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【番外編】ルシアン

「え? オフィーリアをどう思っているかって? そうだな。いい子だと思っているよ」


「恋愛対象? それはないな。僕にはフローリアがいる」


「なんでオフィーリアと友達になったか? フローリアが急に友達だと言い始めて興味があった。やましい気持ちでフローリアに近寄ってほしくないから僕が見極めようと思った」


「オフィーリアといるときに楽しそうにしている? あぁ。そりゃそうだろうな。オフィーリアはいい子だし裏表がないし、嫌味がない。僕に対して恋愛感情がまったくないから一緒にいて楽だ。異性の友人は今後オフィーリアだけじゃないかな」


「オフィーリアによくする理由? そりゃ友達だからだ」


「勉強を教えた? 教えてくれ。と言われたからだよ! みんなで同じクラスになったら楽しいだろうからな」


「二人で勉強してた? 二人って……図書館だろうが! 周りに生徒がいた。フローリアは用事があると帰ったし、ジルベルトは野暮用で居なかったからそうなった」


「やけに楽しそうだった? だから、オフィーリアは素直だし、飲み込みが早い。一生懸命勉強する姿を見てると応援したくなるだろう! 真面目に取り組んでいるんだからな」


「オフィーリアにプレゼントをした? あぁ、街歩きの時か。フローリアとオフィーリアが楽しそうにしていたんだ。初めて友達と街歩きをしたんだから記念にそれくらい買ってもいいだろう! 高くもないんだから」


「安くもない? そうなのか? すまん、女性が身に付けるものの値段を気にしたことがなかった。フローリアが安物を身につけるわけにはいけないだろう。喜んでくれたからいいじゃないか」


「最近僕が甘いものを食べるようになった? ……確かに。食べているな、気にしたことがなかったぞ」


「オフィーリアが食べている姿を見て食べているんじゃないか? あぁ、そうか。それはあるな。おいしそうに食べている姿を見たらつい手が伸びる。影響は受けているかもな」


「オフィーリアを好ましく思っているか? なんなんだよさっきから……好ましく思っているよ! 友人としてな! それにフローリアの友人だし、僕にとっても友人だ。自慢じゃないが友人は少ないからな、大事にするだろっ」


「それだけの感情か? 当たり前だろっ!」


「仲が良すぎる? 異性の友人の距離が分からん!」


「オフィーリアが癒し系だと思うか? あー。そうだなぁ。うーん。毒が抜ける感じがするな。のんびりしているし、よく食べるしよく笑うし、癒し系ってのはどうかと思うが癒し系かもな」


「恋愛対象になるか? しつこいな! ならん。間に合っている!!」



「さっきからなんなんだよ! しつこいなジルベルト!」


「うーん、仕返し?」

「なんの仕返しだ」

「ルシアンに同じような質問をされた。フローリア嬢について」

「……あぁ、なるほど。お前令嬢を相手にしなかったからフローリアのことを好きなのかと勘違いしていて、婚約する前に聞いておこうと思ったんだったな、悪い」


 この質問は僕のせいか……ジルベルトはフローリアのことを好きなのかと思った時期があったんだった! 悪い、許せ友よ。


「満足したか?」

「うん、ルシアンなりにオフィーリアを大事に思っているんだな」

「あ、まぁ、そうだな。ジルベルトと似合いだと思っているし、婚約してくれて僕も嬉しい。オフィーリアはきっとロワール領民に受け入れられるだろう」


 急に母親を亡くしたジルベルトは口にはしないが悲しみに暮れていた。ようやく前を向き始めたところでオフィーリアに会ったんだそうだ。こいつたった一度話しただけでずっとオフィーリアのことを好きだったらしい。重いぞ、その気持ち! しかも僕にまで嫉妬するなんてな。僕にはフローリアがいるんだ!


「花まつりの前夜祭をしようと思っている。教会で領民達と話し合ったんだ。皆オフィーリアを歓迎したいと言ってくれて。手伝ってほしいんだ」


 ライトアップか。そりゃ悪くないアイデアだがそれだけのランプを用意するのは大変だろうし、盗難の可能性もあるだろ。ロワール領民には子供が誕生したら領主がステンドグラスのランプをプレゼントするんだそうだ。そうやってステンドグラス業界を盛り上げているんだな。


 各家からランプを出すことになった。盗難の恐れもあるからしっかり誰の持ち物か分かるようにするらしく、今回の前夜祭は領民だけが楽しむんだそうだ。来年からは観光客の受け入れも視野に考えていくのか。オイルは領主が負担で夕方から三時間限定で灯りを灯す。その後ランプは撤収。


 花まつりの主役もオフィーリアで今から衣装などを作るそうだ。そこへフローリアが来て私が作る! と言いデザイナーと念入りに打ち合わせをしていた。

 さすがフローリア! オフィーリアの可愛さが引き立つ素晴らしいドレスが完成した。お疲れ、フローリア。


「ジルベルトとオフィーリア様になっているな」

「えぇ。爽やかなカップルね。って!」

「おぉ、ジルベルトやるなぁ。公衆の面前で口付けとは」



 爽やかなカップルは訂正。見てみろ。ジルベルトのしたり顔。僕とフローリアはまだ口付けもしてないんだぞ!


本日は9時・15時・18時の3話投稿予定です。

よろしくお願いします。


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