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第一話
昔々あるところに、一頭の赤い竜がおりました。
大きな躯に強い魔力。
どの竜にも引けをとらない、立派な竜でした。
しかし、ひときわ目立ってもいました。
なぜなら、彼の躯はふつうより一回りも二回りも大きく、魔力も桁外れに量が多かったのです。
そして、きわめつけは金色ではない、緑色の目。
竜目ではない瞳をしていたのです。
己の姿や力を、赤い竜は気にしていませんでした。
ですが、彼の見た目が、彼の魔力が、同じ竜たちには恐ろしく写っていたのでしょう。
仲間たちは赤い竜を怖がりました。
誰も、彼に近づこうとしません。
赤い竜は、いつもひとりぼっち。
それでも、彼を気にかけてくれる竜もいました。
白い竜と黄の竜です。
白い竜は兄のように、黄の竜は姉のように、赤い竜へ接してくれます。
二頭のおかげで、彼が孤独を味わうことはありませんでした。