話をしました
家に帰るとお父様が待っていた。ジルベルト様、先触れを出していたみたい(いつの間に！)なんだかこういう行動を見ているとルシアン様やフローリア様と仲がいいのが分かる気がする。ジルベルト様、成績もいいし。
「伯爵にお話があるのですがよろしいですか？」
「あぁ、勿論。オフィーリアもおいで」
「はい」
ジルベルト様と気持ちが同じだって事を伝えた。ジルベルト様のお父様も許してくれるそうだし、なんの問題もないから社交界デビュー前に婚約を結んじゃおう！ という事になった。そっか。ジルベルト様と思いが通じたら婚約になるんだ……これはこれで恥ずかしい。でも一緒にってそういうことだもの。
「これで堂々とオフィーリアと一緒にいられる。来年は同じクラスになれるように勉強も頑張ろう」
同じクラスってAクラスだよね？！ 先生は領地に行っているしどうしよう。ルシアン様、フローリア様、ジルベルト様は難なくAクラスだろうけど……そうか！
「ルシアン様にお願いしなきゃ！」
「喜んで教えてくれるよ。同じクラスになると残り二年間楽しいだろうね」
「フィーがAクラスとはねぇ……良い仲間に巡りあえて親としては嬉しい。ジルベルト殿フィーはのんびりしていて抜けているところも多々あるけれどよく食べてよく寝る素直な良い子に育っていると思うんだ」
なんだ、それ！ もっとあるでしょう、お父様！ あるはずなのに出てこないっ！
「はい。僕もそう思います。何よりも優しくて可愛くて一緒にいたいと心から思います。どうぞよろしくお願いします」
……わぁ。すごい……堂々としていてステキ……ちょっと感動してきた。
「よし！ 決まりだな。どう思う？」
お父様がお母様に聞いた。
「勿論フィーがいいのなら大賛成よ。婚約者がいます。ってこれからはお断りが出来るようになるし、相手はサツマイモ事業で手を取り合ってるロワール伯爵家だし文句も出ないわ……本当にいいお話よ」
「それって政略結婚になるの？」
ジルベルト様を見ると悲しい顔をされた。お父様とお母様はため息を吐いた。
「そんなわけないだろう。さっきの話を思い出してくれよ……」
さっき……と言われて恥ずかしくなる。好きだって言われたんだった！
「ジルベルト様は全てにおいて完璧なんだね！」
言葉を濁しておいた。
「そういう事だな。二人とも好き合っているというのも悪くない点だ。学年も同じだし安心だ……リューの入学を待っていたらフィーは三年生になっているからな。あぁ良かった」
「なんでよっ！ ひどいお父様ね！」
びっくりしちゃったじゃない。ジルベルト様は帰って伯爵に話すからまた改めてと言い帰る事になった。エントランスまで送りにいくとリューがいた。
「良かったね。姉様」
「ありがとう。リュー、ジルベルト様と仲良くしてね」
「アンドリュー殿よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。手のかかる姉ですけど食べ過ぎだ時には運動だけは付き合ってあげてください」
そればっか！
「約束するよ。また今度ゆっくり交流の場を設けたい。君の大事な姉さまのことを任せられる男だと認めてもらいたいからね」
「はい。楽しみにしていますよ、義兄様」
わぁ。リューが認めちゃった！ そしてリューと一緒にジルベルト様を見送った。
「いい人を捕まえたね。ロワール領の花まつりにこれから毎年参加出来るんじゃない？ 良かったね」
「うん。リューも行こうね。そういえば領地もうちと近いし、これで何があってもすぐに駆けつけられるね」
「……それは悪くないな」
「ね！」
道も良くなっているし、何時間か短縮できたら凄く近く感じるよね。家族と近くにいるって良いよね。
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「父上！ 父上！！」
「なんだ、帰って早々に騒がしい……」
「オフィーリアと気持ちが通じました！ カルメル伯爵とも話をしてきて婚約してもいいと言われました。できれば早々に、社交界デビューする前には婚約をしますから用意してください！」
「何だって！ 分かった。カルメル伯爵に手紙を書くぞ。忙しくなるな！ よくやった、ジルベルト！」
親同士の話は早々に行われた。うちは女親がいないから花嫁修行といっても緩いもんだし嫁姑問題もないから気楽に？ 嫁いで来て欲しい。と父が言ったんだそうだ。するとオフィーリアの両親は助かります。と言ったらしい。オフィーリアはちゃんとしていると思うけれど、親からしたら不安なんだろうな……。
オフィーリアの結婚相手理想の条件を言われた。窮屈じゃない家？ 豪華なドレスを日常的に着るのは嫌だ。美味しいものを食べたい。王都にずっと住むのは嫌。あとは……優しい人が良い。のだそうだ。
うちは窮屈な環境ではないし、僕も楽な格好を好んでいる（公の場は別）美味しい物は食べさせたいし、卒業後、基本は領地に住み用事のある時は王都に来る。と思っていた。優しいかどうかは別として、結婚相手としては当てはまる！ と思っていたら伯爵からジルベルト殿のことを既に視野に入れていたのかもしれませんな。と言われた……それは悪くない。と思った。
