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異世界失敗!?

 :あいた!


 HP:−2147483648/0000000000

 MP:スキンを選択4て下さい/準備はいイですか?


 属性:このオブジェ>トは無効化されています

 種族:効果/シンクロ/リンク/エクCーズ/融合

 職業:セーブ ロード おきる 女子転高生◀︎

 装備:こぶし◀︎ じてんしゃ

 わざ:#sds@¥¥。あ:、!『。



⭐︎



 ーー『問おう、わたしがあなたのマスターか?』



「ボクだよ!!!!」

「そんなー(´・ω・`)」

「ウルウルとしょぼくれた泣き顔見せても譲らないからね!? 召喚者はボク“ライーノ・ルーツ” キミは“カモン・イセカイ”で呼び出された使い魔の……えっと何?」



 煙の中から姿をあらわしたのは『イヌ』だった。

 というか、もうふざけたクソキャラみたいな感じの『イヌ』だった。


 ロード・プリンセス・ターミナル前魔法学園

 (めんどくさいからいつもは”ひめじ駅前“と呼んでいる)

 で、勇者、魔王、聖女、精霊、という『たったひとりでも街ひとつくらいカンタンに壊滅する』そうそうたる面々が在籍する中、魔術士見習いであるボクの一世一代の入学式であり卒業の儀はつつがなく……さりげない謀叛によって危うく失敗するところだった!!!!



「コレはねこデス」

「間違いないんだヨ! ねこなんだヨ」

「よくよくみたらねこに見えるやも知れぬ」

「きっとねこなのであーるッ!!」

「間違いなく”ねこ“なんだナー、またひとり魔王の配下が増えたんだナー」

「いやイヌでしょうがどうみても」


 ……ついでに成り行きを見守っていた魔獣である“ねこ”たちと、彼らの総大将をやってる見た目はこども正体は魔王であるクラスメートの“大将軍”による姑息なねこ認定によってまんまと使い魔をパクられるところだった。

 

「バレちゃ仕方ありませんねそこの少年に”カモン・イセカイ“で呼び出されたわたしの正体は『イヌ』です」

「え? マジでイヌかよ、嘘やろ……たのむわ嘘やと言うてクレマンティーヌ」

「嘘です」

「よかった、ちゃんとした(?)使い魔のようで……」

「そこの少年とかつて前世でご主人様をして、最後にゴールインしたゼロの大魔法使い」

「身に覚えがないので犯罪的な嘘はやめましょう」

「ケルベロスのルナーダ・インフェルノと言います、以後お見知りおきを」

「あぁよかった『でもそうならそうと最初からそう言ってほしかった』」


 なんか、一瞬のうちに色々あって『ダーク◯ウルRTAぐらい疲れた』けど、

 とりあえず無事に契約の使い魔の召喚ができたみたいだ。

 それは特別ではない何者かになる神聖なる奥義で、いくら肩書きだけ魔術士を自称しても目の前のコレだろうが呼び出さないことにはそもそも何も起こせない。


 古今東西、魔術士の定義はーー奥義によって召喚するものと定められている。

 召喚士。呪術師。魔導士。霊媒師。その他。

 それら結果の違いによって呼び名は違えど、召喚こそが要点であり核と言っていいだろう。

 

 ボクが呼び出した存在はケルベロスだ。

 いいぞ、これはかなり強力な使い魔の筈。

 音に聞こえし強力な存在でその名を知らぬ者はいない。

 

 つまりは上出来、大成功だ!

 魔法学園であるひめじで、『全員でかかれば世界ぐらい滅ぼせそうなヤベェ奴ら』に囲まれて肩身の狭い思いをしていたけど、ひとまず魔術士になれたのなら落ちこぼれとしてはみごにされることはないだろう。


「これで一人前の魔術士なんだナー、おめでとうなんだナー」

「おめでとうなのデス」

「おめでとうなんだヨー」

「おめでとうやも知れぬ」

「おめでとうなのであーるッ!」

「大将軍……それに、ニリリちゃん、ケイトちゃん、ラゴウくん、サイハちゃん……『なんか色々言いたいことがある気がする』けど、ひとまずありがとー!」


 クラスメート最強の魔王もボクを認めてくれたみたいだ。

 持つべきものはトモダチ、カワイイ系のマスコットみたいな彼らの声援が骨に染みるぜ。

 あーヨカッタヨカッタ。


「おい、ソコのサーヴァント少年」

「キミだよサーヴァントは」

「知識は召喚時に流れてきましたので異世界モノ特有の説明は要りませんが、ところでまだお名前を聞いていないです〜」

「ああ、ゴメンそうだったね。えっとボクの名前はライーノ・ルーツで、たったいま晴れて一人前の魔術士になったところさ!」


「この嘘つきが!」

「オメェだよ嘘つきは! さっき自己紹介したじゃんかよくも騙したな」

「いえいえ、言いにくいんですが……カモン・イセカイは失敗です!」

「ヱ?」



⭐︎



「ま、魔法を憶えてない……?」

「えへへ( ´ ▽ ` )」

「照れてないで少しは反省して?」


 ひとまず大穴があいた地面を埋め立てて正座で作戦会議。

 ボクが招んだ使い魔、またはサーヴァントである彼女はよりにもよって魔法が使えないときた。

 念のため確認なんだけど、契約によって隠された奥義を実現するのが魔術士だ。

 

 少し哲学的な言い換えをしてしまうなら、ボクが招んだこのケルベロス改めて『ただのイヌ』のほうこそが究極論、魔術士という概念そのものであるとすら言えるだろう。

 使い魔である彼女にいったい何ができるのかで今後の人生が大きく変わってしまう重要事項なのだが、まさか魔法を憶えていないとは恐れいった!


「だって色々要求が多いですもんー、貴様らの頑張りすぎですよー少年」

「なんで複数形なのか? あとさっき自己紹介した意味がないので名前で呼んでください」

「ケルベロスですから〜」

「それはキミなんだナー」


 見た目もそうだけど色々ふざけているのは、ひめじ駅前という立地で召喚したからだろう。

 他でもない魔術士が魔術を学んでいるのは学園があるからで、その学園に使い魔が影響を受けるのは古今東西よくある話なのだ。

 

 魔王、大将軍くんの“ねこ”ちゃんたちなんかがわかりやすい例だろう。

 他にはおフトンの妖精とか、喋る聖剣とか、お母さんとかなんか冗談みたいなのもいるが冗談ではない、ひめじではこれらが常識である。

 『魔法が使えないなんて聞いたことねぇけどな!』


「欲張りすぎて願いごとをアレコレ考えすぎましたね〜?」

「ウ……そ、それは……」

「タンスのカドに負けない足の小指とか、蚊に刺されない強靭な皮膚とか、技を超えた限りないパワーとかちょっと注文が多いです」

「限りないパワーなら小指と皮膚ぐらいついでに守ってほしいね」


 グッと拳を握ってみせる彼女は冗談なのか本気なのか全然わからない。

 (わかるわけねーだろ)

 飲み込みが異常に早いし狼狽えていないという事は、術は成功している筈なんだ。

 参考までに『カモン・イセカイ』は、術者の反対側の存在を引っ張ってくる召喚魔術の一種で、魔術が自動的に波長を合わせてくれるという性質があるから……。

『術者と使い魔の間でモメ事が起きにくい』のが最大の利点だ。


「というわけで、お腹が空いたので契約に従ってゴハンを用意してもらっていいですかぁ〜?」

「かえれよ」


『術者と使い魔の間でモメ事が起きにくい』のが最大の利点だ。


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