」
ルゥの言葉に、ほのかは胸の奥がじんわり温かくなる。
ふと、風に乗って小さな花びらが舞い上がる。
「……うわぁ、きれい……」
その光景が、ほのかの心を少し落ち着かせた。
天然だけど、この瞬間の空気を全身で感じることができる自分に、ほのかは小さな自信を覚える。
「よし、行こう!」
ほのかはロッドを握りしめ、ふわりと光の羽を広げた。
シャドウが校庭の端でじっとこちらを見つめる。
「……大丈夫、私ならできる……!」
勇気を胸に踏み出すと、光がほのかの周りでふわりと踊る。
シャドウは一瞬ひるみ、ほのかの力を感じ取ったように動きを止める。
天然だけど、偶然ではなく、ほのか自身の「勇気」が光となった瞬間だった。
「……やった、倒せた!」
「うん、ほのかの勇気が大きな風を呼んだんだ」
ルゥが肩でふわりと光を弾かせる。
春風に揺れる髪、光に包まれた校庭。
ほのかは胸に手を当て、深く息をついた。
小さな勇気が、こんなにも大きな力になる――天然少女の魔法は、今日もそっと世界を優しく包んでいた──。




