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え。ハリーがなぜ?

「美味しかった! 次は何を、」


 今度はクリーム系を……と思っていたのに、声をかけられた。


「オフィーリア、こんなところに居たのか」

「ハリー様? 何か用?」

「ダンスの誘いに決まってるだろ? ダンスパーティーなんだし」


 だから()()()()()。って何? ほんとう自分勝手な人だ。


「パートナーはどうした? 逃げたのか?」

「はい? 隣にいますけど」


 なんだかムカついてジルベルト様と腕を組んだ。


「どうも、オフィーリアのパートナーのジルベルト・ロワールです」

「……え? ジルベルト・ロワール殿?」

「はい、そうです。あなたは?」


 学園では身分は関係ないから◯◯家とは敢えて言わない。でも貴族名鑑などは頭に入っているだろうからハリーはジルベルト様の家が伯爵家だと理解していると思う。


「僕は……ハリー・グレイヴスです。オフィーリアの幼馴染で親しくしています。ダンスを誘いにきました」

「そうでしたか。しかし残念ながらオフィーリアは先ほど足を滑らせて念の為にダンスは断らせてください。そうだよね」

「はい」


 捻ったりはしてないけれど、すでに二曲踊ったから満足。学園のパーティーは本番の社交に向けての練習会みたいなものだもの。


「足を滑らせてって大丈夫なのか? 相手のエスコートが下手だったとか?」

「何を言っているの? ちょっとそれは、」

「そうだね、聞き捨てならないね。僕のエスコートが下手だと言いたいんですか? 先輩は」


 ルシアン様が笑顔で怒っている! 侯爵子息だよっ! やめてよね!


「まさかルシアンがダンスで粗相をしないでしょう?」


 フローリア様も参戦してきた。これはハリーに勝ち目がないと見た。


「先輩、僕がしっかりオフィーリアを見てますからどうぞパーティーを楽しんでください。僕たちは僕たちで楽しみますので」


 わぁ。ジルベルト様も笑顔でいて笑ってない。


「……分かった。オフィーリア足、大事にしろよ。またな」


 ぎゅっとジルベルト様の腕を掴んだ。失礼なハリーめ! 自意識過剰は変わらない。そんな態度でこの先社交界でやっていけるの?


「あの男失礼な奴だな」

「僕のエスコートが下手? あの男がどれだけ上手なのか見てきてやろうか?」

「オフィーリアの幼馴染……ないわ」


 いくら幼馴染とはいえ、ジルベルト様の事を馬鹿にしたわね? 許さないんだからっ。でも私が足を滑らせたから迷惑がかかった。


「幼い頃は周りにハリー様くらいしか子息がいなかったので何も思わなかったんですが、婚約の話が出た時に僕のタイミングでなら婚約してもいいとか、待ってるならいい。みたいなことを言われて、自意識過剰男だと認識してからは苦手なんですよ」


 ここはちゃんと言っておこう。ハリーとは関わりたくないということを。幼馴染は事実だけどただそれだけ。


「分かった。任せてくれ」


 ジルベルト様の反応が思っていたものと違った。


「自意識過剰なのね。イケメンだと言われて調子にのっているのかしら? オフィーリアが可愛く成長したものだから惜しくなったんじゃなくて? 顔がいいだけで中身が空っぽじゃ残念だわ」


 フローリア様? 性格が変わってない?


「あぁ、ごめん。驚いたか? フローリアは男の中で育ってきているから男勝りなところがあるんだよ。最近は落ち着いてきてたんだけどなぁ。異性に対して厳しいんだ。フローリアの嫌いなタイプだったんだな」

「あら。ごめんなさい。出ちゃったわ、こんな私は嫌かしら?」

「いいえ。フローリア様の良いところをたくさん知っていますからフローリア様はフローリア様ですよ」

「……持ち帰りたいくらいの可愛さだわ。私が男なら惚れてるわ……オフィーリア、良かったらうちのお兄様と、」

「フローリア嬢!」

「あら、おほほほほ。失言しそうになったわ! オフィーリア。スイーツをとってきましょう! チーズケーキも美味しそうよ」


 再びスイーツを堪能することになった。


「え? 一番好きなスイーツですか?」


 うーん。その質問は難しい。


「あ、領地にあるジェラート屋さんのミルクジェラートが一番かもしれません。一日に何個も食べて怒られたこともある程に美味しいんですよ! スイーツの中ではジェラートが一番ですね」

「そんなに美味しいのなら一度食べてみたいな」


 ジルベルト様の領地とは近いから可能ではある。


「はい、是非いらしてください。あ、ジルベルト様の家の領地にあるジェラート屋さんでサツマイモジェラートを食べましたが美味しかったです! サツマイモを焼いて冷やしてその上にミルクジェラートを乗せたら美味しいかも! しっとり系のスイーツに生まれ変わりそう」

 

「悪くないね。共同でレシピを作ろうか?」

「単なる案ですからジルベルト様にお渡ししますよ」

「それじゃぁ意味がない」

「? なぜですか」

「オフィーリアと何かをした、という証が欲しい」

「……はい」


 胸がドキドキする。なんでだろ。ジルベルト様はご自分の顔が嫌いだと言ったけれど、あの時のあの男の子がこんなに立派になって……。


 今日はジルベルト様といると調子が狂ってしまう。はぁっ……ドレスを着る為に胸や腰を締め付けすぎたせいかかもしれないと思いスイーツを食べる手を止めた。

 

ありがとうございました。

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