プロローグ
前世の記憶持ちですが「異世界へ」転生したわけでもありませんのでタグはついていません。
舞台は現代日本となります。
「くそっ。ふざけやがって……。白の大賢者をなめるなよっ」
和樹が光を放つ魔法陣に触れる。
床には光の粒子が集まって、文字なのか記号なのかわからないものが魔法陣に次々と書き込まれていて……。
そこから天井へと光の柱が伸びていく。それがどんどん濃くなってきて……。
これ、光に包まれたら、もう次の瞬間には異世界っていうやつ?
やだ!
「和樹ぃ……」
怖い。
怖い!
和樹の姿が、薄い光の向こうに見える。
やだよ。
瞬きするのが怖い。
もし、目をつむったら……次に目を開いたときには、もう和樹の姿が見えないかもしれない。
太い石柱の並ぶ神殿にいるかもしれない。石造りの城の地下室、はたまたモンスターがあふれるダンジョンの中。
神のいる何もない空間、魔女の森……。
どこに連れていかれるのっ!
魔法にあこがれたことはあるけれど……でも、いやだ!
行きたくないよっ!
光が強くなってきた。
ああ、あとどれくらい私はここにいられるのだろう。
「和樹……」
大好きだよ。私のかわいい弟。
お姉ちゃん……異世界に行っても、和樹のこと忘れないっ!
きっと、あの時から歯車が回りだしていたんだ……。
そう、4年前の、あの日から……。
ご覧いただきありがとうございます。
アルファポリスおよびカクヨムで公開していた小説になります。