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オフィーリアが可愛い

 ~ジルベルト~

 

 オフィーリアは可愛い。誰の目から見ても間違いなく可愛いだろう。フローリア嬢と友人になったから僕も親しく話せるようになったんだけど…….

可愛い仕草、素直な性格。目が離せないくらいに可愛い。サツマイモ繋がりでうちに来た時は舞い上がりそうになったくらいだ。


 父には“なんだ、オフィーリア嬢が好きなのか? 婚約者がいないのなら早く手を打てよ”などと揶揄われた。更に“嫁姑問題はうちには関係ないぞ”などと軽口も叩いた。息子を揶揄えるくらい父の心も落ち着いたようだ。


「オフィーリアが初恋の君なんだろう? 早く告白しろよ。誰かに取られても良いのか?」

「……良くない」

「え! ジルの初恋なの? 遅い初恋ね」

「……三年前」

「え? なにそれ!」


 フローリア嬢に経緯を話したら、すごく盛り上がっていた。コイバナ? ってやつらしい。


「えー! もっと早く言ってよ! お茶会でオフィーリアに声をかけたのは私よ! すごいわね、私! キューピッドなのね」

「いや、いや。まだ付き合ってもないからキューピッドではないぞ。オフィーリアは良い子だ、是非上手くいってほしい! 僕もフローリアも望んでいる」

「そうよ。ジルがダメなら…….そうよ、お兄様なんかどう? オフィーリアは素直だしお兄様の腹黒いところが柔和されるのではなくて? オフィーリアと姉妹になれるならそれでもいいかも! お兄様に婚約者はいないし」

「……それ、勝ち目ないから。応援してくれるのはありがたいけれど、少し放っておいてほしい」

「ジルはずっとその姿でいるつもり?」

「オフィーリアはお前の顔を見て美人だとか言わないだろう。そもそも容姿を気にするなら、こんな変なメガネかけているやつと友達になんてならない」

「……そうよね。変だものそのメガネ」


 好き放題言われているが、僕のことを思って言ってくれているのだろう。二人の言う通りオフィーリアに顔を見せても問題はなかった。逆にカッコいいと言われ嬉しすぎて恥ずかしくなったくらいだ。


 ダンスパーティーだからオフィーリアを誘ってダンスを踊った。オフィーリアはダンスが上手かった。


「オフィーリア、ダンスが上手くて驚いた」


 一曲終えた後に感想を言った。


「リュー、あ、弟なんですけど、弟と先生相手に練習してきました。体を動かすので食べすぎても大目に見てくれるんですよ!」

「オフィーリアらしい答えだった。後でスイーツコーナーに行こうか?」

「行く。やった!」


 喜ぶオフィーリアを見ていると僕もつい笑顔になる。


「ジルベルト様は笑った顔はあの時と変わりませんね」

「まさか覚えてくれているとは思わなかった」


 まだまだ話がしたいと思っていたら邪魔が入った。ルシアンめ!


「オフィーリア僕とも踊ってくれないか?」

「ルシアン様と? フローリア様はよろしいのですか?」

「私もジルと踊ってきますね」


 という事で交代することになった。


「ジル、いい感じじゃなくて? オフィーリアと何を話したの?」

「大した事じゃないけれど……」

「もしオフィーリアがダンスに誘われたらちゃんと断りなさいよ?」

「オフィーリアが踊りたい相手がいるなら勝手に断れないよ。意見を聞いてからにする」

「……そうよね。まだ婚約をしているわけでも付き合っているわけでもないものね。勝手な真似は良くないけれど私達もいるからね」

「あぁ、心強いよ」

「ジルってダンスが上手いのね。驚いたわ」

「……練習したから」

「誰と?」

「……執事」


「……そう。ダンスが上手な執事なのね」


 なんだよその間は! 哀れな目で見ないでくれ。ダンスが終わりルシアンとオフィーリアが笑っていた。


「オフィーリアの体幹の良さに驚いた」

「どうかしたのか?」


 二人とも楽しそうに戻ってきた。


「ダンスを終えて戻ってくる途中で、床が濡れていて転びそうになったの。ルシアン様が助けてくれたから転ばずにすみました」

「ちょっと遅かったら転んでいたな。オフィーリアが堪えていた顔が面白かった」


 話を聞くとルシアンがオフィーリアの手を取って一瞬抱きしめた形になったようだ。ルシアンを睨む。


「大丈夫でしたの? 足捻ったりしてない?」

「はい。足腰は丈夫ですから」

「万が一があっては困るから今日のダンスはやめておいた方が良いわね。そろそろスイーツを食べにいきましょう」


 さすがフローリア嬢。それとなくダンスを断る口実が出来た。それからスイーツを嬉しそうに頬張るオフィーリアを見ていたら胸がいっぱいになった。


「このオレンジのムース美味しい」

「そんなに美味しいのかい?」

「さっぱりしていてどれだけでも食べられます」

「どれだけでもって……そんなに美味いのか」

「食べてみます?」


 ヒョイっとスプーンを僕の前に出してきた。これを食べろと? 良いのか? 出されたものだから口に入れる。これは中々恥ずかしいな。いや、アリだけど!


「……美味い」


「柑橘系といえばジルベルト様のお屋敷で頂いたレモンケーキも美味しかったですね! いただいたレモンはハチミツに漬けて紅茶に淹れて飲んでいます」


 帰りに土産として渡したんだったな。すごく喜んでくれていた。

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