春風に乗せた、私の魔法
春の夜風が街をやさしく包む。
ほのかは屋上に立ち、ルゥと一緒に夜空を見上げていた。
星がひとつ、またひとつと瞬き、月はほんのり笑っているようだった。
街の明かりも柔らかく光り、校舎のシルエットが夕暮れの余韻に溶け込む。
「ルゥ……私、本当に魔法少女としてやっていけるかな……?」
「もちろんだよ、ほのか。君の天然な心が、みんなを救う力になるんだ」
ルゥの声は、風に乗ってやさしく耳に届く。
ほのかは小さく頷き、手元の光の粒を見つめた。
今日までの小さな戦い、偶然に助けられた出来事、クラスメイトの秘密に触れたこと――
すべてが、彼女を少しずつ強くしていた。
ほのかは深呼吸をひとつ。
「……私、ドジだけど、天然だけど……
それでも、みんなを守れる魔法少女になりたい!」
光がほのかの手からふわりと溢れ、屋上全体を包み込む。
風が髪やスカートをやさしく揺らし、まるで応援してくれているようだった。
「ルゥ、私、もっと頑張るんだ!」
「うん、その気持ちがあれば、どんな敵でも乗り越えられるよ」
ルゥは肩にふわりと降り、輝く瞳でほのかを見つめる。
ほのかは微笑み返し、手を差し伸べるとルゥの小さな光の羽がふわりと応える。
夜空には流れ星がひとつ、すっと走った。
「……あれに願いをかけたいな」
「ほのかの願い……かなうといいね」
風に乗って、ルゥの声も優しくほのかの耳に届く。
ほのかは胸の奥でじんわりと温かいものを感じた。
天然でも、ドジでも、勇気を出すだけで世界は変わる――
そんな小さな確信が、彼女をさらに強くした。
「これからも、天然魔法少女・ほのかとして――
もっともっと、私らしく、頑張るんだ!」
光の粒が夜空にふわりと舞い上がり、星と重なりながら輝く。
街の明かり、風、ルゥの温かい存在……すべてが、ほのかを包む。
屋上の空は静かに、でも確かに輝いていた。
天然少女の小さな決意は、夜空にそっと誓われたのだった──。
そしてその光は、まだ見ぬ明日の魔法を予感させるように、ふわりと煌めいた。




