第四話
そうしているうちに、野草の生えている森へと到着しました。二頭は着地をするために降り立ちます。
赤い竜は、動きやすいズボンとシャツ姿の男性へと。
黄の竜は、ワンピース姿の女性へと。
人型に姿を変えて、緑が生い茂るところへ着地しました。
「ここはいつ来ても綺麗ね……」
彼女は森の空気をめいいっぱい吸い込みます。
「来たことがあるのか?」
「ええ。何度か兄さんと一緒に」
黄の竜が『兄さん』と呼ぶのは白い竜しかいません。
「元気にしてるか?」
「あなたが会いに来ないから、カンカンよ。帰ったら一緒に会いにいきましょうね。三人で集まるのはいつぶりかしら……そうと決まれば、さっさと必要な分を摘んでしまいましょう!」
行くとも言っていない赤い竜を置いて、黄の竜はウキウキとしながら野草を摘み始めました。こうなった彼女は、なにを言っても聞いてはくれません。
「相変わらず強引だ」
「そうよ。手のかかる誰かさんのせいでね?」
しれっと答える彼女の言い草に肩を竦めた赤い竜でしたが、隣に並び一緒に野草を摘み始めます。
白い竜が怒ると恐いことを知っている赤い竜は、黄の竜と一緒におとなしく会いに行くことを決めたのでした。