表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜と少女の物語  作者: 西
第一章
6/7

第五話

 二人が十分な薬草を積み終わったのは、昼を少し過ぎた頃でした。


「よーし! これだけあれば大じじ様も満足してくれるわね」


 黄の竜は硬くなった身体を伸ばしながら立ち上がりました。赤い竜も凝った肩をほぐしながら彼女にならいます。

 しかし、視線はこんもりと採られた野草の山へと向けられています。


「取り過ぎじゃないか……?」

「いいのよ。次に採る時期を遅らせればいいだけだから」


 呆れたように赤い竜が問えば、黄の竜はしれっと答えます。

 

「さて! 目的のものも手に入ったことだし、帰りましょうか」

「……切り替えの早い奴」

「ん? なーに?」

「なんでもない」


 そんな、他愛のない会話をしているときでした。


「ここにもいたぞ!」


 二頭の前に、いきなり数人の魔人が現れたのは。


「仕留めろ!」


 魔人たちは赤い竜と緑の竜へ攻撃を仕掛けてきました。

 わけのわからない二頭でしたが、反撃しなければ負けてしまいます。赤い竜は黄の竜を背に庇いながら、素早く<爆風ブラスト>の攻撃魔法を放ちました。

 赤い竜の放った炎を伴う無慈悲な爆発の風は、魔族たちの魔法を吹き飛ばし、そのまま彼らへと襲いかかります。

 声を上げる間もなく、魔人たちは炎に飲み込まれ、そのまま跡形もなく消えていきました。

 

「敵は……」

「……いないようね」


 辺りに残党がいないかを確認した後、二人は安堵のため息を吐きました。 

 しかし、安心している場合ではありません。二頭は無事でしたが、魔人はたしかに「ここにもいたぞ!」と言っていたのですから。


「急いで帰りましょう!」

「ああ!」


 二人は休むことなく本来の姿に戻り、急ぎ村へと飛びました。

 早く早くと、翼に力が入ります。

 そして。


「村が……!」


 心配した通り、村は魔人の集団に襲われていたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ