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長期休暇!


「オフィーリア、領地に帰るんだよね?」

「うん」


 来月から長期休みに入る。花まつりに誘われたから行く予定だけどその前に領地に帰ることになった。


「花まつり前日夕方になったら来てほしい」

「準備も見てみたいからもっと早くに行っても良い?」


 叶うことならお手伝いもしたいな。おまつりの裏側も見たい。


「……それは、結婚してからにしようか」

「え! あ、うん、わ、わかった」


 結婚してから……結婚してからじゃないと内側は見せられないという事かも。門外不出のナニカがあるのかも?! それなら無理は言えない。まだ私はロワール家にとって身内じゃないって事か。ちょっとしゅん……となる。


「ごめんねオフィーリア。でも楽しみにしてて」

「うん」


 花まつりには家族で招待された。ロワール領のお屋敷に宿泊して、花まつりが終わってからはジルベルト様をうちの領地に招待してそのまま一緒に王都の屋敷に帰る予定なの。フローリア様やルシアン様も花まつりを見に来るのだそうです。観光としても人気になってきているから年々人が増えていると聞いた。


 ******


「着々と準備が進んでいるね。綺麗だね」

「今年からは前夜祭をするんだよね。ステンドグラスのランプが並んでる」

「フィー、迷惑をかけてはいけないよ」

「邪魔をしたり、はしゃがないでね……」


 ……うちの家族って酷いわ。迷惑をかけるような娘を嫁に出してもいいの? と聞いてみたい。


「ここがロワール伯爵の屋敷か」

「お花がいっぱい咲いているね。良い香りがする」


 お屋敷までの道の傍にも可愛いお花がたくさん咲いていてわくわくした。すぐに門が開けられてロワール伯爵とジルベルト様が出迎えて下さった。


「ようこそ。お疲れでしょうからまずは、部屋に案内します。後でゆっくり話をしましょう」


 お父様とお母様、アンドリューは客室に。私は荷物を任せてジルベルト様に屋敷の案内をしてもらった。


「疲れてない?」

「うん。大丈夫。家族皆を招待してくれてありがとう。楽しみにしてたんだ」


 去年の花まつりはリューと先生を連れてきて宿に泊まった。


「屋敷のみんなも楽しみにしていたんだよ。全員が揃った時に紹介するよ」

「うん、ありがとう」


 大まかな感じで屋敷内を案内されてから中庭に案内された。


「オフィーリア!」

「あ、フローリア様、ルシアン様!」


 ひと足先にフローリア様とルシアン様は来ていたみたいで中庭でお茶を飲みながらくつろいでいた。


「お茶の準備を頼む」

「「はい」」


 メイドに声を掛けてお茶が出てきた。ローズティーだった。良い香り~!


「気に入った?」

「うん、すごくいい香りだね」

「庭のバラで作っているんだよ。母が好きだったから領地に来たらよく飲むんだ」


 お庭の所々に女性が好きそうなモチーフのアーチやベンチが見られる。夫人が好きだったのかな? 可愛い。


「見応えのあるお庭ですね」

「そう言ってもらえたら母も喜ぶよ。本来はサッパリしていたみたいだよ。母が嫁いできてから植えたものが多いと聞いた。考えなしになんでも植えるものだから後から庭師が手を焼いたんだって」

「ふふっ。それは記憶に残りますね」

「そ。だからオフィーリアも何か植えたいものがあったら好きにして良いよ。文句を言いながらも世話をする庭師は楽しそうなんだよ」

「もう嫁ぐ話か……本当に王都で式をしないのか?」

「あぁ。オフィーリアの希望でうちの領地の教会でしたいと言うからね」

「ステンドグラスがキレイな可愛い教会よね。オフィーリア好きそうよねぇ」

「はい。壁が白くて屋根が赤くてステンドグラスはお花モチーフで可愛いです。神父様も朗らかな方でお声もいいです」


 結婚式は家族と親戚と親しい友人だけ招待することになった。フローリア様とルシアン様の結婚式はそういうわけにはいかず王都の中央教会で盛大に行われます。


「楽しみね。色々と面倒なこともあったけど落ち着くところに落ち着いたものね」


 色々といえばハリーが騎士団に入団した。遊んでばかりではダメだと厳しい騎士団に入団したみたいで驚いた。もしかしてお金持ちの可愛い子を捕まえられなかったのかなぁ。この前学園でチラッと見たけれど顔がシュッとして厳しい目つきをしていた。チャラチャラした感じが薄れていたような? 大人になったわね、ハリー。


 ジルベルト様に求婚? していた令嬢はそのあと学園で見なくなってどうしたのかと思ったら、礼儀作法を一からやり直すために厳しい施設にいるんだとか? ジルベルト様あまり話したがらないんだよね……


「はい。それはそうですね。それよりも……」

「なに? どうかして?」

「フローリア様とルシアン様お疲れの様子ですが、大丈夫ですか?」


 なんだか元気がないような? 疲れているような感じがした。


「え? そう? そんな事ないわよね、ルシアン」

「あ、あぁ。問題ないぞ。そろそろ食事の時間じゃないか? 伯爵達を待たせてはいけないな」


 お二人を家族に紹介して晩餐は始まった。ロワール伯爵は久しぶりにお客様を招いた。と話していた。親同士楽しく過ごしていた。

 

「オフィーリア、食事が終わったばっかりだけど出掛けようか?」

「え、こんな時間に?」

「前夜祭があるからね、それも楽しもう。ちゃんと許可は取っているよ。アンドリューはどうする?」


 ジルベルト様がリューに聞いた。二人とも仲良くしてくれているんだよね。嬉しい。


「行かない。部屋からも街の様子が見えるし、中庭もライトアップされていてキレイだし、姉のデートを邪魔するほど野暮ではない」

「ははっ。悪いな、それなら中庭もキレイだけど屋上から見る夜景もキレイだから行ってみると良い。執事に伝えておくから」

「うん、行ってみる。楽しんできて」


 リューったら気を遣って……大人になったわね。

 


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