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第十二話 やっと眠れる




 俺とドーガの一悶着が済んで、紅茶とケーキで一息ついた後。俺は話は再開するために切り出す。



「それで、院長は俺の実力についていろいろ考察していたようですけど、俺がラエルさんと一緒に修行する徳って何なんですか?」


「ん、なんか急に言葉がトゲトゲしてねぇか?」


「いやいや、気のせいですよ。」


「そ、そうか。まあ、なんだ?簡単に言うなら馬が合いそうだと思っただけだ」


「それだけですか?」


「それに一人でやるよりかは誰かと戦ったりしたほうが良いだろう?」


「まあ、確かに一理ありますけどね。」


「だろ!それに今ならあの場所を使わしてやるぞ」


「あの場所っていうのは、朝話していた場所のことですか?」


「そうだ。ここには修行用の広い別館があるんだよ」



 なるほど、それなら誰にも見られずに魔法の練習もできるな。

俺はその修行用の別館について少し考えてから、話し出す。



「じゃあもうひとつ聞きますけど、ラエルさんの実力のほどは院長の目から見てどうなんですか?俺より強いかもとか言ってましたけど、何かしらの根拠があるってことですよね?」


「あぁ、ラエルの実力については、まだ正直わかんねぇな。こいつの親が才能があるって言ってたから何か光るものがあるとは思うんだけどよ。」


「・・・・・・そうですか。まあ、俺はもう修行の話受けても良いですけど。もちろんラエルさんがそれでも良いならってことになりますが。」



 俺はそう言ってラエルの方をみる。ドーハも同じように顔を向け直す。



「だとよ。どうする、ラエル?」



 ラエルは散々蚊帳の外にされていたので、ケーキと紅茶で自分の世界に入っていたようだ。俺たちの視線に気づいて、はっとしている。



「・・・・・・えっ?あ、はい。なんですか?」


「ルメナの方は修行の相手を受けても良いって言ってるがお前はどうする?お前が決めて良いぞ」


「は、はい!私の方も大丈夫です!明日からお願いしますルメナさん!」


「は、はい。こちらこそよろしくお願いします。ラエルさん。」



 少し気圧されてしまった。

しかしそこで俺は、また疑問ができてしまった。



「あ、あの。院長、少し聞きたいことがあるんですが。」


「お、なんだ?今日はよく話してくれるな」


「ラエルさんはギルドカードを持ってるんですかね?」


「ああ、それはまだだと思うぞ。ラエルの親は、ラエルが生まれてから冒険者ギルドに入ってなかったと思うからな。というより、この年頃でカードを作るやつなんて滅多にいないからな」


「へぇ、俺は院長に勧められて作りに行ったと記憶しているんですが?」



 俺がドーハにジト目を向けると、目を逸らしやがった。



「ま、まあお前なら作れるかなと思ったからな。しかもちゃんと作れたんだから良いじゃねぇか」



 俺とドーハの現状を文で表すと『5歳児に追い詰められ、焦る60過ぎのおっさん』ってところか。

などと考えていると、ラエルが話に入ってきた。



「あ、あのー。ギルドカードって何ですか?」


「あ、ああ!そのことか。俺が教えてやるよ!」



 ドーハは、うまく逃げ道を見つけたようだ。ちっ!

それから、ラエルにギルドカードについて教えること10分ほど。



「なるほど、お教えくださりありがとうございます!」


「まあ、いずれは知ることだしな。ラエルもルメナと一緒で物分りが良いし、そんな面倒でもないしな。それで、ギルドカードのことを知らないってことはやっぱり作ってないんだよな?」


「はい。でも、できれば作りたいんですけど。自分のステータスというやつも知りたいですし。」


「そうか、なら作ってみるか?少し血と魔力は使うけど、どうする?」


「はい!作りたいです!」


「そうか、そういえばラエルは今いくつだ?」


「ええっと、確か4歳だったと思いますけど、難しいんですかね?」


「いや、大丈夫だろう。ルメナも少し前に作ったばかりだしな。」



 そうか、ラエルは俺より一つ下か。4歳にしてはしっかりし過ぎな気がするが、まあ俺が言えた義理じゃないし、今は良いか。それにしてもドーハ、俺がいけたからってチャレンジャー過ぎるだろ。さすがは冒険者だな、元だけど。



「なら、ギルドカードは明日の午前中にでも作りに行くか?」


「はい!お願いします!」


「じゃあ今日はもう良い時間だし、これでお開きにするか」


「そうですね。いつの間にか9時過ぎてますし。」


「お、もうそんな時間か。子供にこれは少しきつかったか。それじゃあ今後のことは明日また話すことにするから今日はもう部屋で寝て良いぞ!」


「わかりました。それじゃあ失礼しますね。」



 そう言って俺が立つと、ラエルが口を開けた。



「あの、私はどこで寝れば良いんでしょうか?」


「ああ、そうだったそうだった。すっかり忘れてたな」



 ドーハは思い出したように言って、ちらっと俺の方を見てニヤついた、気がする。



「よかったな、ルメナ。久しぶりのルームメイトだ。しっかりこの家について説明してやれよ?」


「えっ?俺の部屋ですか?」


「そりゃあ、今この家ではお前が一番ラエルと歳が近いからな。当たり前だろ?

ってことで、ラエル。お前の部屋はルメナと同じ部屋だ。部屋は5人部屋だから結構広いし安心して良いぞ。わからないことがあったらルメナに聞くと良い」



「は、はい!わかりました。じゃあ、これからよろしくお願いしますね、ルメナさん!」



 ラエルはなんか少し嬉しそうに言ってきた。どうやら一人っ子だったようだし、歳も近いからな。少し楽しいのだろう。俺はもう眠いし、話すのもめんどくさくなってきたので軽く返事をして、院長に顔を向ける。



「わかりました。では、もう行きますが良いですか?」


「おう、これからラエルのことは任せたぞ」


「まあ、一応できる範囲で教えますよ。じゃあ行きましょうか、ラエルさん。」


「はい!」



 俺は、ラエルに手を差し出すと、ラエルは嬉しそうに握ってきた。勢いよく掴んできたので少しドキッとしたが相手は子供だしな。ドーハはそんな俺たちを微笑ましそうに見送ってくれた。




 そうして俺たちは部屋を出た。そこで俺は先ほど会話した女子のリーダーの言ってたことを思い出す。

これからラエルのエスコートをしろって言ってたけど、あの人は俺が世話役につくとわかってたってわけか。女の子はするどいな。








 ラエルを連れて歩くこと十分少々、俺は自室に戻ってきた。途中、トイレの場所とか早めに教えておいたほうが良い場所を教えながらだったので、少し時間がかかった。



「とりあえず、早めに教えておいたほうが良い場所は教えたけど、急ぎのことじゃないならまた今度聞いてくれても良いから。他には何か聞いておくことはある?」


「いえ、今のところはないです。」


「そっか、じゃあここが俺たちの部屋だから。これからよろしくね、ラエル。」



 俺がそう言うと、ラエルは俯いてしまった。呼び捨てはよくなかっただろうか?



「ごめん、呼び捨ては嫌だった?」


「いえいえいえいえ、全然オッケーです!」


「そう、なら良いけど。まあ、とりあえず今日はもう寝ようか。明日はカードを作りに行くんでしょ?」


「は、はい!」








 俺たちは、それから部屋で少し話をして、それぞれのベッドで眠りについた。









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