砂の城
白波が打ち寄せる砂浜。
目の前には大海原が広がっている。
その未知が、その無限が、僕は好きだった。
海の広さを想像することは楽しかった。水平線の先には何があるのだろう? 海の底にはなにかが眠っているのだろうか? この先に、宝島があるのかもしれない。子どものころ、砂浜に座ってワクワクしながら考えた。
ある日、僕は砂浜に大きな城を建てた。丸一日かけて作った力作だった。
「こんなにでかいのが、壊れるはずはない」
そう思っていた。
僕は大人になり、海の広さを知った。想像することはしなくなった。
それでも僕は、故郷の砂浜が好きで、帰省するたびに、いつもひとりでここに座る。
白波が打ち寄せる小さな砂浜。
誰かの足跡や砂のオブジェは、風と波がゼロにする。
その飾らなさ、その粗野が、僕は好きなのだ。