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親には内緒の話

 その日から和樹は3日間、本を読んでは別のを借りていった。

「読むの早いね」

 という私の言葉に和樹がちょっとびっくりした顔をする。

「そういえば……」

 と、何か言おうとして言葉を飲み込む。

「そういえば?」

 なんだろうか?

 和樹に貸した本と、次に貸そうかなという本の山を見る。

 3日で16冊は早いと思うんだけど。気が付かないの?

 自覚がないほど、ラノベそ気に入ったのかな。

 時間を忘れて読みふけると、気が付いたら読んだ本が山になってても不思議じゃないよね。

 にしても、早すぎない?

 問題ないけどね。うん。問題ないよ。

 いっぱいラノベ好きになって、たくさん本読んでくれたら、和樹と一緒に本の話できるかもしれないもんね!

 楽しみだなぁ。

 えへへへ。

 GW残りの連休は2日ある。貸そうかなの山に積んだ本は5冊。

 足りないかな。

 異世界転生じゃない本も読むかな?


 GW最終日、和樹がリビングに現れた。

 次の本の催促かな?

「姉ちゃん……俺さ……」

「ん?何?」

 私の隣に和樹が腰を下ろす。

 ふおう!

 半年間口をきいてくれなくて、それから話をしてくれるようになったけど、本の貸し借り以上の会話がなかったのに……。

 ソファに腰を下ろすということは、しばらくは一緒にリビングにいる構えなわけで……。

 お姉ちゃんと、会話をしてくれるんですね!

 な、な、何の話をしよう。

 また、笑われるようなことがないように、えっと、まずは、本の感想とか、そっちの方向で会話を進めるべきかな?

「和樹、本は面白かった?」

 和樹がソファに乗ってたクッションを抱えて、顎をクッションに乗っける。

「ああ。よく書けてるものもあったし、うそくせぇものもあった」

 ぬ?

 うそくせぇ?

 いや、全部フィクションだけどね。どういう意味だろうか?共感できなかったってことかな?

「姉ちゃんなら、信じてくれると思うから話すけど……」

「え?何?」

 私だから話してくれる?

 うっ。

 やばい、うれしすぎだ。

 なんだ、和樹ぃ!半年口をきいてくれない間に……。

 お姉ちゃん喜ばせるポイントをついた言葉まで覚えたのね!

 ゆきちゃんにラインで報告!あ、違う、私だから話してくれるんだから言えない。いや、でも、言いたい。言えない!

「母さんと父さんには黙っててくれよ」

 うんうん、うんうん。子供だけの秘密ね!

 了解、了解!

 私と和樹二人の秘密!

 了解、了解!

 首がぶっちぎれるんじゃないかってくらい、縦に振り続ける。

「俺さ、異世界転生したみたい」

 は?

 今、なんとおっしゃりました?

「この間、部活でサッカーしてる時にゴールポストに頭ぶつけたんだけどさ」

「え?聞いてない!大丈夫なの?」

 和樹の頭をがしっとひっつかむ。

「いや、もう大丈夫だって。ちょっとたんこぶできただけだし、それもとっくに治ったし」

「本当?本当の本当に?」

 うっとおしそうに腕を振り払われました。

 ぐにゅ。

「とにかく、ぶつけた頭は大丈夫なんだけど、ぶつけた拍子に前世の記憶が戻ったみたいなんだよ」

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