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義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した  作者: 有


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ノック忘れて失礼

 ほら、やっぱり和樹の発想力もすごいじゃん。

「食料工場は別として……伝染病の概念がなかったからなぁ。今なら、浄化魔法で、伝染病を防ぐことができるかもしれないな……」

 和樹の目が一点を見つめている。

 何を見ているわけではなくって、何か考え事をしているようだ。

 半年……口をきいてくれなかった間に、和樹はずいぶん大人っぽい表情をするようになったなぁ……。

 父さんが本当の父さんじゃないって知ってショックだっただろうし、それが和樹を大人にしたのかなぁ。

 あれ?大人になって、中二病を発症ってどういうこと?


『ゆきちゃーん、和樹が、最近中二病だよー』

 ラインを送る。

『そこがまた、かわいいんでしょ』

 ゆきちゃんからむぅーんって顔のトカゲスタンプが送られてきた。

『えへっ。いっぱい異世界の話とかできて楽しいよ』

 花がばぁーっと飛び散った猫スタンプ送信。

『ああいいなぁ。そっか。異世界の話できるのかぁ。それはいい。異世界転生最高!生まれ変わったらリザードになりたい!』

 リザードですか。

 ゆきちゃん……。

『爬虫類系なら、ドラゴンとかじゃだめなの?』

『ドラゴン!アルマジロトカゲも好きだから、ドラゴンも素敵だけど、なんか、命狙われそうじゃない?』

 写真が送られてきた。

 アルマジロトカゲの写真らしい。

 うわー、なんか確かにアルマジロみたいに継ぎ目みたいな鎧みたいな感じがあるトカゲだ。

 ドラゴンっぽい!

『和樹いわく、ドラゴンのしつけ方知ってるらしいよ』

『しつけ?ドラゴンって飼えるの?ちょっ、楽しすぎ!その発想楽しすぎ!続報求む!』

 続報って……。

 まぁいいか。

 和樹も中二病的話に付き合ってくれる人がいたら楽しいよね。

 ゆきちゃんが知りたいって言ってみよう。


 異世界ネタで、その日からずいぶん和樹と話をすることが増えた。

「あっ」

 和樹は、私と話をしていても、両親が来るとすぐに話をやめる。

 そういえば、両親には黙っていてくれって言ってたなぁ。

 さすがにあんだけ反抗しまくった反抗期見せてた手前、急に中二病とか知られると恥ずかしいんだろうか?

 私にはいいのか?

 ……まぁ、異世界転生小説も漫画もアニメも大好きだし……永遠の中二病的オタクな感じの人間だし……。

 和樹の理解者としての立場を確立できたってことかなぁ。

 ふふふ。

 和樹よ……。高校生になったら、本棚の表に並んでいない薄い本を君にも見せてあげよう。

 年齢制限ありなのは私もまだ高二なので手は出してませんから大丈夫。はい。

 まぁ、とりあえず私も気を使って、両親がいるところでは和樹と異世界話はすることはやめた。

 あ、そうだ。

「おーい、和樹」

 ゆきちゃんに頼まれた続報求のことを思い出して、夕飯後に和樹の部屋へ入る。

「ねっ、ねーちゃんっ!」

 めちゃ焦った顔をして、後ろに何かを隠された。

 あ、ごめん。ノックもせずに入ったけど。

 ぱたんとドアを閉めて、ノックする。

「和樹ー、入ってもいい?」

 真っ赤な顔。

 ほっぺを膨らました和樹がドアを開けた。

「ねーちゃんっ!びっくりするだろう!いきなり入ってくんなよっ!もし着替えとかしてたらどうするんだよっ!」

「え?いや、着替えとか……別に……」

 弟の着替えを見たからなんだっての?

「あ、いや、そうか、うん、着替え、着替えね……」

 着替えてたっていいわけするわけだ。

 そっか。姉ちゃん察しが悪くてごめんね。

「ちょっ、なんか変な想像しただろ!ち、違うからなっ!俺は、その……」

 真っ赤な顔の和樹がうがーっと頭をかきむしる。


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