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そんな気はない

 彼は、闇から勝手に産まれてきた。


 後に魔物達の王となる彼には、もちろん親はいないし、与えられた名前もない。

 たが、その圧倒的な強さから、周囲は彼のことを「魔王」と呼び始めた。その名を笑うものは、彼自身に捻り潰されていった。安直だが強烈なその名はいつしか、魔王のいる世界全土へととどろいていく。


 とある日、魔王に予言を伝えたいという者が現れた。

 その時代、魔王と匹敵する力を持つと言われていた、魔族の老婆だ。彼女には、あらゆる未来が見えているという。


「いつか、あなたを滅ぼす人間の勇者と仲間達が、ここへ来る」


 その予言は、魔王の機嫌を大きく損ね、残念ながら老婆の最期の言葉となってしまった。


 密告者により、人間界にもその予言は知れ渡ることになる。



 我こそ、魔王を討ち亡ぼす勇者。

 そう勇み、立ち上がっていった者達が、次々に魔物達に返り討ちにされていく。魔王と相見えることすらできず。

 大量の鮮血が、人間界に流れていく。


 怒れる魔王は、徐々に人間への攻撃を強くしていった。

 焦土と死体が、見る間に増える。



 やがて、わずか数十年で、人間界の人口は半分ほどにまで減少した。

 人間の平和を取り戻してくれる予言の勇者は、本当に存在するのか。もしかすると、勇み足で立ち上がる者達を返り討ちにする、魔王の策略なのではないか。

 そんな諦めが、人間界に蔓延し始めていた、そんなとき。


 とある王国では、一人の青年が、自身が経営する雑貨屋の売り上げを心配していた。

 まさか自分が、魔王を討ち取る日が来るなど、夢にも思わず。

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