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ジルベルト様と二人です

「本当に二人で出かけるの?」

「そうだよ。今日あの二人はオペラを見に行くそうだ」


 馬車で迎えにきてくれたので遠慮なく乗り込んだ。どこに行くんだろ……キョロキョロと周りの景色を見た。


「丘の上に公園があるんだ。知ってる?」

「ううん、知らない」

「自然が豊かで気に入っている場所があるんだ。オフィーリアも気にいると思うよ」


 動きやすい格好で来てと言われたから、普通のワンピースとローヒールにしたけど散策もありならこの格好で正解だよね。


 馬車を走らせる事一時間目的地に到着したみたい。馬を休ませる水場もあるし確かに自然豊かな場所で人も少ない。御者が馬を繋いでから馬車の中から荷物を下ろしていた。


「手伝いましょうか?」

「ありがとうございます。お気持ちだけ受け取っておきます。せっかくなのでお嬢様はジルベルト様と散策を楽しんできてください」


 従者は二人いてもう一人は荷物を木陰に運んでパラソルを立てていた。結構大掛かりだわね……


「オフィーリア、行こうか。足元があまり良くないから僕に掴まるといいよ」


 気の根っこが出ていたり、確かに足元はあまり良くないけれど自然界ってそんなものだよね。


「うん、ありがとう」


 転んだりしたら帰りが大変だから遠慮なく腕を借りることにした。馬車では登ってこれない更に上へと登る。


「大丈夫かい?」

「うん、これくらいは問題ないよ」


 足腰は強い方だと思う。


「もう少しだから頑張れ」

 

 はぁ、はぁ……少し息が上がってきた。でもゴールは見えている。


「お疲れ様、ちょっと後ろを向いて僕の手に捕まって歩こう」


 後ろ向きに歩くの? 


「大丈夫、僕を信じて」

「うん」


 丘の上から落とされることはないと思う。だって完全犯罪にはならないし捕まっちゃう。ってバカなことを考えてしまった。


「到着。目を瞑って振り向いてから目を開けて」


 言われた通り素直に従う。


「きゃぁ!」


 目を開けるとあまりにも高くてジルベルト様にしがみついた。


「あれ、高いの苦手? 怖がらせたのならごめん!」

「ううん、びっくりしただけで高いところは好き」


 はぁ……思ったより高くて驚いた。でもよく見ると手摺もあるし展望台なんだ。


「キレイな景色だね! お城が小さく見える!」

「丘の上までこられてもこの展望台には中々気が付かないからね」

「そうなんだ……連れてきてくれてありがとう」


 いつまでジルベルト様にしがみついているつもり……離れようと思ったけれど離れ難い……ってなんでだろう。ジルベルト様の顔を見ると微笑んでくれた。


「王都って都会でなんでもあるし、こうやって一時間も走らせたら自然もたくさんあるんだけどやっぱり僕は自分の育ってきた領地が一番好きなんだよね」

「ふふっ。領地にいたときのジルベルト様はとても自然体だったもの」

「大好きな領地を褒めてくれて、好きだと言ってくれてありがとう。これからもオフィーリアが好きでいてくれる領地を目指したい……将来はオフィーリアにも手伝って貰いたいんだ」


 え? それって……


「領地で初めてオフィーリアを見た時から気になっていた……入学して話をするようになってますます好きになった。これからずっと一緒にいてくれないか?」


 どうしよう。嬉しい。良いのかな……嬉しいってきっとそういう事だよね。


「……嬉しい」

「え?」

「ジルベルト様の気持ちがすごく嬉しい。私で良ければ、うん、その……お願いします」

「ほんと! 嬉しいよっ!!」


 破顔するジルベルト様の顔……キレイだなぁ。こんな顔を見られて嬉しい。ジルベルト様は帰りにお父様に話をしてくれるらしい。私は上手く説明できる自信がない。景色を楽しんだ後は手を繋いで、従者が用意してくれたパラソルまで歩く。手を繋ぐっていいな。なんだか嬉しい。つい鼻歌まで歌っちゃうんだから。


「ご機嫌だね?」

「うん。私ジルベルト様の顔が最近見られなくて困っていたの」

「……確かに僕の方を見なかったよね、なんで?」

「ドキドキして見られなかったの。フローリア様とかルシアン様とかのキラキラとは違ってて、好きになってたんだ。って」

「……それは、その嬉しい。うん。ありがとう。オフィーリア大事にするから」

「うん、私も!」


 ピクニックスタイルのランチが用意されていた。


「美味しそう!」

「そうだろう? シェフに気合いを入れて作るように頼んだんだ。フルーツが好きだと聞いたからいろんな種類を用意した」


 わぁ……本当に嬉しい。ジルベルト様、素敵。


「私の事を考えてくれたんだね。嬉しい。ジルベルト様の好きな物も教えて」

「そうだな。徐々に伝えていくよ。一気に言ったら終わってしまうから」

「ズルい! それなら私も小出しにする」


 緊張しているはずなのにおいしく頂きました。フルーツは別腹だよね。このブドウめちゃくちゃ美味しい。悶絶レベル……


「さて、たくさん食べたから散策しようか。アンドリュー殿との約束だからね」


 リューめ! お母様以上に口うるさいんだから!


「リューったら昔は可愛かったのに、最近は口煩くて……でも元気な証拠だからそれも嬉しいの」

 

 自然に手を繋いで歩いた。ジルベルト様も嬉しそうな顔をしていたから私も自然と笑顔になった。

 

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