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ジルベルト

 ~ジルベルト視点~


 オフィーリアの幼馴染で婚約の話まで出た事があるグレイヴス子息か……。一つ上の学年で、整った顔立ちで令嬢に人気がある。誘われる茶会にはほぼ出席をするので学園以外でもマダムキラーとして名を馳せている。なんでも子息の父であるグレイヴス子爵の元ファンのマダムが子爵の面影がある子息に粉をかけているんだそうだ。


 そのマダム達が自分の娘と婚約させたいようで子息を自分の手元に置きたいというのが本来の目的。子爵は普通の貴族で領地経営をしながらのんびりと夫人と仲良く暮らしているようだ。子爵は昔令嬢にモテたようで現在も夜会に出るとキャーキャー言われているんだとか。子爵の若い時にそっくりの子息がデビューし、社交界でも人気。ただ選り好みをしているようで婚約者はまだいない。


「今更オフィーリアにちょっかいをかけてこないだろうな」


 ぼそっと口に出したらルシアンに聞かれた。


「それは分からない。とっとと告白すれば良いんじゃないのか? おまえオフィーリアの事いつから知ってたんだ? 最近じゃないだろ?」


 勘のいいやつめ……どこでバレたんだろう。


「オフィーリアが弟の療養のために領地へ向かう時うちの領地に立ち寄って。話をしたことがある。どこの子か分からなかったけど学園に入学して、あの時の子だと分かったんだ」

「へぇ。どこに惚れたんだ? 一目惚れか?!」

「……町娘に扮していた姿が可愛いかった。気取らないところとか、子供に優しく手を差し伸べるところとかそんな感じ」

「オフィーリアは珍しいタイプだよな。僕とかフローリアみたいな友人ができると自慢したりするもんだろう? 全くそんなそぶりないし、普通に接してくれる。そんな子今まで会ったことない。緊張してると言いながら、よく食べるし、表情もころころ変わるし話していると毒が抜ける」

「おい、まさか、」

「そうだな! フローリアの友人としては最高だな。フローリアにいい影響を与えるから、早く付き合ってくれよ。いや、早く婚約してしまえ! おまえのその姿でもオフィーリアは普通に接してくれるんだ」


「オフィーリアはそういう子なんだ」

「だから勘違いする子息が出て来るかもしれないぞ」

「そうだな」


 オフィーリアとは面識がある。うちの領地で会った。教会で、町で……三年ほど前の話だ。僕の今の姿は、髪の毛はぼさぼさに、そして変なメガネを掛けている。僕の容姿は亡くなった美人だった母に似ていていて少しコンプレックスでもある。男なのに女顔って……それでバカにされたりもした。

 令嬢からも男装した令嬢だなんて言われて傷ついたこともある。幼いころに言われた事なんだけど学園では顔を隠している。領地で顔は知れ渡っているし、母は領民に人気があったから素顔の方が喜ぶんだけど。

 ダンスパーティーでこの姿はさすがに……オフィーリアといても牽制出来ない。いつか素顔をさらすのならいいタイミングなんだろう。

 それからしばらくして、庭園の散策をしていた。緑が生き生きとしていて癒される。学園の庭園は素晴らしく手入れが行き届いている。たまに添木がズレている時はこっそりと直す。それも楽しみである。来週に迫ったダンスパーティーで学園内ではパートナー探しに拍車が掛かっていた。


「オフィーリア良かったら、パートナーになってくれないか? 誘われるのはいいんだが決めかねていると、もう来週に迫ってきた! 何か言われても幼馴染だ。といえば問題ないだろうし」


 は? だれだ?! 幼馴染といえば……あいつか!


「私もうパートナーがいるからお断りします」

「誰と行くんだ? 相手がいないのに断っていると噂されているぞ。強がりはよせ」

「誰とでも良いでしょう? ハリー様に関係ないもの」


 まったく関係ないよな!


「言わないと、この手を離さないからな」


 手? 手を掴まれているのか! これは助けなきゃまずいな!


「痛いわねっ! ロワール伯爵家のジルベルト様よ!」

「は? あの地味な? 暗そうな子息?」

「失礼なこと言わないでよ! ジルベルト様はお話も楽しいし、優しいし、思いやりもあるし、領民に慕われていて努力家なの。何にも知らないくせに悪く言わないで」

「いやいや、どう見ても地味だろ? ソレイユ侯爵の親戚だから一緒にいる感じだろ」

「ルシアン様が単なる親戚だからって一緒にいるわけないでしょう。何も知らないくせに適当なこと言わないで」

「おまえ、もしかして地味線なのか? だからあの時婚約の話も断って、」

「そんな昔の話出してこないで! じゃあね」


 ……地味線なのか? いや、会話の流れだったからだよな。確かに今の僕は地味だけどさ。聞き耳を立てて悪かったけど……嬉しかった。こういう時に堂々とオフィーリアを守れるような男になりたい。

 

ありがとうございました。

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