誕生日会
「今日はお嬢様のお誕生日会ですのでお好きな物を揃えました。おめでとうございま~す!」
パチパチパチパチ……拍手で会場に迎えられた!
「わぁ! シュークリームがタワーになってる! すごいすごい!! 嬉しい!」
他にもご馳走がたくさん、でもスイーツコーナーは特にすごいの! シェフが人が足りないと伝手を使いよそからパティシエを呼んでくれた! シェフいつもありがとう!
「わぁ! マカロンタワーもある! すごーい!!」
会場を回っているとリューに怒られた。
「いい加減にしろ! 躓いて転んでドレスを汚したらどうするんだ。大人しくしていてよ」
「だって、すごくない? こんなの見たことないよ! 興奮しちゃう」
「腕によりをかけましたからねぇ。お嬢様の喜ぶ顔が見たくて頑張りました。皆アイデアを出してくれたのです」
シェフたちは自信作だと言った。スイーツのディスプレイの見せ方が可愛くて色鮮やか! お花の飾り方もおしゃれで女の子の好きな物をたくさん詰め込んだ明るい空間に仕上がっている。皆ありがとう!
「確かにすごいと思うし圧倒した。姉さまの分はちゃんと取ってあるから会場でばくばく食べない! ジルベルト様の恥にもなるんだからね」
「はぁい」
お父様とお母様は私たちの様子を見ながら、立派になって……と言っていた。立派にってリューのことだよね!?
「アンドリューはしっかりしているよな。でもオフィーリアはそのままでいい」
「そうだな。なんとも幸せそうで見ているこちらも幸せな気分になる」
後ろでくすくすとジルベルト様と伯爵が笑っていた。恥ずかしい。これは失敗した。
「ジルベルト様、伯爵様いつ到着されたのですか。恥ずかしいですわ。家族だけだと思ってリラックスしすぎていましたもの」
食い意地がはっていて弟に怒られている姿を見られてしまった!
「おや、私達も家族になるのだからいいではないかな? そうですよねカルメル伯爵家の皆さん」
今日は婚約を発表する日だものね。
「そう言って頂けると助かります。このとおりのびのびと育って……いや、私たちがのんびりさせすぎたせいです。お恥ずかしい」
お恥ずかしい娘でごめんなさいね! ふん。
「オフィーリア、ドレスがとてもよく似合っているね。すごくキレイだ。僕の選んだドレスを着てくれるなんて嬉しい」
「素敵なドレスとアクセサリーをありがとうございます。大事にするね」
ブルーのドレスはレースをふんだんに使っていて贅沢な仕上がりになっていた。フリルの予定だったけれど、フリルって可愛いけれどたくさんつけると重いんだよね。挨拶回りをしなきゃいけないから移動を考えると軽やかな方がいい! 絶対疲れる。そして最近は先生が作ってくれた謎のハーブティーのおかげで体がスッキリしている! 食べ過ぎてもハーブティーとウォーキングのおかげで体型をキープしている!
謎の……とは言ったけれど、むくみが取れたりお腹がスッキリする物だしお母様も愛飲している。商品化も夢ではないかも! 最近は先生っていうか遊んでくれるお兄さんって感じになりつつあるけれど。
そんなことより! ジルベルト様と伯爵様が喜んでくれたし良かった! この首飾りに使っている宝石はとっても貴重な物らしくてお父様に絶対に失くすなよ! って言われた。本当に失礼なお父様だわ。誕生日会では婚約発表を早々にするので、打ち合わせをして時間通りに始まった。
家族揃って会場入りをして、お父様がこの度縁あって私とジルベルト様が婚約することになった。と言ったら会場にいた人たちは拍手をして祝福してくれたのだった。
その後はジルベルト様がエスコートしてくれて挨拶回りをする。会場で一番注目されていたのはフローリア様とルシアン様。ステファン様はのちほど来てくれるというから驚きだ。
「「婚約おめでとう」」
フローリア様とルシアン様の一言目がこれだった。
「「ありがとう」ございます」
誕生日プレゼントを二人から頂き、パーティーのスイーツコーナーを褒めてくれた!
「素敵な飾り付けね。オフィーリアそのものといった素晴らしい会場だわ」
パステルカラーで可愛いのよね。使用人みんなが意見をたくさん出してくれたの。嬉しかったなぁ。
「私もここまでかと驚きました! 私の好きなものばかりで、こんな素敵な誕生日会になるとは思いませんでした。フローリア様と知り合ってからいいことばかりで感謝してもしきれません。フローリア様は女神様のように美しくて優しくて楽しくて、」
「照れるからその辺でやめておいて……それよりいつも話をしている弟君の紹介をして?」
そうだった! リューにも紹介するね。って言っていたの。
「リューちょっといい? 姉さまとジルベルト様のお友達を紹介するね」
近くにいたアンドリューを呼ぶと、おすまし顔でやってきた。
「アンドリュー・カルメルと言います。いつも姉がお世話になっています。どうしようもない姉ですが今後ともよろしくお願いします」
「まぁ。ふふっ。こちらこそお願いしますわね。しっかりした弟さんね。優秀なんでしょう」
リューめ! 誰がどうしようもない姉だ! いいところがあるはずでしょ!(多分)
「最近生意気になってきて……でもそんなところも可愛いんです。勉強は私より出来るので放っておいてもAクラスは確実なんです」
「そりゃ安心だな。しかしアンドリュー君のお姉さんも優秀で飲み込みが早いんだ。来期はAクラスで上の下といった感じだな」
ルシアン様のお墨付きだ! その後アンドリューはルシアン様にお礼を言っていた。弟がしっかりし過ぎて姉としては肩身が狭いわね。