悲劇そして復活
初投稿です。下手ですがよろしくお願いします!
第1章 < 伝説 >
「今、俺はどこにいるのだろう。嗚呼、ここは全国大会の会場か...。あっ、俺は個人で決勝の射詰めに出るんだ。」周りには上手そうな射手がたくさんいる。「彼らも射詰めに出場する選手なのだろうか。」空がだんだん雲に包まれていった。「おーい。探したぞ。」この声は師匠であり父親の真生だ。彼の顔からは少し冷や汗が出ている。彼の方が緊張しているようだ。それも当然だ。彼は選手としてこの大会に出場したのだ。彼は16歳にして参段を有していた将来を期待されていた射手だった。しかし大会前日に早気を発症し、交代を余儀なくされた。彼はこのことをとても悔んでおり、周摩にそんな思いをさせまいと必死なのだ。「周摩、もうすぐ競射だ、自分のできることをするんだ。父さんはそれができなかった。お前にはその悔しさを感じて欲しくない。」真生の顔がどんどん赤くなっていった。周摩が真生に「俺...」と言った。
「どうした?」周摩が真生に何か言おうとしたその瞬間、突然、「競射に出場する選手は控えに入ってください。」とアナウンスがはいった。周摩は「行ってくる」と真生に言った。「あぁ。」と真生は応えた。
ここは控え、射詰には5人の選手がいた。周摩は思った以上に緊張していた。彼以外の選手は全員全国大会で入賞歴のある高校3年生だからだ。それに対する周摩は高校1年生、弓道歴3年、大会入賞歴なし。つまり彼は格上との戦いになるのだ。彼らは12射11中、1位決定戦に向かうのだ。進行係の「選手は起立」という呼びかけにより、5人が立った。いよいよ入場だ。
大前は青山高校窪田周摩 二的は津田高校の青木隼人
中は同じく津田高校の青木茂波瑠落前は代々木学園の加藤鷹斗、そして落は周摩のライバル花輪高校の富士貴之だ。選手が入場しそれぞれ椅子に座る。そして進行係の「起立!」という声がかかり、一斉に起立し揖をし、それぞれの射位に入った。周摩は緊張していたが落ち着いた体配をすることができた。そのため、他の4人に見劣りするようなことはなかった。周摩は打起こし、大三へ移行した。そして引分け、会と続いた。しっかり伸びた後、ついに矢頃へはいった。周摩は離した。ピュルルルという音を立てて的心に入った。観客席から矢声が聞こえる。次々と矢が離たれた。1本目は全員的中。2本目、3本目と同じく全員的中。4本目ついに二的の青木隼人が抜いた。5本目青木茂波瑠、加藤鷹斗が蹴り、残りは周摩と貴之になった。6、7本目と中て、8本目、ついに周摩が外した。
周摩は諦めかけたが、貴之も外した。9本目周摩はしっかり中てた。だが、貴之が外しその時点で、周摩の優勝が決まった。正直周摩には実感がなかった。表彰式では、技能優秀賞にも選ばれた。真生は泣いていた。この時期が周摩の全盛期だった。