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風のささやき、ほのかのひらめき
春の午後、放課後の校庭は柔らかい風に包まれていた。
ほのかは校舎の影を抜け、芝生の上を歩きながら小さくため息をつく。
「ふぅ……今日も平和だ……かな?」
ルゥがほのかの肩にちょこんと乗り、ふわふわと光を散らす。
「ほのか、油断しちゃだめだよ。小さな異変は、いつも見逃しやすいんだから」
「うん……でも今日は本当に何もないよね?」
その時、風がひらりとほのかの髪を揺らした。
その風の中、金色の光の粒がひらひら舞う。
ほのかは思わず手を伸ばす。
「え、なにこれ……風に乗ってる……?」
光が指先に触れた瞬間、胸の奥がじんわり温かくなる。
「……あれ、これって……魔法の予感?」
ルゥも目を輝かせた。
「そうだよ!ほのかの中の光が、何かを呼んでるんだ!」
「えっ、呼んでる……?私、呼んでるの……?」
ほのかは首をかしげながらも、自然と笑みがこぼれる。
天然だけど、魔法少女としての小さな“ひらめき”が芽生えた瞬間だった。
そこへ、校庭の片隅で小さな影が動いた。
黒いもやがふわっと揺れる。
「……あれは……?」
「シャドウの気配だ!」
ほのかは深呼吸をひとつ。
「よし……今日も、ちょっとドジかもしれないけど……頑張ろう!」
春風に揺れる髪、キラリと光るロッド、ふわふわ浮くルゥ。
ほのかの天然魔法少女生活は、また新しい一歩を踏み出した──。




