表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/60

カルメル領

 ~ジルベルト視点~


「今度弟も連れてきますね。嬉しかったわ」


 オフィーリア、そんな優しい言葉をかけていると変に誤解をされないかと心配になる。


「はい、おまちしています。本日はありがとうございました」


 オフィーリアがジェラートを食べる隣で僕は飲み物を飲んでいたのだが、気が気ではなかった。


「オフィーリア今度カルメル領を案内してくれるかい? オフィーリアの話を聞いて興味がある」

「自然は豊かですけど、案内するほど楽しいものはないですよ?」

「オフィーリアが気に入っている場所を案内してほしい」

「そうですね。機会があれば」


 領地に遊びに行く異性となれば婚約者とか家同士の繋がりがあるとかそんな感じだから躊躇するのかもしれない。でもオフィーリアもうちの領地に遊びにきていたし(お忍び)サツマイモの栽培の件で親同士交流もある。だから堂々とうちの領地にも訪れるようにと言う。町娘の服装も似合っていたけれど、お忍びで遊びに来る必要はないし、宿に泊まらずうちの邸に宿泊すれば良い。遠慮されたけれど、今度フローリア嬢とルシアンが来る際には邸に泊まってもらうつもりだ。 楽しい街歩きも終わり明日からまた学園だ。



 ******


「ジルベルト・ロワール、君に話がある。ついてきてくれ」


 ……ん? なんだ? 昼休憩の時間になりオフィーリアを迎えに行こうとしていたが同級生の子息に声をかけられ廊下を出て外に出た。するとそこには五人ほどの子息が待ちかねていた。


「君に言っておきたいことがある!」


 なんだ? 鬼気迫った顔をして。指をさすな!


「どうぞ」


 呼び出しをされる理由がないから、今の時点ではさっぱり分からない。伯爵家、子爵家の子息達だな。


「我々は入学当時からオフィーリア・カルメル嬢に好意を持っている。我々は話し合いの結果、抜け駆けなしでオフィーリア嬢を見守ってきた。なのに君はオフィーリア嬢にちょっかいをかけている。ルール違反をしているんだ、分かるか?」


 全く分からん!


「僕はそんなルールを知らないし、オフィーリアが誰と仲良くしようが君たちには関係ないじゃないか! 好きなら正々堂々とオフィーリアにアタックすれば良い」


 アタックしてない自分が言うのもなんだが……嫌われていないとは思う。デート? もしたし。


「したさ! 僕達はオフィーリア嬢の家に釣り書きを送り断られた! だから徒党を組んだ!」


 組んでどうする……徒党って。


「あの可愛い笑顔に癒され、オフィーリア嬢という存在自体に癒されているんだ。そんな中、君が隣にいると正直言って邪魔だ! フェロウズ公爵令嬢の婚約者ソレイユ殿と仲が良いからと言って調子に乗るのはやめてくれ」

「……話にならない」


 こんな奴らはライバルにもならないな。徒党だなんて……バカらしい。


「忠告したぞ! 僕達だけがオフィーリア嬢を狙っているわけではないからな!」

「忠告感謝する。頭の片隅にでも入れておくとする」


 ライバルが多いということか……どうするかなぁ。教室に戻ろうとしたらオフィーリアに声をかけられた。


「あ、ジルベルト様!」

「……オフィーリア? どうしたんだい」

「ランチに行こうと思って……ジルベルト様の教室へ行ったら外に行ったと聞いたから、」

「え! 教室に来てくれたのか?」


 オフィーリアが僕を探しに?! 


「最近は教室まで迎えにきてくれるから、待っていたのだけど、来なかったから先に行ったのか、授業が押しているのかと思って……」

「すまない! 急用が出来てしまって……明日からは必ず教室へ迎えに行くから待っていてくれ」


 オフィーリアが僕の教室に! 僕がいない場合は誰かに声をかけるという事だよな? 僕のクラスにもオフィーリアの事が可愛いと言っている子息がいた!


「ちなみに僕がいないと誰に聞いたんだい?」

「ジルベルト様のクラスに友達がいるの。アリーナという子爵家の令嬢なの」


 ……アリーナ、アリーナ、って誰? ごめん。


「すまない。家名を聞いても良いかな?」

「アリーナ・ビアン嬢」

「……あぁ、茶色の髪の令嬢か」

「うん。ジルベルト様はクラスメイトに興味がないの?」


 クラスメイトに興味がないというか……


「……令嬢が苦手なんだ。オフィーリアは別だけど」


 あ、照れている。可愛いな……もうすぐいつものテラスに着いてしまう。このまま二人でランチを摂りたいくらいだけどそうするとフローリア嬢が五月蝿そうだ。フローリア嬢も長い付き合いでサッパリした性格をしているから問題なく付き合えるのだけど、躊躇してしまうんだよな。勝手な思い込みだけどオフィーリアは出会った時から違うと感じた。


「オフィーリア!」

「……? ハリー様。どうかしたの?」


 ハリー・グレイヴスか。オフィーリアの幼馴染とはいえ気軽に呼び捨てにするのは気に入らない。


「久しぶりだな。同じ学園でも中々会わないもんだな。今からランチか?」

「うん」

「良かったらたまには一緒にどうだ? 話をしようと言っていたのに中々会えないから誘えなかった」


 なんだろな? 会話が上からだよな……ここで僕が婚約者ならズバッと断りを入れるんだが……本当はこの男のことをどう思っているのだろう。っていうか隣に僕がいるのに目に入ってないのか?


「お昼はお友達と摂ることにしているから遠慮するね。それにハリー様のような人と一緒にいたら目立っちゃうし」


 あっさりとしていた。なんだ、二人の関係はそんな物だったのか。深読みした自分がバカみたいだ!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ