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久しぶりのオフィーリア

 ~ハリー視点~


「ハリー、今日オフィーリアちゃんに会ったのよ。とっても素敵な可愛いレディになっていたわよ!」


 母が上機嫌で帰ってきた。オフィーリアが帰ってきたのか。三年ぶりくらい? 弟の療養についていくと領地に引っ込んでからそんなに経つのか。


 こっちにいた頃は両親同士が友人だからとよく遊んでいたからその名前は懐かしい。昔は婚約の話も出たくらいだったが成人する前から一人の女性に縛られたくないと思い、やんわりと断った。それから数回会ったっきり連絡も何もない。可愛げがないと思った。仲良くしてやっていたのに。


「へぇ。久しぶりに名前を聞きましたね。今年は入学するから戻ってきたんですね」

「えぇ。ちょうど入学準備をしていたわよ。弟のアンドリュー君も元気になって、相変わらず仲の良い姉弟だったわ」


 弟は病弱でオフィーリアの後ろに隠れてばかりだったし、俺とオフィーリアが会っていたら機嫌を悪くしていた。伯爵家の後継なのに体が弱いと噂になったら大変だから治せるうちにと領地へ行ったんだったよな? へー。元気になったのか。そりゃ良かった。


「元気になって良かったですね。オフィーリアと学園で会うことがあったら声をかけときますよ」

「そうね。困った事があったら力になってあげて欲しいわ。オフィーリアちゃん可愛いから人気が出るわよ。あれは子息が放っておかないわね。ハリー惜しいことをしたわね……」

「はいはい。そうですね。オフィーリアとは単なる幼馴染で妹みたいなものですから、そういった感情は持っていません」


 母からしてみたら昔から知っているのだから贔屓目に見て可愛いというしかないだろう。学園にはキレイで都会的な令嬢が沢山いて皆将来の伴侶を探している。俺は父から譲り受けた顔を武器に金持ちでキレイな令嬢と婚約を結びたいと思い日々努力をしている。うちは平凡な子爵家で両親の仲が良いだけの家だからな……父はモテたそうだし、息子の俺から見てもいけている。


 母は父の性格が好きなんだそうで図書館で読んでいた本が同じだったとか、音楽の趣味が同じとかそんな些細な事らしい。

 父と母は名前を知っていたけどお互い顔を知ったのは随分あとからなんだそうだ。そんな出会いも悪くないけれど、せっかくなら名のある家の令嬢が良いかな。とにかくいろんな令嬢と知り合って損はないということは確かだ。


 ******


 今日は入学式。新入生に可愛くて家柄のいい子がいたらオフィーリアに紹介してもらうのも悪くないな。可愛い子はすぐに噂になる。


 入学後は目立った容姿や、成績が優秀だったらあっという間に噂となり名前が挙がる。俺の時もそうだったな。イケメンがいる。って!


 新入生では公爵家のフローリア嬢が美しく優秀だと噂になっていた。孤高の華だとか? 恐れ多くて近寄れない。公爵家のお姫様となれば取り巻きがいるくらい? あとはソレイユ侯爵家の嫡男ルシアン殿が学年一位で将来有望……。その他は侯爵家の令嬢が学年で二位。

 伯爵家の令嬢で癒し系の可愛い子がいるとクラスの子息が言っていた。男爵家の令嬢でスタイルが良く目立つ容姿の子もいる。そしてなぜか今回の新入生は入学試験の平均点がここ数年の中でもずば抜けて良い? 優秀な学年なんだな。入学式が終わり数日後、クラスの友人たちと学園内を歩いていた。


「あ、あの子だ。伯爵家の令嬢で癒し系!」


 どれどれ。そんなに可愛い子なら見てみたい。って!

「……ん? オフィーリアか?」


 噂の癒し系令嬢はオフィーリアだったのか?!


「ハリー! 知り合いなのか!」

「幼馴染で妹みたいなものだな。久しぶりに見た」 


 ……オフィーリアか。確かに可愛い。癒し系と言われればそう見える。可愛い顔に女性らしい体つきのギャップが……確かに子息が放っておかないタイプに成長したようだ。


「声をかけてくれ! 話がしたいぞ」


 人気のある令嬢が幼馴染となればこちらとしても悪い気はしない。声をかけると再会を喜んでくれるだろう。オフィーリアは俺のこと好きだしな。


「オフィーリア、久しぶりだな。帰ってきたんだったな」


 昔と変わらずに声をかけた。


「え? ハリー様ではないですか。お久しぶりですね」


 にこりと笑うオフィーリア……可愛いな。うん。


「元気だったか? この前母に会ったんだって?」

「えぇ。夫人もお元気そうでしたね」


 ん? 確か母のことはおばさまと呼んでいたはずだ。俺のことも呼び捨てだったのになんだかよそよそしい。


「またうちの家族も交えて食事でもしないか? オフィーリアとアンドリューが帰ってきた祝いに」


 喜んで受け入れてくれるだろう。家族ぐるみの仲だったんだし。クラスの友人にも仲が良かったところを見せないと、示しがつかない。


「お気遣いありがとうございます。まだ慣れぬ校舎ですし少し急いでいますので失礼しますね」


 オフィーリアは俺の友人に微笑み会釈して行ってしまった。思っていた会話とは程遠い……?



「久しぶりだとあれだな。オフィーリアは緊張していたのかもしれない」

「数年ぶりに会うんだもんな、しょうがないさ。また機会があったら紹介してくれよ!」

「あ、あぁ。そうだな」

「近くで見ても可愛かったな。柔らかそうな雰囲気だ」


 友人たちが盛り上がっていた。確かに可愛かった。

 

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