一日目
「「次は西井草 西井草。お出口は右側です。」」
(しまった、乗り過ごしてしまった。)
(…まぁ、いいか)
急いで電車を降り、上りの電車に乗り直す。
今度こそ最寄り駅で降りることが出来た。二度も降りそびれては目も当てられない。
ほぼ無意識で歩を進めていると、気づいたらアパートの前にいる。
二年前に上京してから住み続けているボロ家だ。六畳のワンルーム。
カギを開け、中に入り、閉める。
耳が痛くなるほどうるさいイヤホンを外し、テレビを付け、興味もない夕方のニュースをBGMに夕飯の準備をする。
レトルトのご飯と、カレー。
最近のお気に入りだ。
(よかった、今日も一日やり過ごせた。)
順当に消費されていく時間。意志薄弱な人間の人生はただの浪費でしかない。
頭では分かっていても何か行動を起こすでもない。
食後はスマホでゲームをする。経済学のクラスで少し前に流行ったアプリだ。
淡い期待を抱きながら始めたゲームだが、思い通りにはいかなかった。それでも惰性で続けている。
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気づけば、もう深夜二時を回っていた。
(風呂は…、まぁいいか。明日は休みだし)
布団に入り、電気を消す。
布団の中で妄想にふけっていると、次第に意識が遠のいていく。
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