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ドレス選び

 婚約発表にむけて早速ドレスを選びに来た。このお店は以前からジルベルト様の家が懇意にしているんだって。


「最近は丈の短いものも流行っていますよ。よろしかったら試着されますか?」


 確かに……カジュアルなパーティなどでは丈の短いドレスを着ている令嬢もいる。短くなった丈はふくらはぎ程だったのが今では膝丈まで短くなっている物もある。お母様はくるぶし丈でも短くなった。と言い躓くことが減って良いわよねぇ。って言った。


「はい」

「え! 着るの?」


 ジルベルト様が驚いていた。なんで?


「なんでって、試着をしないとどんなものか分からないもの」

「……そう、か。そういうものなのか……いや、しかし、」


 変なジルベルト様は放っておいて試着してみることにした。素材はシルクで滑らかで軽くて動きやすそう。最近質のいいシルクが入ってきているって聞いた。シルクは手触りが好き。


「少しすーすーしますけれど軽くて良いですね」


 短めの丈だけど可愛いデザイン。


「まぁ! とてもお似合いですよ。靴は高めのヒールが合います。ロワール様をお呼びします。ふふっ婚約者様ですね」

「はい」


 婚約者か。まだ婚約はしていないけれど、そう思われているのね。嬉しいやら恥ずかしいやらで……戸惑ってしまう。というかニヤけちゃう。


「ジルベルト様、どう?」


 ギョッとした顔をしてそれからすぐに顔を赤くして背を向けた。


「ジルベルト様?」

「……そんな刺激の強いドレスは却下! オフィーリアの白くて綺麗な足を他の男に見せたくない。ロング丈でお願いします!」


 デザイナーさんにジルベルト様が強く言った。


 軽やかで悪くないと思ったんだけどな……流行っているし。なんで胸元をはだけていてもOKなのに足元はダメなのかな……暑い日は大変なんだけど。それなら私もスラックスを履きたい……。


 何着か試着用のドレスを出してきてくれて、ジルベルト様の瞳の色であるブルーを選んだ。すると着て見せて欲しい。と言われたのでデザイナーさんのオススメを試着してみた。


「ジルベルト様、どう?」


 ギョッとした顔をしてそれからすぐに顔を赤くした。あれ? 見覚えのある感覚だわ。


「ジルベルト様?」

「……そんな刺激の強いドレスは却下! 直視出来ないっ!」


 肩が出ているから? 胸元は首飾りをつけるから開いているデザイン。ってそんなに開いてないけれど。


「お嬢様はスタイルがよろしいので、ほんの少しラインを見せる形でもよろしいかと、」

「却下! 他の男に見られると思ったらいても立ってもいられない……露出が少なく尚且つオフィーリアの可憐で清楚で可愛い所を……いや、あまり可愛すぎても困る……」


 難しいオーダーだ。沈黙……を破ったのはデザイナーさん。


「……お嬢様はどのようなドレスがよろしいですか? お嬢様の意見を聞かせてください」


 ジルベルト様は一旦放っておくことにした。


「軽くて、動きやすくて、疲れないドレスがいいですね。誕生日会なので適度に華やかな感じでお願いします。丈はくるぶしにします」


 ロング丈は無理! 暑いし汚れるし踏んじゃう。階段とか躓いて転んじゃうから。


「……今週中にデザイン画を数点書き上げますので、その時にまた」

「間に合うかしら?」

「間に合わせてみせます。ただ早めに取り掛かりたいので……」


「分かりました。お願いします」


 ジルベルト様に次に連れてこられたのは宝石店だった。今日は詰め込む日なんだそう。時間が無いからね。


「母がこの店を気に入っていたんだ。王都で宝飾品を選ぶ際はこの店に通っていたんだ」


 シンプルに見えてオシャレな内装、スタッフは女性が多いく皆笑顔がステキで働いていることに誇りを持っている感じ。


「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」


 予約をしてくれていたようで応接ブースに通された。


「お久しぶりですね。奥様と一緒に来られていた時はまだ小さなお子様でしたのに立派になられて……」


 ジルベルト様のお母様と小さいジルベルト様のお話も出てきて、和やかな雰囲気だった。


「本日はどのようなお品をお探しですか?」

「彼女が、誕生日パーティーで身につける物が欲しいんだ。首飾りはこれを……」


 ポケットから出してきた首飾りは、とても繊細で可愛いらしくさりげない豪華さだった。


「まぁ、これは夫人が私どもの店で購入されたものですね。手入れがきちんとされていて嬉しいです」


 首飾りのブルーサファイヤは貴重なものらしく胸元を華やかにしてくれるだろう。


「この首飾りをオフィーリアに……母の物なんだけど」

「え! そんな大事なものを私に!」


 ジルベルト様のお母様の形見?


「父もオフィーリアが受け取ってくれるのならと賛成してくれたんだ。デビューの時に身につけて欲しい。嫌なら受け取るだけでも、」

「こんな素晴らしい物をいただいて、本当に良いの?」

「オフィーリアに受け取ってもらいたいんだ。母も喜んでくれると思うし、良いものだから使って欲しい」

「ありがとうございます。伯爵にもお礼を伝えてくださいね。こんなステキなプレゼントは初めです」


 ジルベルト様のお母様の宝石を譲り受けるなんて……嬉しい。誕生日会が楽しみになってきた。


「彼女が来月誕生日で身につけるドレスはブルーなんだ。この首飾りに合わせて耳飾りなども揃えたいと思う」


 ジルベルト様が伝えるとスタッフさん達は店内へ行く。しばらくして並べてくれた耳飾りや腕輪……華奢で華やかで可愛い!


「どれが良い? どれもオフィーリアに似合いそうだ」


 あ。


「……これ、」


 そっと指を差す。首飾りに合いそう。


「まぁ、ふふっ。奥様が今この場に居られましたら同じものを選んでいたと思いますよ」


 そうなの?! ジルベルト様を見たら優しい顔つきで私を見ていて、これに決めよう。と言った。


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