秘密の屋上、ClassMateの笑顔と光☆彡
春の風が屋上をやさしく撫でる。
昼間の戦いを終えたほのかは、少し疲れた体をフェンスにもたれさせ、空を見上げていた。
夕焼けの色が空と校舎の境目をふわりと溶かしていく。
「……今日もいろいろあったなぁ」
「“いろいろ”の内容が、だいたいドジなところがすごいよね」
肩に乗ったルゥがため息混じりに笑う。
ほのかもつられてくすっと笑った。
そのとき――
「……あれ?」
屋上のドアがそっと開き、クラスメイトの美桜が顔をのぞかせた。
「ほのか……ここにいたんだ」
「えっ、美桜!?どうしたの?」
いつも静かであまり目立たない美桜が、こんな時間に屋上へ来るのは珍しい。
美桜はぎこちなくフェンスの近くまで歩き、カバンから何かを取り出した。
「……ね、これ見て」
彼女が差し出したのは、小さな光るペンダント。
太陽の光に透けると、淡い水色の輝きがきらめく。
「それ……」
「うん。私ね、夜になると……ここで練習してるの」
ほのかの胸がドキッとした。
――この感覚、あの風のささやきと似ている。
「まさか……美桜も……」
ルゥが小さく頷く。「そう。彼女の中にも“光”がある」
「私、魔法少女じゃない。でもね……このペンダント、昔おばあちゃんからもらったの。
なんでか知らないけど、ここに来ると……不思議と勇気が湧いてくるんだ」
美桜の横顔は、いつもより少しだけ強く見えた。
風がふたりの髪をやさしく揺らす。
「……わかるよ、その気持ち」
ほのかは笑いながら言った。
「私もね、気づいたら“特別”になってて……最初は怖かったけど、
なんかこう……風が背中押してくれるんだよね」
美桜の目が少し丸くなる。
ふたりの間に、ふわりと小さな光の粒が浮かびあがる。
ペンダントの光と、ほのかの魔法の光が重なって、空気が柔らかく揺れた。
「……ほのかって、なんか……不思議な子だよね」
「え!?ドジな子じゃなくて!?」
「ふふ、そっちもあるけど」
笑い合うふたりの声が、夜風に溶けていく。
屋上の空には、ちいさな星がひとつ、またひとつと瞬き始めた。
――それは、天然少女とクラスメイトの間に芽生えた、
静かであたたかい「秘密の時間」だった。




