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ジルベルトの迷惑なモテ期?

「ジルベルト様、隠している事あるよねっ!」


 腰に手を当てて仁王立ちするオフィーリア。そんなに怒った顔をしても可愛いだけだ。


「え! ないよ」


 まさか決闘がバレた……とか? 誰か口を滑らせやがったか?


「ジルベルト様はすっごくモテるんでしょ! 令嬢に告白されたって聞いたよ」

「え! 誰から?!」


 フローリア嬢やルシアンには口止めをしているし、告白されても迷惑なだけだと知っているから分かっている。と口を揃えていた。


「スザンナから聞いたの。心配してくれて……それで」

「不安になった……とか?」


 それなら嬉しいと思ってしまう。僕にとって令嬢に告白されるというのは神経がすり減る。オフィーリアを心配させたくない。という気持ちが余計心配させたのかもしれない。僕の口からではなくてスザンナ嬢から聞くんだもんな、隠している。と言われれば隠し事になるのか。それは良くない!


「……うん、だってジルベルト様は素敵だもん」


 口を尖らせる姿も可愛い。


「……オフィーリアに素敵だなんて言われると嬉しくて天にも昇る気持ちだけど、ごめん。オフィーリアが知ったら嫌な気持ちになるかと思って言わなかったんだ。これからはちゃんと僕の口から言うから……令嬢たちの気持ちは迷惑なんだ。僕はオフィーリアが好きでずっと一緒にいたいから、変な誤解もされたくない」

「ちゃんと言ってね。ジルベルト様から言われたら信じるから」


 僕の目を見ながら手をぎゅっと握ってきたオフィーリアから手を繋がれたのは初めてだったし、すごく嬉しい。


「オフィーリアも何かあったらちゃんと教えて。約束してくれる?」

「うん」

「あれからさ、グレイヴス子息とは何もない?」

「うん、何にもな、あっ!」


 あっ! ってなんだ! あいつオフィーリアに何かしやがったのか! 許せん。


「……何か、言えないことかな?」


 極力優しく……気を抜くと無表情になりそうだ。怖がらせるつもりはない。


「昨日手紙が届いたんだった。でも昨日はジルベルト様とリューの誕生日プレゼントを選びに街へ行ったから、帰りがいつもより遅くてすぐに食事をしてから湯浴みをして眠っちゃったの。だから内容は確認してない」

「そうかい、今日の帰りはオフィーリアの家に寄ることにしようかな、内容が気になるから」

「手紙の内容が気になるの?」

「そりゃあね」

「いいけど、ジルベルト様変なの」


 手紙の内容は個人情報だから言いたくないよな……僕が手紙を貰ったり(受け取ってない)告白されたりした令嬢の名前を出すのは相手に失礼だから言いづらいと思ったのと同じ。オフィーリアの友人関係にまで口出したら(精神的)DV男になりそうだ……どこまでなら踏み込んでいいのか一度話し合ったほうがいいのかもしれない。


「ごめん、どうしてもあの時の言葉が気になって……」

「あの時?」

「連れて帰られる前の“思い出せ!”って言葉。オフィーリアは忘れているだけで婚約の約束をしたとか、」

「してないっ! 絶対ないもん! 授業始まるから行くね、次は小テストなの。ルシアン様に成果を見せなくちゃいけないから、じゃあ」

「待って。送っていくから」

「ジルベルト様の教室の方が遠いんだから間に合わなくなるよ、あとでね」


 逃げられた……あれは怒っているよなぁ。


 ******


 オフィーリアが教室に入るのを見届けて、早足で自分の教室に戻る。自分の目でオフィーリアが教室に入るところを見ないと不安だ(こっそり後をつけた)オフィーリアの機嫌が悪くなった理由は、黒歴史に触れたからだろう。早くこの件を終わらせなきゃな……

 恐らくあの男はオフィーリアを手放した事を後悔している。そしてオフィーリアはまだ自分を好きだと思っているから政略結婚だとか言ってんだろ? 外野がギャーギャーと五月蝿いからそろそろ決着つけないとな。

 あの男の耳には決闘の話が入っているだろうから、そろそろ申し込みが来てもおかしくない頃だ。卑怯な手を使った。とでも思っているだろう。みんな僕のこの顔に騙されるけれど小さい頃から剣術は嫌というほどさせられて来た。

 祖父が偉大で祖父に憧れた騎士達は祖父の引退後、こぞってロワール領へ押し寄せた。ステンドグラスの職人も祖父に憧れて引っ越して来た元騎士だったりするし、人生とはわからないものだ。


 花とステンドグラスの美しい町と言われているが、男達は祖父に影響されすぎて鍛えまくっている。剣の稽古はきつかったけれど、領民達と汗を流すのは悪くなかった。

 多分王都にいる騎士達と引けを足らないくらいに強いとは思うんだ。父も強いけれど今なら勝てそうな気もするし僕は祖父の血が濃いんだろうな。


 美人顔とか女顔と言われるこの顔は相手が油断するから武器になると言われた。今ならわかる。皆面白いくらいに油断するから笑いが込みあげたくらいだ。グレイヴス子息、少し茶会でチヤホヤされたからと、調子に乗ったようで出入り禁止になった家もあるようだし子爵夫妻は肩身が狭い思いをすることになりそうだ。


ありがとうございました。

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